国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

第093回国会 衆議院運輸委員会 第7号 第三五話

2016-03-26 13:22:13 | 国鉄関連_国会審議
昨日は、日本共産党所属、三浦議員と工藤政府委員の法制局とのある意味不毛のやり取りが行われていましたが、休憩後は鈴木内閣総理大臣に対して質疑ということで実施されたようです。

最初に質問に立ったのは、加藤六月氏(自民党)であり、運輸族として知られています。
なお、これで見る限り当時の審議ではローカル線の廃止は議論されているものの、民営化ありきではなく、国の機関たる国鉄を生かすために地方路線の一部を廃止もしくは第3セクター化するがそのうえで国鉄という組織を生かしていくという趣旨であると理解している旨の質問がなされています。


 
> わが自由民主党も財政再建と三K問題の解決のためには党自身も血を流し、肉を切らなくてはならない、その重要なる法案がこの国鉄の経営再建法案である。ある面では今回、ここ半年間ぐらい、地方公共団体、知事さんあるいは市町村長さん、各種団体を含めて陳情が一番多いのも、この法律の中に盛られておる、該当するやもしれないと思っておられる市町村長さん方の陳情というのも非常に多い。そういうときに、わが党の首脳部の先生方は、必ず答弁のときに、国鉄はどうしても有効にその機能を発揮さして生かし、そして省エネルギー時代、あるいは都市空間における交通手段の確保が困難になった今日、あるいはまた環境問題、こういうものを考えていくときに、国鉄を有効に機能させる、そして都市間の旅客輸送、大都市圏内における旅客輸送、そして大量定型貨物輸送、この三つの重要な機能を国鉄に発揮させていく、そのための措置法案である

また、国鉄が何が何でも、、「国鉄自身が三十五万人体制をどうしてもつくり上げます」、そして「民鉄並みの経営状態に持っていきます。」これは国鉄自身が昨年八月までかかって営々辛苦築き上げてくれたものでありますが、それをわが党としましても再確認しまして、民鉄並みの業務能率を上げるようにしろという一つの大きな柱になったわけであります。

と言うことからも読めるように、国鉄を解体する意図はなくて今まで進んでいなかった合理化を進めることを自民党が追認した、具体的には新規投資の抑制や新規採用者の全面停止、ローカル線の選定と転換の促進などでしょうか。

> 冒頭まず総理に御質問しておきたいと思いますのは、ことしの二月十九日だったと思いますが、総務会における決議というのがあります。この決議に対して一部の労働組合あるいは一部の団体の中に非常な反発と、逆に誤解から発生した政府・自民党けしからぬというような意見等が生まれてきました。私自身はそういう団体や組合幹部の皆さん方にもできるだけお目にかかって、それは誤解であるということ等の説明をいたしたのであります。それは国鉄の破局的状況に対して経営再建を行って国民生活を守っていくんだという趣旨と、そして今回、この決議の文章を読みますと、一つは、三十五万人体制を確実に実施しろよという中身でありまして、これは去年一年がかりで、国鉄自身が三十五万人体制をどうしてもつくり上げます、そして民鉄並みの経営状態に持っていきます。これは国鉄自身が昨年八月までかかって営々辛苦築き上げてくれたものでありますが、それをわが党としましても再確認しまして、民鉄並みの業務能率を上げるようにしろという一つの大きな柱になったわけであります。

私自身はこの発言に非常に注目しました、この時点では自民党は明確に国鉄民営化ありきではないと明言しているんですね。
その後の中曽根内閣での臨調答申で民営化の方向が示されて以降流れは一気に民営化に流れていったように思われるのですが、国鉄民営化の議論を話すとき実はここまで時計の針を戻して検討していかないといけないということになります。
逆に、この時点で国労辺りも積極的に労使対決路線ではなく協調路線を選んでいたら・・・少なくとも現在のような国有企業の民営化の流れにはならなかったと個人的には考えてしまいます。

> 「国鉄の破局的経営状況にかんがみ、国鉄労使は、今回の再建計画が最後の再建機会であり、これを達成し得ない場合、残る方策は民営への全面的移管以外にはあり得ないことを十分認識し、不退転の決意をもって、その完遂を期すること。」

さらに、質問では「国鉄の構造的問題として、どうしても国鉄自身の力でできないものを、ある面は法律をつくって、ある面は国の財政で、ある面では国民の皆さん、利用者の理解と納得によっていこうといろいろな問題があるわけであります」として、年金問題(戦後満州鉄道の人員や、復員者の受け入れなどその時点で国鉄だけではどうにもならない問題を先送りしてきたツケが回ってきたと言えそうです。)

