国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

第093回国会 衆議院運輸委員会 第7号 第十九話

2015-10-23 21:54:23 | 国鉄関連_国会審議
すみません、またしばらく開いてしまいましたが、国会審議も再開させていただきます。

今回の目玉は、第3次全国総合開発計画と国鉄のローカル線問題を絡めたお話がその中心になりそうです。
今回の質問では国鉄から建設省並びに国土庁に移ったようですが、この時点では建設省には具体的に廃止路線の話は来ていないとういことで、ローカル線の廃止に関する具体的な取り組みなどについては明言を避けています。
ただ、鉄道を廃止=自動車輸送の増加=道路の整備・・・完成する頃には今度は町自体が衰退と言うパターンが多い、実際にここでも出てくるモデル定住圏構想なるものは、地方に居住のための拠点を作ると謳っていますが、実際に計画された定住地域と言うのは現在でもかなり交通の便が悪い地域であり、どのような理由からこうした構想が立ち上がったのか今見ても首を傾げざるを得ません。。

実際の、当時の昭和55年に国土庁のモデル定住圏計画と言うのは非常に興味のある話かと思います。
現在の地域創生と言うのであれば、本来であればこうした定住圏計画を地方の核となる都市を作り、そこでまず人口の増加を図る、そのうえで地方を結ぶ交通網(鉄道・自動車道)と言ったものを総合的に計画していく、既存の鉄道等がある場合はそれを活用することで単位時間当たりの大量高速輸送を実現することで道路負担の軽減と道路建設までの時間稼ぎを鉄道で行ってもらうという手法が大事かと思います。

> モデル定住圏計画は、圏域内の自然環境、生活環境及び生産環境を総合的に整備いたしまして、人口の地方定住を図ることを目的として推進するものでございまして、それぞれの地域の実情を踏まえまして交通体系の整備を図ることも非常に肝要なことであると考えておるわけでございます。

しかし、この図を見ていただくと判るかと思いますが、かなり地域的に無理がある。
現在でも、どれほど交通の便はいいと言えるでしょうか?

> 定住圏計画ということでモデルとして設定されましたその地域を通過している、恐らく問題となるであろうという路線について見ますと、資料をいただいておりますだけでも、青森の津軽地域における黒石線を初めとして二十一路線があるわけであります。

正直この構想では浜松市や関西であれば大阪府の泉州地域彦根・長浜地区は良しとしてもそれ以外はかなり不便な地域であると言えます。
実際に定住を求めるのであれば、それなりの交通の確保は大事かと思われますがそういった視点は抜け落ちていたようです。

> それは国土庁が中心的に取り組んでいる定住圏計画、何といっても地域の生活基盤であり、そこでの交通体系がどうなるかということが非常に重要な役割りを担っておると私は思いますから、それがいざ事が進んだ場合には全く練り直す必要が出てくるのではなかろうか。こうして建設省の関係でも、国土利用計画につきましても、大変大きな影響を与えることになるのではないかと考えるわけであります。そういたしますと、いざ決定して二年間で調整するということを言っても、それではとても間に合わないような事態が国土、建設両省庁の関係でもたくさん出てくるのではないかと私は考えざるを得ないわけであります。したがって、この問題は二年間、見切り発車の問題とも関係するわけでありますけれども、この点については大変大きな問題として指摘しなければなりません。

確かにこうした点が十分議論されないまま国鉄改革は進み、ローカル線の廃止は進みました。その結果、昭和60年御決算では償却前ベースでわずかながら黒字を計上したのですが、総合交通体系が抜け落ちた上に、地方自治体も財政難であり、公園・病院・上下水道などの生活基盤の整備ができず、地方都市を住みやすくする具体的な計画も描けず、かけ声だけの定住圏構想で終わったと言われています。


*************************以下は国会審議の資料から****************************

○萩原説明員 お答えいたします。
 国鉄の特定地方交通線の廃止の問題でございますけれども、これにつきましては、現在のところ具体的に運輸省当局さんから説明を受けておりません。したがいまして、詳細な検討は行えない段階にございます。しかし、廃止に伴いまして必要となりますバス路線の確保という問題は非常に大きな問題でございますので、その観点から対象路線選定のあり方というものについても建設省としても検討いたしたいというふうに考えておりますし、具体的路線にかかわる所要の道路の整備については関係機関と十分協議をいたしながらその措置のあり方を詰めていきたい、こういう段階でございます。

