
盛唐期の詩人・孟浩然の五言絶句「春暁」は日本人にも広く知られている漢詩です。
孟浩然は西暦689年、襄州襄陽(現・湖北省襄陽市)の生まれ。日本でいえば持統天皇の世、壬申の乱の少し後の時代に唐(現・中国)で誕生しました。
若い頃は唐の各地を放浪したといい、義侠心のある人物として立身出世とは無縁に過ごしたと伝えられています。彼の詩は山水田園の情景を恬淡に描きながら、人生の愁いが見え隠れするといいます。
孟浩然の最も有名な詩が『春暁』です。
春眠 暁を覚えず(春の眠りは朝が来たのも気づかないほど心地よく)
処々 啼鳥を聞く(目覚めるとあちこちから鳥の囀りが聞こえてくる)
夜来 風雨の声(昨夜から雨や風の音がしていたが)
花落つること多少なるを知らんや(いったいどのくらいの花が散ったのだろう)
この漢詩のうち「春眠暁を覚えず」の部分は、孟浩然を知らない人でも耳にしたことがあるのではないでしょうか。
まさに春の夜の心地よい眠りを見事に表現した詩だと思います。
そういう私もこのところの暖かさに眠気が去らず、毎日「眠い眠い」と思いながら暮らしております。
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