国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第2話

2023-05-21 09:41:36 | 国鉄関連_国会審議

今回も、引き続き昭和33年10月7日開催の、社会労働委員会のは無しから抜粋させていただきます。

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今回も、国鉄関係の話が出てこないのですが、一連の流れの中で官公労と呼ばれた郵政の問題を取り上げていますので、広い意味での労働運動という視点でご覧いただきたいと思います。

全逓による「物溜め闘争」と国民生活(はじめに)

私も郵便局・郵政局に身を置いたものとして、現場並びに地方分部局から見た郵便局と言うことで両方の経験をさせていたノで、最初の少しだけ見解を述べさせていただきます。
郵便局では、郵便物のことを「ブツ」という言い方をして、それを滞留させることを「溜め」という言葉を使っていました、正式には郵便物が溜まることは「滞留」というのですが、現場では一般的に「物溜め」という言葉が使われていました。
余談ですが、バイクの後ろに積む籠を関西地区だけかも知れませんが、「ぼて」といい、他の地域では「ファイバー」と呼ばれていたようです。

さて、そこで改めて「物溜め闘争」を闘争の中心と全逓が行ったかという点からお話しを始めたいのですが、郵政の根幹は、なんと言っても郵便でありこれは現在の日本郵便にあっても変わりはありません。
昭和30年代前半、国鉄が陸上輸送の7割以上を独占する企業であったように、通信手段として電話・電報しかなかった時代。一般的な通信手段は郵便しかなくて。郵便は国営独占企業として全国津々浦々にサービスを届けていました。
特に末端部分、配達部門が機能していないと郵便物は溜まっていくばかりであり、滞留ということになります。
特に配達は現在もそうですが、人力による手作業なので、その配達員が一斉にサボタージュしてしまうと業務はたちまち止まります。
もちろん、集配職員だけに限らず、郵便内務職員も区分の速度を敢えて下げて結束を遅らせる。結束を遅らせる手法もありましたが、(部内用語で、郵便物を区分して、他の地域の郵便局毎に区分するの作業があり、これをトラック便や鉄道便に乗せることを結束といい、鉄道ダイヤのように所定の工程表があるわけで、この工程表にそって郵便物を送れないと結束漏れということになり、言わば事故扱いとなるわけで、郵便内務職員にすれば結束漏れは一番恥ずかしいことでした。)その多くは、配達先による郵便物を敢えてゆっくり配達して残していくという、方法が一般的でした。
特に配達で滞留が発生しやすいのは、内務であれば人海戦術で管理者でも対応可能ですが、配達の場合、ここの家々の場所を覚えねばならず、すぐに言ってと言うわけにも行かないという事情もありました。
当時の全逓は、国労と並ぶ総評の双璧で、発言力も大きく、強力なこうした闘争から、「権利の全逓」などとよく言われたもので、結束を誇示するために郵便局支給の防寒着ではなく、全逓ジャンパーを着て勤務する職員などもいました。もちろんこれは服務規程違反なのですが、そうしたことを注意できない管理者も多く、酷い郵便局では管理者が現場で仕事を手伝うなんてことが日常茶飯事的になっていました。
私が初めて岸和田郵便局の郵便課に配属された頃は、それまでの激しい闘争は影を潜めていましたが、昔の闘争をしる職員などからは、色々と聞かされたものでした。
さて、前置きが長くなってしまったのですが、当時【1958年】の全逓の様子をご覧いただこうと思います。

郵便物の遅配が酷いという件について

ここで、全国的に郵便局の遅配が全国的ではないものの一部の地域で続いていると言うことで国会で議論されているわけですが、ここでも書かれていますが、集配職員による、超勤拒否と、作業遅延による物理的時間切れを狙っているということです。
特に問題としているのは、当時は通信手段というのが郵便だけですので、その郵便が届かないことによる機会的損失等が発生することについて強い懸念を示しています。

