国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

第093回国会 衆議院運輸委員会 第7号 第三一話

2016-02-25 08:59:07 | 国鉄関連_国会審議
みなさん、おはようございます。
今回も国会審議からお話をさせていただこうと思います。
ここで注目すべきは、日本共産党 三浦久議員からも質問されていますが、地方ローカル線の選定の基準の政府案の提出が遅れたことが問題と言えましょう。
また、これに関連して、

> 「営業線を起点と終点で区分するという問題ですが、前回、大臣並びに鉄監局長は、法律公布の日における国鉄線路名称に定められている区分で固定して考えたい、こういうふうに述べておられます。そうしますと、これは前回も私が述べましたように、たとえば同じ枝線でも、たまたま幹線の一部であったために廃止にならない、それよりも乗車密度の高い枝線が幹線に入っていないというために廃止になる、そういう不合理な結果を招来するということを指摘しました。」

画像 wikipedia

これは本当に大きな問題になりまして、例えば伊勢鉄道(元は紀勢本線のバイパスとして建設された路線で、複線用用地も最初から確保されていたのですが、紀勢本線に編入せずに「伊勢線」という独立した名称を与えてしまったために廃止の対象になってしまい、国鉄側が慌てて伊勢鉄道を設立してもらったという話もあります。
ちなみに、伊勢線は当時は天鉄局の管轄でしたが、当時の国鉄では近鉄の勢力圏であった伊勢地区などは国鉄ではほとんど力を入れておらず、最低限の現状維持程度にとどめる消極経営でした。
実際、松阪への出張の場合天鉄局では関西線ではなく、近鉄の利用を推奨していたのですから何を言わんかと思います。
自社の商品は良くないから他社の製品を買ってくれと言ってるようなものであり、自分たちは自社の製品を使わずに不良品な自社製品をお客様に売りつけて行くようなありさまでした。

昭和61年の時刻表から

なお、本文で出てくる山下ふ頭線は結局廃止になりましたが、その逆の京葉線は現在の盛況を見ればわかる通り発展していますが、当時は廃止対象にとして俎上に上ったということは記憶に残していただければと思います。

***********************************以下は、本文となります。*********************************

○塩川国務大臣 記者会見で政令はいつごろ決まるのですかという質問がございましたので、政令はできるだけ急がなければならない。めどとしてはいつですかということがございまして、一月、通常国会が再開されて予算委員会で当然この問題が議論になると思う、それまでにはおおむね政府として意思決定しなければならない、こういうふうに申し上げた次第です。

○三浦(久)委員 そうしますと、政府の案をつくるというのにはかなり時間がかかりますね。これは秘密会での非公式な発言ですけれども、鉄監局長は、大体二、三カ月はかかると、こう言われているのです。そうすると、それは運輸省案というものが決まって、それから、これだけ強い反対があるわけですから、各省との折衝は大変だろうと思う。二、三カ月かかるわけですね。そうすると、一月に政府の政令案を決めるということになりますと、いまの時点で運輸省の最終案というものは決まっていませんと、これはなかなか作業が進まないと思うのです。そういう意味で、私は、運輸省の最終基準案というものが決まっているのじゃないかという推測を強く持つわけですけれども、いかがでしょうか。

○山地政府委員 私の知る限り、運輸省の最終案というのはどこにも決まっておりません。

○三浦(久)委員 私は、この委員会にいわゆる地方ローカル線の選定の基準の政府案が出されていないということに対して、大変不満であります。それはなぜならば、地方ローカル線の選定基準というのは、この法案の最も重要な中身なんです。それは大臣もおわかりのとおりであります。ですから、一月中には決定して予算委員会の審議に供さなければならぬというふうに思われる、それは結構なんです。しかし、私は、予算委員会の前にこの運輸委員会に政府の案をぜひ出して、あらゆる角度から十分に専門的な立場で審議をするということが必要だったのではないかというふうに考えております。これは私の意見として申し上げておきます。
 次に、前回にも質問をいたしましたけれども、営業線を起点と終点で区分するという問題ですが、前回、大臣並びに鉄監局長は、法律公布の日における国鉄線路名称に定められている区分で固定して考えたい、こういうふうに述べておられます。そうしますと、これは前回も私が述べましたように、たとえば同じ枝線でも、たまたま幹線の一部であったために廃止にならない、それよりも乗車密度の高い枝線が幹線に入っていないというために廃止になる、そういう不合理な結果を招来するということを指摘しました。前回は乗客についてだけ指摘したわけですが、貨物についてもそれは同じことが言えるわけなんですね。
 たとえば清水港線というのがあります。これは清水から三保間八・三キロの貨物線です。これは恐らくいまの運輸省の基準案でいけば廃止対象路線でしょう。ところが、東海道本線の高島支線というのがあります。これは高島から山下埠頭間の貨物線ですが、輸送力とかそういうものはかなり少ないのですけれども、結局本線に編入されているために残るということになるのですね。こういう不合理が貨物でも出てくるということであります。
 それからまた、新幹線ですね。国鉄の線路名称の中には新幹線という区分はないのです。御承知ですね。そうしますと、これは線区別経営成績では、独立して新幹線についてその成績を計算しているのです。この国鉄線路名称でやるということになりますと、いままでの線区別の経営成績というものはもう一回やり直さなければならない。たとえば新幹線の収入とかいうものを鹿児島線だとか東海道線だとかに割り振っていかなければなりませんね。そういうようなまた一つの大きな矛盾が出てきているということであります。新幹線というのは、社会的には走っているわけですよ。ところが、運輸省が区分をした線路の中には新幹線はないというのです。これもまた不思議な話ですね。こういう矛盾が出てくる。
 それからまた、京葉線、これは貨物線ですが、京葉線は蘇我から千葉貨物ターミナル間の貨物線であります。これはやはり貨物密度等を見てまいりますと廃止対象線区になりそうですね。たとえば五十四年度だけ見てみますと、貨物輸送量が三千九十七トンです。そして、いわゆる貨物輸送密度、これは千三百五トンですかな、これはあと三倍以上輸送密度を上げませんと廃止対象の線区になってしまう。ところが、この京葉線というのは、大体大井埠頭の東京貨物ターミナル、ここまでずうっと延ばしていくという、そういう計画のある線なんですよ。そうですね。これは、計画を言いますと、総工事費は三千八百五億円です。現在までにはその半分も使ってないのですが、千六百億円工事に投入している。そういう状況ですね。そういたしますと、こういう京葉線についても、これからぐるっと東京湾を一回りして東京貨物ターミナルまで結ぼうという、こういう京葉線も、あの基準でいけば廃止、ぶっ壊す。そうすると、今度は新たに東京貨物ターミナルまでつくるというときにまたつくり直さなければいかぬというような、そういうような非常に不合理といいますか、そういう矛盾が出てくるわけですね。
 ですから、私は、この前大臣や鉄監局長が御答弁になりました、いわゆる公布の日において国鉄の線路名称、これで固定して考えていくんだ、これで区分していくんだ、こういう考え方はいまのような大きな矛盾がたくさん出てまいりますけれども、その点についての御所見を伺いたいと思います。

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