ということで、今回は加藤六月氏の質問のみの掲載としましたが、当時は必ずしも民営化ありきではなく、国有で残すことが前提で検討されていたことがわかります。
今後もさらに当時の答弁などを確認しながら解説を加えていかせていこうと思います。



   午後三時二十七分開議

○小此木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 これより鈴木内閣総理大臣に対して質疑を行います。
 この際、質疑をなさる委員各位に申し上げます。質疑の時間は理事会において申し合わせたとおりでありますので、その時間の範囲内においてお願い申し上げます。したがって、答弁も簡潔にお願い申し上げます。
 加藤六月君。

○加藤(六)委員 鈴木総理はお忙しい中を当運輸委員会の質疑に御出席いただきまして、大変恐縮いたしておる次第でございます。
 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法、当委員会において営々議論を重ね、各党の委員、いろいろの角度から御質問されてきたわけであります。
 私たちは、厳しい財政再建下に、三Kと言われておるそのうちの一つである日本国有鉄道問題に対して抜本的なメスをふるい、そして多くの国民の期待にこたえなくてはならないということで、昨年の閣議了解の線に従い、今回のこの特別措置法を必死で審議いたしておるわけでございます。そうして、この法案を提出いたしますときのわが党内における手続のときに、これまた大変多くの議論が諸先輩、多くの総務方から出されまして、大変かんかんがくがくの議論が展開されたことは総理も御記憶にはっきりいたしておるところだろうと思うわけであります。
 私は、この法案のさきの通常国会の質問のときにこういう表現をいたしたのでありますが、わが自由民主党も財政再建と三K問題の解決のためには党自身も血を流し、肉を切らなくてはならない、その重要なる法案がこの国鉄の経営再建法案である。ある面では今回、ここ半年間ぐらい、地方公共団体、知事さんあるいは市町村長さん、各種団体を含めて陳情が一番多いのも、この法律の中に盛られておる、該当するやもしれないと思っておられる市町村長さん方の陳情というのも非常に多い。そういうときに、わが党の首脳部の先生方は、必ず答弁のときに、国鉄はどうしても有効にその機能を発揮さして生かし、そして省エネルギー時代、あるいは都市空間における交通手段の確保が困難になった今日、あるいはまた環境問題、こういうものを考えていくときに、国鉄を有効に機能させる、そして都市間の旅客輸送、大都市圏内における旅客輸送、そして大量定型貨物輸送、この三つの重要な機能を国鉄に発揮させていく、そのための措置法案である、したがって、そういう大前提に立って今回の法案を出したのだ、国民皆さん方も理解と納得をしていただきたい、ある面ではわが党の金城湯池と言われる地域も、事と場合によってはバス転換あるいは第三セクターに落とさなくてはならない、しかし、それも国民全体の生活と経済を守り、そして国鉄の機能を十二分に発揮していくためだ、こういう説明をしてきておられるわけであります。あるいは総理自身も、いろいろな陳情を受けたときにそういう御答弁をされておるのではないかと思います。
 私は、今回この質問をやるに際しまして、冒頭まず総理に御質問しておきたいと思いますのは、ことしの二月十九日だったと思いますが、総務会における決議というのがあります。この決議に対して一部の労働組合あるいは一部の団体の中に非常な反発と、逆に誤解から発生した政府・自民党けしからぬというような意見等が生まれてきました。私自身はそういう団体や組合幹部の皆さん方にもできるだけお目にかかって、それは誤解であるということ等の説明をいたしたのであります。それは国鉄の破局的状況に対して経営再建を行って国民生活を守っていくんだという趣旨と、そして今回、この決議の文章を読みますと、一つは、三十五万人体制を確実に実施しろよという中身でありまして、これは去年一年がかりで、国鉄自身が三十五万人体制をどうしてもつくり上げます、そして民鉄並みの経営状態に持っていきます。これは国鉄自身が昨年八月までかかって営々辛苦築き上げてくれたものでありますが、それをわが党としましても再確認しまして、民鉄並みの業務能率を上げるようにしろという一つの大きな柱になったわけであります。
 もう一つは、「国鉄の破局的経営状況にかんがみ、国鉄労使は、今回の再建計画が最後の再建機会であり、これを達成し得ない場合、残る方策は民営への全面的移管以外にはあり得ないことを十分認識し、不退転の決意をもって、その完遂を期すること。」したがって、後段の民営に移管するというのがねらいではなくして、労使が一致協力して、不退転の決意でもって今回出されておるこの法案の通過、成立を期し、その法案の中身に盛られているもろもろの問題を実現していかなければなりませんよという意味でありまして、国鉄切り捨て論でもなければ、また民営移管を中心としたものでもなくして、これをやることによって民鉄並みの経営能率を確保し、国鉄としての全国ネットワークの機能を発揮させていくのだ、こう私は解釈いたしておるわけでございますけれども、総理の御見解はいかがでございましょう。

