今でこそ、冷房は当たり前になってむしろ窓が開く鉄道車両のほうが珍しくなってしまいました。
窓を固定式にするというのは、鉄道事業者にとってもメリットが実は大きいんですね。
窓が開くということは、底から乗客が手や顔を出すリスクがあります。
下降式窓なら手や顔を出すことは考えにくいですが、上昇式窓などでは手や顔を出してなんていうことはよくありました。
国鉄の場合、特急は157系以外は製造当初から、157系は元々準急用としてデビューしたので、冷房改造が行われたのは昭和38年から、急行用に使われた寝台車を見てみますと、昭和40年代から現在のB寝台の冷房化が始まり、昼間の急行列車(座席車)もその頃後から冷房改造が始まりました。
通勤電車に至っては、昭和45年頃に冷房試作改造などが行われた頃からであり、旧型国電と呼ばれる、73形通勤電車や70系・80系と通称される電車にあっても冷房化がなされることはありませんでした。
個人的には300番台はデザイン的にもその後誕生する113系などと比べても見劣りしなかったので冷房化改造や新性能化改造して欲しかったなぁと個人的に思っているのですが、実は80系電車1両だけ冷房化された車両がありました。

これは、151系を設計する際に実際にユニットクーラーを取り付けてみることで夏場の空調の問題点を探ろうとしたもので、1957年8月にサロ85020に大井工場で改造工事が施され、屋根上に分散式冷房装置4基、床下にMGを搭載する改造工事が施工されたそうです。
これが旧型国電では唯一の冷房改造車だと言われています。
なお、この話には後日談があるようで、試験終了後はクーラーは取り外されたそうで、事業用車の冷房に使われたみたいです。
昭和30年代というのは1等車・・・冷房付き、2等以下。基本は冷房なし、食堂車・・・冷房付き(黄害対策)のためであり、それでもすべての食堂車が冷房化されていたわけではなく、半室食堂車(オハシ30)などは最後まで冷房化されることはなかったですね。
歴史にIFはないですが、せめて模型の世界だけでも80系電車300番台に冷房装置を付けたりして遊んでみたいものですね。
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