国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

衆議院 運輸委員会17号(国会審議から抜粋)昭和四十九年三月二十日(水曜日) 第4部

2013-05-27 09:45:54 | 国鉄関連_国会審議
皆様、おはようございます。
本日も、運輸委員会からの記事を配信したいと思います。
ここでは、大変興味深い話が出てきます。
それは、名古屋新幹線騒音訴訟に関してに記事なのですが、当時国労‥動労は住民訴訟支援として、違法な減速闘争を行なっています。
 本来のスピードである160km/h程度を70Km/hに減速して運転したという記事です。
これは当時の鉄道雑誌にも載っていましたが、それによる遅延はほぼゼロであり、住民も喜んでいるといった記事でした。
 記事だけで見ればそうなのですが、普通の考えれば余裕時分を自ら削って運転しているわけで、本来の運転士の職人魂から言えばどうなんだろうという気がします。
 また、この減速闘争の区間は訴訟区間の名古屋だけであり、それ以外の同様の地域で実施されれば、運転時間は約1時間伸びて、東京~新大阪間で4時間、こだまだと5時間となるとのことであり、こうした点が裁判での争点となりました。
 結果的には、公共性というものが評価されて、地域住民の一部住居移転を含めての騒音化対策工事を実施する必要があるが、最終的には住民敗訴だったと記憶しています。
 その辺の判決文等は後日アップしたいと思います。
 それでは、本日もじっくりご覧くださいませ。