○大坪委員 それでは私は、もう時間も非常に迫りましたりしますから、この点について実情を少しお尋ねし、また労働大臣にその点についての御見解もお尋ねしたいと思います。
 最近の実情は、この際私が多くを申し上げる必要もないと思いますが、新聞紙等で十分伝えられておりますから皆さん御承知の通りでありますが、郵便物の遅配が、全般的ではありませんけれども、所によって、はなはだしいものがある。それが国民に非常に大きな迷惑を及ぼしておる。特に今日はいわゆる就職時期でございまして、今度来年に学校を出ようという人たちの就職口に対する関心というものはきわめて深く、きわめて真剣なものがあるのであります。これは一生の運命を決することでありますから、まさにしかるべきものである。それが郵便物の遅配のために非常に大きな損害を受けている向きもあるというふうなことも聞くのでありまして、しかもその遅配の状況が今日なお続いておるようであります。申すまでもなく郵便のことは国営企業でありまするし、国民の生活にきわめて密接しておる公益公共の事業でありますから、こういう事態はすみやかに解消されて、事態が正常化することを望むわけでありますが、そういう見地から私はお尋ねしたいと思うのであります。
 私は時間をなるべく急ぎたいと思いますので、お答えも簡潔に願いたいと思いますが、新聞紙で伝えるところによりますと、郵便物の最近の遅配の原因は全逓の超過勤務拒否による能率低下のためだと言われております。そこで、どこの郵便局でも一体そうであるのかどうか、これは特殊の局に限られておるのであるかどうか、遅配がもう現に現われている局は一体どれくらい全国的に見てあるのか。それからもう一つ、ついでにここで伺っておきたいと思いますが、労働基準法三十六条に基いて、現場でいわゆる三六協定を結んで超勤の措置を講じておられるものがあるのではないかと思いますが、それがあればどのくらいの数が現在なされているか。この点をまず郵政当局にお尋ねします。

この質問に対して、下記のようにいくつかの拠点で、遅延が発生しているとしており。
ここで布施局のなまえがでてくるのですが、私が郵政局で勤務していた頃は、布施は業務困難局には名前が挙がっていなかったように思いますので、改善がなされたのかも知れません。それ以外にも業務困難局と呼ばれた局はありましたが、直接の話しではないので割愛します。

○佐方説明員 お答え申し上げます。現在遅配を生じております局は主として東京都内でございますが、東京都内で四、五局ございます。それから新潟県で三局ございます。それから名古屋管内で五、六局ございます。それから大阪で一局、布施というところが非常に大きくたまっております。それから熊本で四、五局という状況でございます。それから三六協定を現場で結んでいるところは、現在普通局で三十局ほどございます。それは主として東京と大阪の管内でございます。
○大坪委員 ただいまお示しのような数字であれば、日本全体の郵便局の数に対してきわめて少数であるように思われます。これが原因については、ことしの春の春闘に全逓の行き過ぎがあって、従って公労法その他に基いて解雇がなされた、その解雇をなされた人たちが、解雇をされれば現在の公労法四条三項によれば組合員となることも組合の役員となることもできないのであるのにもかかわりませず、その後、ことしの七月でしたかの全逓大会においてこれを再び役員に選任した、そうしてその解雇された人が全部代表権を持つ役員に選任されたということで、従って郵政当局との交渉ができなくなっておる、そのためだ、こういうことが言われておりまして、それに基いて超過勤務等に関する労働協約が結べないからである。労働組合側の主張は、当局が団交に応じないからだというようなことを言っておるのでありますが、またその場合、労働組合側の主張というものは、私どもが新聞紙上等で伺ったところによれば、本来人員が足りないのだ、仕事の量に対して人間の手当が十分でないのである、従って、八時間労働ですか、正規の労働時間を働いていくのであれば、当然この程度の遅配は起るのだ、従って、それを補うために超過勤務の措置を労働協約を結んでやっておるのを、労働協約締結のための団交に応じないから、その責任は郵政当局にあるのだという言い方をいたしておる。この問題に対しては、そういうことがあるとすると、ほんとうに超勤でなければやれないということであれば、これはこんな程度の局でなしに、もっと全国的に郵便物の遅配というものが起ってこなければならぬと思うのであります。それらの点を考えてみますと、これはやはり単なるいわゆる順法闘争、規定の時間内だけ動いたということでこの遅配が起ったというのでなしに、何かそこにやはり怠業状態があるのではないかということが察せられるのであります。その点については実際はどうであるか。この団交拒否といいますかの措置がとられておる以前と以後に比べて、どうしても超過時間の労働でなければ処理できないような実情にあるのか、たとえばその以前の郵便配達手の受け持ち郵便物数はどのくらいであって、この遅配を起したところの郵便局の配達状況はどういうふうであるか、そういうことがもしわかっておれば、と申しますのは、私はそこに、どうしても、単にいわゆる順法闘争ということによってのみ遅配が生じたのではなしに、特別の怠業がなされたがために遅配がひどく現われておるということではないか、こういう感じを持つのでありますが、その点を伺いたいと思います。

