日本国有鉄道誕生までの経緯 第二話 ローカル線建設は国鉄の意思ではなかった
かなり間が空いてしまいましたが、再開したいと思います。
郵政でも、全逓(国労共々総評の労働運動を引っ張っていた存在であり、そうした意味では国労と切り離して考えることは出来ない組合であり、実際に昭和30年代から40年代にかけて過激な運動を繰り返していた組合でもありました。
この記事では、ILO87号条約、「結社の自由及び団結権の保護に関する条約」を批准させることで、公労法四条三項が削除されるのではないかと言うことで、政府も批准には慎重になっていたわけですが。
公労法四条三項とは、どのような法律なのでしょうか。
その前に、公労法第4条の条文をまず見ていただこうと思います。
- (職員の団結権)
- 第四条
- 1 職員は、労働組合を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。
- 2 委員会は、職員が結成し、又は加入する労働組合(以下「組合」という。)について、職員のうち労働組合法第二条第一号に規定する者の範囲を認定して告示するものとする。
- 3 前項の規定による委員会の事務の処理には、委員会の公益を代表する委員のみが参与する。
- 4 前条第二項及び第三項の規定は、前項に規定する事務の処理について準用する。
まずこれだけ見ても、わかりにくいのですが。
公労法第4条第二項で、「労働組合法第二条第一号に規定する者の範囲を認定」としてあるのですが、労働組合法第2条は、以下のように記されています。(但し、以降は省略)
第二条 この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体を
いう。
とされており、ここでの職員の範囲を郵政職員と限定しているわけですが、ILO87号条約では、「労使団体(連合体も含む)は、規約を作り、完全な自由のもとにその代表者を選び、管理・活動を決めることができる。行政機関はこれらの権利を制限したり、その合法的な行使を妨げたり、また、労使団体を解散したり、活動を停止させたりしない。」と書かれています。
仮に、87号条約が批准されてしまえば、全逓は(国労も同じですが)、解雇者を委員長として据えること事態が合法になると言うことで、これを避けようと言うことで、当局もかなり抵抗したと言うことになるわけです。
全逓は最近ILO条約87号、これの批准促進運動をあっちこっちでやっておるわけでありますが、これが促進されて、それに伴って公労法四条三項も削除されるというような法律改正がやがてなされるであろう。従って現在の違法状態をそのまま続けて無期限定時退庁の戦術を続けておって、結局法律改正を待って、今までの違法行為を合法的なものにする、そういう作戦もあるやに伝えられておる。こういったことは一応考えられそうなことであります。どうも世の中では悪いことをしてやがて、次の皇太子様の御結婚等によって大赦や特赦を願うというような不心得者もあるのでございますが、こういう犯行者と、これは一思理が通じておるもののように思われるのであります。従ってこういうことは私は許すべきではないと思います。
当局、政府共に全逓の暴走を一番気にしていることになる訳ですが、これに対して労働大臣は一定の理解示しつ当局の対応を支持しています。
倉石国務大臣 全逓労組に対しての郵政当局の態度はりっぱだと思っております。
87号条約の批准につきましては、この前本会議でも申し上げました通りでありまして、私どもは現存しておる法律を国民が守る義務があるということは、法治国家として当然のことであります。そこで特に違法な行為をやっておられるということについてはまことに遺憾に存じておるのでありますが、ただいまお話のように公労法の適用を受けておる労働組合で、わざわざ藤林あっせんというふうなもので国労がああいう態度をとって、正常化に協力しておられるときに、全く違った態度をとられるものが、同じ公労協内にあるということについては、私どもはまことに遺憾に存ずるのでありまして、一日も早く法律を守って、国民に安心をさせてもらいたいと考えておりますが、そういうような現在の段階では、それに関係のありますILO条約の87号の批准ということを論議すべき段階ではない。このように政府は考えております。
ここで、藤林あっせん案という言葉が出てきたのですが、この時の藤林あっせん案というのが、労使関係 の正常化 のために、解雇処分を受けた者以外を指名することを示したもので、国労はその斡旋を受け入れる事になる訳ですが、この国労の対応(斡旋案を受け入れ、解雇者を委員長などの要職に就かせないこと)を評価しているわけです。
これで見る限りでは、当時の全逓は国労以上に強固に労働運動に浸っていたと言える反面、国労の方は民同左派が徐々に強く左傾化していく中で、辛うじてバランスを保っていたようにも見受けられます。
以下は、議事録から抜粋したものです。