○寒川説明員 お答えいたします。国土庁におきましては、三全総に基づきます定住構想を推進いたしますために、政府施策の一環といたしましてモデル定住圏計画を推進しているところでございます。モデル定住圏計画は、圏域内の自然環境、生活環境及び生産環境を総合的に整備いたしまして、人口の地方定住を図ることを目的として推進するものでございまして、それぞれの地域の実情を踏まえまして交通体系の整備を図ることも非常に肝要なことであると考えておるわけでございます。
 国鉄地方交通線の問題につきましては、特に地域の交通に大きな影響を及ぼすところもあると思われるわけでございますけれども、国鉄の経営再建も重要な課題でございますので、今後関係省庁との調整を図りながらモデル定住圏計画の推進にそごを来すことのないよう対処してまいりたいと思っております。

○山花委員 建設省の関係でも、要するに、これまでアウトラインについてはそれぞれお話は伺っているけれども、まだ具体的な中身について不明であるから、今後の道路行政のあり方、そのことについては全く手がついていない、具体的な施策になって初めて手がつく、こういうお答えだと思います。国土庁についてもほぼ同じであるわけでありますけれども、たとえば定住圏計画ということでモデルとして設定されましたその地域を通過している、恐らく問題となるであろうという路線について見ますと、資料をいただいておりますだけでも、青森の津軽地域における黒石線を初めとして二十一路線があるわけであります。そうなりますと、それは国土庁が中心的に取り組んでいる定住圏計画、何といっても地域の生活基盤であり、そこでの交通体系がどうなるかということが非常に重要な役割りを担っておると私は思いますから、それがいざ事が進んだ場合には全く練り直す必要が出てくるのではなかろうか。こうして建設省の関係でも、国土利用計画につきましても、大変大きな影響を与えることになるのではないかと考えるわけであります。そういたしますと、いざ決定して二年間で調整するということを言っても、それではとても間に合わないような事態が国土、建設両省庁の関係でもたくさん出てくるのではないかと私は考えざるを得ないわけであります。したがって、この問題は二年間、見切り発車の問題とも関係するわけでありますけれども、この点については大変大きな問題として指摘しなければなりません。
 そして、いまの両省庁のお答えを前提といたしまして次に質問いたしたいと思うのですけれども、今回の法案でも、先ほどの話でも建設省からありましたとおり、バス路線転換問題については一定の資料など私たちも拝見したりするわけでありますけれども、旅客の輸送と同時に物の輸送の関係もあるわけであります。貨物輸送につきましても、シェアをトラックなどに奪われているとはいえ、なお一定程度の輸送を引き受けているわけでありますけれども、この物の輸送についてのトラック転換の問題は一体どうなっているのか。かつても予算委員会で問題となりましたけれども足尾線の問題、これはもし廃止されるとなれば古河鉱業の濃硫酸を積んだトラックが町中を大量に走らなければならないといった問題、どうするかということで、このトラック転換の問題が議論されてきたりしているわけであります。
 その観点から、地方交通線等選定基準案ということで私は資料を拝見いたしましたけれども、旅客の関係の次の物資の関係ということで、一つの基準、四千トン以上である営業線については幹線鉄道網を形成する営業線の基準に当てはまるとするけれども、四千トン以下については外すのだ、こういう内容だと伺っております。こういう基準は一体どうしてつくったのか、その基準をつくったあり方についてお伺いをしたいと思います。
 もう一つの問題は、バス転換だけではなくトラック転換の問題についても、これは周到な準備をしなければ地域の生活環境破壊、大混乱を生ずるのではないかと思うわけでありますけれども、この点について大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。

○山地政府委員 まず、大量定型輸送ということが、都市間の旅客輸送とあわせて私ども国鉄の今後のあり方として一つの考え方であろうかと思います。そこで、大量定型輸送というものがどういうものであるかということで、私どもの方で国鉄の現在の貨物輸送の状況から考えまして三百トン以上のものを十二列車ぐらい走らせるというのが大量定型輸送であろうかと考えて四千トンという基準をつくったわけでございますが、四千トン以下のものにつきましては大量定型輸送とは考えられませんので、それらについては、旅客の特定地方交通線の廃止に伴いましてその部分については第三セクターに移るなりあるいはトラック転換するなりその地域の効率的な輸送体系という観点からいろいろこれは考えていかなければならない、かように考えているわけでございます。

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