ここで、全逓も解雇された職員を組合役員に選出したと言う問題が指摘されています。
この方式は、国鉄の動労【当時は機関車労組】が最初に行った手法で、その後国労も同じ手法で、解雇者を組合役員に採用したことで問題になった方法でした。
国鉄は、団交拒否をおこないますが、結局こうした前例で解雇者による専従役員という流れはその後も鉄労以外では続いていきます。
全逓も、この時に解雇者を組合役員に選出しているので、解雇したくても解雇できないわけです。既に、職員としての席がないわけです。

○佐方説明員 お答え申し上げます。団交を拒否いたしましたために、組合といたしましては無期限の超勤拒否をやったということを言っておるわけであります。そのために業務が動かないのだという主張をいたしておりますけれども、御承知のように郵便物は毎日非常に違うわけでございます。月曜日は非常に少いとかほかの日は多いとかいうので、かねてある程度の超勤は予想しておりますけれども、超勤を拒否いたしました分につきましては、これは実は六月十日以降超勤の協約がございませんので、そこの局につきましては、必要なときには非常勤者を使って処理をしてきております。そういうことで、全国的に今まで運用して参りましたけれども、特殊の、今申し上げましたような局におきましては、非常勤者を投入いたしますと、その人に仕事の手順を教えないというようなこと、それから常勤者が勤務時間中に働いておりますときに、普通よりもぐっと能率を落して、たとえば今まででありますと七百通ぐらい配達いたしておりましたのに、二百通しか配達しないというようなことを順法闘争と称してやっておるというような事実がありまして、そういうところだけがこういうふうな遅配の状況を起しておるという現状であります。

これに対して、大坪委員は公労法第一七条に明らかに違反しているのではないかと言うことで質問を入れています。
最も、郵政省の場合は、公共企業体ではないのであるが、郵政もその職務の関しては現業機関であるので、この法律を準用すると明言する方が良いことになるのですが、郵政省としては処分は発令するものの、公労法を盾にとっての処分ではなく、懲戒処分による停職を発令したとされています。この辺の難しさあるのでしょうね。

参考:公共企業体労働関係法 法律第二百五十七号(昭二三・一二・二〇)
現:行政執行法人の労働関係に関する法律 から引用

第十七条 職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。又職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。

2 公共企業体は、作業所閉鎖をしてはならない。

○大坪委員 ただいまの人事部長の御答弁を伺いますと、これはやはりどうしても明らかに怠業と見なければならぬと思います。怠業の状態があれば、これは御承知のように公労法十七条に明らかに違反する、業務の正常なる運営を阻害しているということになると思う。従ってこれは、行為当事者も、またこれをいわゆるあおり、そそのかした者も、当然その次の十八条によって、私は処分されなければならぬと思う。あるいはまた郵便法の規定にもございましょう。これらの者に対して一体どういう措置をなさっておいでになるか。これは言うまでもなく、何人でも、自分に関係した郵便物の遅配が自分の身に起って、そのためにたとえば自分の子供なり兄弟なりが就職試験にも間に合わなかったという事態が起れば、おそらく痛切に感ぜられるだろう、こう思うのであります。これは郵便業務の公共性、公益性その国民生活に関係する程度の大きさ、深さ、そういう点からして、私どもは事柄を憂うるがために、あえてきょう御質問申し上げておるわけでありますが、明らかに今のようなことであれば怠業である。怠業であれば公労法十七条に明らかに違反する。それらに対する措置をやはりとらなければ私はいかぬと思う。どうも社会秩序の乱れるというようなことは、信賞必罰と申しますか、こういう措置がとられないからである。そういう点を私どもは痛感するのでありますが、何かその処分についてはこれまでになされておるかどうか、あるいは今後の方針はどうであるか。
○佐方説明員 実はそういう怠業的な行為がございまして、それに対しまして郵便局長からたびたびそういうことをしないで普通の通り配達をするようにというようなことで今まで説得して参ったのでありますが、東京都内におきまして葛飾と城東の局だけは、特にその様子がひどうございましたので、九月に処分をいたしました。ただしそれは直ちに公労法によって首ということはいたしませんで、停職処分をいたしまして、職場をあまり乱しておりますので、その職場から出てもらうということをいたしました。あとのことにつきましては、その後組合内部におきましても、その二局は少し行き過ぎておるというような批判もありましたようで、九月の末から逐次平常の姿に持っていこうというような動きになっております。たまたま水害の問題もありましたので、基準法三十三条の発動によりまして超過勤務をやるということで、この二、三日の模模では、逐次おさまっていくのではないかという見通しでございます。