○鈴木内閣総理大臣 財政再建は当面の最大の政治課題でございます。その財政の再建を図ってまいります中におきまして、この国鉄の財政再建、三Kの問題、これはその中心課題であるわけであります。国鉄は、もう申し上げるまでもなしに累積赤字が六兆円を超える、また毎年七千億からの国の助成も受けなければならない、こういうような状況下にあるわけでございまして、いまこの財政の再建、そして国鉄の国民経済の中で担っておりますところの使命、これを図ってまいりますためには、どうしてもこの際、今回政府が提案をし、ただいま皆さんに御審議をいただいておりますこの法案の成立を期さなければならない、このように考えておるわけでございます。去る二月の中旬、自由民主党の総務会におきまして、当時私総務会長でございましたが、この法案を党として最終的に承認するに当たりまして、この法案の成否というのは国鉄再建の最後の機会である、ついては国鉄当局も、この経営の合理化、また労使一体となっての真剣な取り組みということが必要である。また、政府においてもできるだけ財政、行政の面でこれに対する公的助成も行って、そして相まって国鉄の再建を期すべきである、こういう決意を総務会として表明をしまして、政府並びに国鉄を鞭撻をしたわけでございますが、その私が今回総理の、内閣の責任者になったわけでございます。私は、この党の強い御意思というものを体しまして、この法案の成立を皆さんの御協力を得て実現をし、それによって国鉄の再建を期したい、このように考えておるわけでございます。

○加藤(六)委員 ただいま総理のりっぱな御決意を承りまして、われわれはますますいままで以上に国鉄再建のためにがんばらなくてはならない、この決意を強くいたしたわけであります。
 総理、今回の委員会における質疑、非常に長時間やり、また、あす、あさっては現地調査、現地公聴会等もやるわけでありますが、いままで私たち、非常に当委員会を中心に議論しておりまして、まあこの法律は何とかして通さなくてはならないだろう、しかし政令のときにまあ何とかいろいろの方法を講じてやろうというような意見や魂胆があります。しかし、私は、やる以上は一定の基準を引いてこれを厳重にやっていく、それが本当の正しい国鉄の経営再建にも通じ、また、それがある面では国鉄が労使一体になって再建に励んでくれる大きな理由になると思います。したがって、今後この法案が衆参両院を通過、成立した場合における政令をつくる段階において、しり抜けやざるにならないように、そこら辺はひとつ総理として今後よろしく目を光らせておいていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 さらに、私たち、今回のこの法、案は、国鉄の構造的問題として取り上げてきたわけであります。国鉄の構造的問題として、どうしても国鉄自身の力でできないものを、ある面は法律をつくって、ある面は国の財政で、ある面では国民の皆さん、利用者の理解と納得によっていこうといろいろな問題があるわけでありますが、今後私たちが国鉄の経営再建のためにさらに考えていかなくてはならない問題といたしましては、一つは、年金問題があります。そして一つは、公共割引の問題が今後残された問題としてあるわけでございます。退職金その他の問題については、曲がりなりにも政府の方でいま助成といいますか、利子補給をいただいておりますが、大量離職者時代を迎え、三十五万人体制を実現していくためには、この年金問題を解決していかなくてはどうにもならないわけでございまして、当委員会で超党派で各党の先生方がこの年金問題には言及されており、来年度予算その他において何とかして三十五万人体制を築き上げていくためにも、そして国鉄労使が安心して国鉄本来の機能を発揮してもらい、国民生活の安定と向上のためにがんばっていただくためにも、公的年金問題があるということと、公共割引問題その他まだ重要な問題があるということを申し上げまして、今後いろいろな場面において、総理の一段の御努力と御支持を賜りますようにお願いしまして、私の質問を終わらしていただきます。
 ありがとうございました。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第093回国会 衆議院運輸... | トップ | 山陽本線、広島電化の頃のお話 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

国鉄関連_国会審議」カテゴリの最新記事