○加藤(六)委員 もちろんあの時点から言うと、急激に変化し、大阪の空港周辺整備の判決も出、当委員会においてそういう法案の内容も審議する過程から、一日も早く国鉄にそういう騒音、振動対策を出してもらわなくちゃならないという私たちの気持ちがあるのですが、八百億を少々オーバーするとか、あるいはその中からどうのこうのというのがあっても、それはある面で言えばもうへ理屈になるので、要は、それよりか新幹線沿線の住民の皆さん方に安心してもらえる対策というのがあるならば、十兆五千億の中での操作、あるいは逆に十兆五千億そのものも見直さなくちゃならないのじゃないかという気持ちもありますから、そこら辺はあまりこだわりを持たずに、率直な心境を御披瀝いただければいいんじゃないかと思うわけでございます。
 その次に、質問を変えますと、大体既存新幹線の防音を推進していかなくてはならない、まあ鉄橋が幾らだとか、アパートが幾らだとか、その鉄橋の場合でもいろいろな議論がありますが、そういうことは一切抜きにして、新幹線に沿うた、大体何キロぐらいがこの騒音対策推進の地域になるのでしょうか。世にいわれておる名古屋の三地区だけがそうなるのでしょうか、どうでしょうか。
○井上説明員 主としてやはり都市の密集地帯が問題になりますので、東京を出まして、静岡、豊橋、名古屋、ずっと行きまして、大体その密集地帯の総延長キロを考えますと百三十五キロぐらいになります。そのほか、都市の密集地帯でなくても、無道床の鉄げたのところがございます。そういうところはやはり相当な騒音を出しますので、そういったところの騒音対策を考えていかなくちゃなりません。そういう場所が、いま申しました百三十五キロ以外のところで約二十カ所ほどございます。そういった点について今後私ども鋭意対策を講じていかなくちゃならぬと考えております。
○加藤(六)委員 そうしますと、この新幹線で、特定の組合の名前をあげて恐縮ですが、国労、動労は、いままで減速闘争といいますか、違法な行為をやっておりましたですね。そうすると、その区間全部がそういう減速をやられますと、ダイヤが大幅に狂うとか、東京-大阪間「ひかり」で三時間十分、東京-岡山間四時間半あるいは四時間十分、「ひかり」でも新大阪以降にはとまる駅の内容が違いますので、時間は若干狂いますが、減速闘争でやられますと平均どのくらい時間の誤差というものが出るわけでしょうか。
○井上説明員 現在動労が減速闘争をやっておりますのは、名古屋駅の近くのわずかに九キロぐらいのところでやっておるのでございまして、このくらいのところでたとえば百十キロぐらいに速度を落としましても、本来ダイヤというものには安全性を見越して多少の余裕を見ておりますから、その余裕時分の中でまかない得る程度の時間のおくれでございます。したがいまして、その程度でございますと、新大阪に着くまでに大体取り戻せるというぐらいのものでございますが、先ほど私が申しましたように、それと同じような場所が延長にいたしまして約百三十五キロ、そのほかにまた、都市の密集地帯ではございませんけれども、やはり相当の騒音を発する個所として二十カ所ぐらいは同じ状態になりますので、そういうところを全部同じようなことで減速していくということをかりに認めますれば、現在三時間十分で新大阪まで行っておりますのが、一時間半はよけいにかかる、四時間四十分かかる、こういう一応の計算はいたしております。
 現在三時間十分で行っておりますのが四時間四十分かかって行くということになりますと、輸送力は大ざっぱに申しましても六割ぐらいに落ちます。六割に落ちるということになりますと、現在でも一日三十万の旅客を新幹線で運んでおります。しかもそれが相当な好況でありまして、お客さんは非常に切符が買えないとかいうことで御不便を願っている場合も間々出ておりますが、それが六割に輸送力が落ちるということになりますと、非常な輸送制限をせざるを得なくなる、こういうことで、国民の皆さま方に非常な御迷惑をかける、こういうことになります。また、四時間四十分かかるということになりますと、全国的にダイヤの改正ということの問題も派生してまいりますし、これは相当大きな問題でございます。
 また、輸送力の問題で大ざっぱに申しまして六割に輸送力が落ちると申しましたが、それじゃ車をふやしてその輸送力の落ちるのをカバーできやしないかという御議論も出てまいりますけれども、確かにそれは車をふやしまして列車回数をふやせば輸送力の減をある程度カバーできますが、それには約四百両ぐらいの車も要しますし、四百両車がふえるということになりますと、それに相応するぐらいに車両基地をつくらなければならぬ、こういうような問題にもなります。また、そういうような手当てをいたしましても、東京から新大阪まで行くのに一時間半よけいにかかるということは、終列車を一時間半早く出さなくちゃならぬということにもなります。それはもう物理的にカバーできない問題でございまして、その面からいたしましても、いかに車をふやしましても最終的にカバーできないのが一割以上の輸送力の減が出てまいる、こういうことでございまして、非常に大きな問題を実はこの問題ははらんでおるということを御了解いただきたいと思います。
○加藤(六)委員 私は、実は減速闘争から長期収支計画の旅客と貨物の輸送量の問題に触れようと思うておったら、副総裁が先にそういう問題についての御説明があったわけでございます。この新幹線騒音問題はこの程度にしておきたいと思いますが、この新聞へ出たのは、運輸省から漏れたとか出たのではなくして、国鉄当局が安全協議会の席で話し合いのときに出されたということでございますが、こういう問題は、一番先に提示するのは国会ではないかと思うのです。国会へ一番先に提示し、国会でいろいろ議論した上で私はそういう問題はするのが一番正しい筋ではないかと思います。内容については、いまここで議論いたしますと、また騒音関係の法律での問題とか、あるいはいろいろな問題等になりますし、また在来線とか、あるいは市電とか、あるいは八十五ホン以上の虎の門の――電車も鉄道も全然通っていないところの騒音問題とか、いろいろな問題に波及してきます。したがって、そういう内容には触れませんけれども、手続の問題としては、もちろん悪いと言うのではありませんが、労使の席に出すというのもいいかもしれませんけれども、いままで当委員会においてこの問題はたびたび議論しておったわけです。また、当局に対して、これに対するはっきりした姿勢を示しなさいと言っておったわけです。そういうことで、ひとつこの問題は、そういう点においての問題としてはいささか遺憾であるということを申さしていただきます。
 その次に、長期収支計画のいまの輸送量の問題で御質問しようと思いましたが、減速闘争にからむものとして想定した場合に、副総裁からすでに答弁がございましたので、私はこの問題はもうこれ以上触れません。
 ちょっと話を変えまして、先般参議院の予算委員会において田中総理が表明された問題について、政務次官に少し承りたいと思います。
 それは、総理のああいう民営論的な、あるいは分割論的なお考えというものについて、運輸省あるいは政務次官はどういうお考えをお持ちなのか、ひとつ御説明いただきたいと思います。
○増岡政府委員 まだ総理のほうから直接御指示はありませんけれども、新聞紙上あるいはその他のいろんな情勢から判断しまして、また従来から運輸省独自の立場でいろんな面から検討いたしておるところでございますので、その作業を進めてまいりたいと思いますが、早急にはなかなか結論が出にくい非常に困難な問題ではないかというふうに考えております。

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