*********************以下は、議事録の全文を掲載しております*********************

○園田委員長 人事部長が来ております。
○大坪委員 それでは私は、もう時間も非常に迫りましたりしますから、この点について実情を少しお尋ねし、また労働大臣にその点についての御見解もお尋ねしたいと思います。
 最近の実情は、この際私が多くを申し上げる必要もないと思いますが、新聞紙等で十分伝えられておりますから皆さん御承知の通りでありますが、郵便物の遅配が、全般的ではありませんけれども、所によって、はなはだしいものがある。それが国民に非常に大きな迷惑を及ぼしておる。特に今日はいわゆる就職時期でございまして、今度来年に学校を出ようという人たちの就職口に対する関心というものはきわめて深く、きわめて真剣なものがあるのであります。これは一生の運命を決することでありますから、まさにしかるべきものである。それが郵便物の遅配のために非常に大きな損害を受けている向きもあるというふうなことも聞くのでありまして、しかもその遅配の状況が今日なお続いておるようであります。申すまでもなく郵便のことは国営企業でありまするし、国民の生活にきわめて密接しておる公益公共の事業でありますから、こういう事態はすみやかに解消されて、事態が正常化することを望むわけでありますが、そういう見地から私はお尋ねしたいと思うのであります。
 私は時間をなるべく急ぎたいと思いますので、お答えも簡潔に願いたいと思いますが、新聞紙で伝えるところによりますと、郵便物の最近の遅配の原因は全逓の超過勤務拒否による能率低下のためだと言われております。そこで、どこの郵便局でも一体そうであるのかどうか、これは特殊の局に限られておるのであるかどうか、遅配がもう現に現われている局は一体どれくらい全国的に見てあるのか。それからもう一つ、ついでにここで伺っておきたいと思いますが、労働基準法三十六条に基いて、現場でいわゆる三六協定を結んで超勤の措置を講じておられるものがあるのではないかと思いますが、それがあればどのくらいの数が現在なされているか。この点をまず郵政当局にお尋ねします。
○佐方説明員 お答え申し上げます。現在遅配を生じております局は主として東京都内でございますが、東京都内で四、五局ございます。それから新潟県で三局ございます。それから名古屋管内で五、六局ございます。それから大阪で一局、布施というところが非常に大きくたまっております。それから熊本で四、五局という状況でございます。それから三六協定を現場で結んでいるところは、現在普通局で三十局ほどございます。それは主として東京と大阪の管内でございます。
○大坪委員 ただいまお示しのような数字であれば、日本全体の郵便局の数に対してきわめて少数であるように思われます。これが原因については、ことしの春の春闘に全逓の行き過ぎがあって、従って公労法その他に基いて解雇がなされた、その解雇をなされた人たちが、解雇をされれば現在の公労法四条三項によれば組合員となることも組合の役員となることもできないのであるのにもかかわりませず、その後、ことしの七月でしたかの全逓大会においてこれを再び役員に選任した、そうしてその解雇された人が全部代表権を持つ役員に選任されたということで、従って郵政当局との交渉ができなくなっておる、そのためだ、こういうことが言われておりまして、それに基いて超過勤務等に関する労働協約が結べないからである。労働組合側の主張は、当局が団交に応じないからだというようなことを言っておるのでありますが、またその場合、労働組合側の主張というものは、私どもが新聞紙上等で伺ったところによれば、本来人員が足りないのだ、仕事の量に対して人間の手当が十分でないのである、従って、八時間労働ですか、正規の労働時間を働いていくのであれば、当然この程度の遅配は起るのだ、従って、それを補うために超過勤務の措置を労働協約を結んでやっておるのを、労働協約締結のための団交に応じないから、その責任は郵政当局にあるのだという言い方をいたしておる。この問題に対しては、そういうことがあるとすると、ほんとうに超勤でなければやれないということであれば、これはこんな程度の局でなしに、もっと全国的に郵便物の遅配というものが起ってこなければならぬと思うのであります。それらの点を考えてみますと、これはやはり単なるいわゆる順法闘争、規定の時間内だけ動いたということでこの遅配が起ったというのでなしに、何かそこにやはり怠業状態があるのではないかということが察せられるのであります。その点については実際はどうであるか。この団交拒否といいますかの措置がとられておる以前と以後に比べて、どうしても超過時間の労働でなければ処理できないような実情にあるのか、たとえばその以前の郵便配達手の受け持ち郵便物数はどのくらいであって、この遅配を起したところの郵便局の配達状況はどういうふうであるか、そういうことがもしわかっておれば、と申しますのは、私はそこに、どうしても、単にいわゆる順法闘争ということによってのみ遅配が生じたのではなしに、特別の怠業がなされたがために遅配がひどく現われておるということではないか、こういう感じを持つのでありますが、その点を伺いたいと思います。
○佐方説明員 お答え申し上げます。団交を拒否いたしましたために、組合といたしましては無期限の超勤拒否をやったということを言っておるわけであります。そのために業務が動かないのだという主張をいたしておりますけれども、御承知のように郵便物は毎日非常に違うわけでございます。月曜日は非常に少いとかほかの日は多いとかいうので、かねてある程度の超勤は予想しておりますけれども、超勤を拒否いたしました分につきましては、これは実は六月十日以降超勤の協約がございませんので、そこの局につきましては、必要なときには非常勤者を使って処理をしてきております。そういうことで、全国的に今まで運用して参りましたけれども、特殊の、今申し上げましたような局におきましては、非常勤者を投入いたしますと、その人に仕事の手順を教えないというようなこと、それから常勤者が勤務時間中に働いておりますときに、普通よりもぐっと能率を落して、たとえば今まででありますと七百通ぐらい配達いたしておりましたのに、二百通しか配達しないというようなことを順法闘争と称してやっておるというような事実がありまして、そういうところだけがこういうふうな遅配の状況を起しておるという現状であります。
○大坪委員 ただいまの人事部長の御答弁を伺いますと、これはやはりどうしても明らかに怠業と見なければならぬと思います。怠業の状態があれば、これは御承知のように公労法十七条に明らかに違反する、業務の正常なる運営を阻害しているということになると思う。従ってこれは、行為当事者も、またこれをいわゆるあおり、そそのかした者も、当然その次の十八条によって、私は処分されなければならぬと思う。あるいはまた郵便法の規定にもございましょう。これらの者に対して一体どういう措置をなさっておいでになるか。これは言うまでもなく、何人でも、自分に関係した郵便物の遅配が自分の身に起って、そのためにたとえば自分の子供なり兄弟なりが就職試験にも間に合わなかったという事態が起れば、おそらく痛切に感ぜられるだろう、こう思うのであります。これは郵便業務の公共性、公益性その国民生活に関係する程度の大きさ、深さ、そういう点からして、私どもは事柄を憂うるがために、あえてきょう御質問申し上げておるわけでありますが、明らかに今のようなことであれば怠業である。怠業であれば公労法十七条に明らかに違反する。それらに対する措置をやはりとらなければ私はいかぬと思う。どうも社会秩序の乱れるというようなことは、信賞必罰と申しますか、こういう措置がとられないからである。そういう点を私どもは痛感するのでありますが、何かその処分についてはこれまでになされておるかどうか、あるいは今後の方針はどうであるか。
○佐方説明員 実はそういう怠業的な行為がございまして、それに対しまして郵便局長からたびたびそういうことをしないで普通の通り配達をするようにというようなことで今まで説得して参ったのでありますが、東京都内におきまして葛飾と城東の局だけは、特にその様子がひどうございましたので、九月に処分をいたしました。ただしそれは直ちに公労法によって首ということはいたしませんで、停職処分をいたしまして、職場をあまり乱しておりますので、その職場から出てもらうということをいたしました。あとのことにつきましては、その後組合内部におきましても、その二局は少し行き過ぎておるというような批判もありましたようで、九月の末から逐次平常の姿に持っていこうというような動きになっております。たまたま水害の問題もありましたので、基準法三十三条の発動によりまして超過勤務をやるということで、この二、三日の模模では、逐次おさまっていくのではないかという見通しでございます。


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