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ただ世上言われているところでは、全逓は最近ILO条約87号、これの批准促進運動をあっちこっちでやっておるわけでありますが、これが促進されて、それに伴って公労法四条三項も削除されるというような法律改正がやがてなされるであろう。従って現在の違法状態をそのまま続けて無期限定時退庁の戦術を続けておって、結局法律改正を待って、今までの違法行為を合法的なものにする、そういう作戦もあるやに伝えられておる。こういったことは一応考えられそうなことであります。どうも世の中では悪いことをしてやがて、次の皇太子様の御結婚等によって大赦や特赦を願うというような不心得者もあるのでございますが、こういう犯行者と、これは一思理が通じておるもののように思われるのであります。従ってこういうことは私は許すべきではないと思います。これは労働大臣にお伺いいたしますが、先般の本会議の席上で一応この問題については滝井先生の御質問にお答えになったのでありますが、ここでもう一ぺん、私はそういうように思うのでありますが、そういう大赦、特赦を待つ犯行者と同じような心理を持つことに力をかすようなことにならぬようにしなければならぬと思うのであります。ILO条約、これは従来から倉石労働大臣もそうでございましたし、前の石田大田もそうでございましたが、ILO条約87号の批准については、労働問題懇談会の結論待ちだということが言われております。その小委員会が一応結論を出して、公労法四条三項はILO条約87号に抵触するようだという結論を出したようでありますが、それが新聞紙上に発表されましたがために、もうすぐにでもILO条約は批准され、四条三項は削除されなければならぬ、やがて削除されるであろう、こういう感じを持っておる者が国内に相当あったのではないか、そういう期待を今のような大赦、特赦待ちのような人たちが持っておるのではないか、こういうふうに思うのでありますが、この点について重ねてでありますが、労働大臣の御見解を伺いたいと思います。
○倉石国務大臣 全逓労組に対しての郵政当局の態度はりっぱだと思っております。
87号条約の批准につきましては、この前本会議でも申し上げました通りでありまして、私どもは現存しておる法律を国民が守る義務があるということは、法治国家として当然のことであります。そこで特に違法な行為をやっておられるということについてはまことに遺憾に存じておるのでありますが、ただいまお話のように公労法の適用を受けておる労働組合で、わざわざ藤林あっせんというふうなもので国労がああいう態度をとって、正常化に協力しておられるときに、全く違った態度をとられるものが、同じ公労協内にあるということについては、私どもはまことに遺憾に存ずるのでありまして、一日も早く法律を守って、国民に安心をさせてもらいたいと考えておりますが、そういうような現在の段階では、それに関係のありますILO条約の87号の批准ということを論議すべき段階ではない。このように政府は考えております。
○大坪委員 これで終りますが、今の労働大臣の御答弁を伺って、そうでなければならぬと思います。特に現在のわが国の国内の諸情勢を見てみますと、労働慣行がまだやっぱり成熟せずと言われておる。法律無視あるいは集団の威力による圧力のかけ方、いわゆる実力行使、そういうものでまた特に政治的目的を達する、そういうことを、その目的、行動を労働組合がもう忌憚なくとっておる。力をもて、法と秩序を乱すということを、日常茶飯事のごとく心得て実行しておる組合のある現状においては、法律秩序、公共の福祉を守る上から、軽々にILO条約を批准するというようなことによって彼らの非違を遂げさせるようなことがあってはならぬ、かように考えるわけであります。私は全逓について先刻要望的な意見を述べましたが、ほんとうに全逓の諸君が総評の幹部の顔ばかり見ないで、国民全部の顔を見て良識を発揮されんことを私は念願してやみません。私がいろいろ今申し上げましたのも、どうか日本の労働運動が、先刻もたびたび申しましたように、国民も納得し、世界の良識ある人々も了承するような正常な状態に早く返って、国内の秩序を保つとともに、国の生産を高める、そういうことによって国民全体の福祉の向上に寄与するようにあってもらいたい。せめて全労会議の線に一つ、これは総評の諸君にはお気の毒でありますけれども、その程度の良識を持った労働組合に一つ成長をしてもらいたいという念願を持ちますがために申し上げた次第でございます。
いろいろ要望も申し上げましたが、私どもは倉石労働大臣に期待することがきわめて多いのでありますから、どうか一つ十分に御検討のほど願い上げます。
私の質問を終ります。
○五島委員 大坪委員の貴重ないろいろの質問について、われわれは非常に勉強になるのですが、ここに出席された委員の顔ぶれを見ると、自民党五名、社会党六名というようなことで、議事規則の運営通りに正常化されていないというように思うわけです。これから慎重に真剣に重要法案を審議するに当って、こういうような出席ではどうもおかしいと思うのです。そこで今後はできるだけたくさん、やはり二十名以上の出席をとれるようにしなければならないと思うのです。この間の理事会でもよく相談し理解し合った通りで、ほんとうに慎重に勉強しなければならぬ。そこでたくさんの者が出席して審議に参画する、こういうようなことですが、きょうは大坪さんがせっかくいい質問をされておる過程において、四名とか三名とか、御婦人が二人で、自民党の男性の方が一名、こういうことではさびしい。それで今後はたくさん出席されなければこういう委員会が進行されないと思うのです。この点について委員長は十分努力してもらいたいと思います。
○園田委員長 委員各位の御精励を望みます。
午前中の質疑はこの程度にとどめます。午後は本会議散会直後、約二時半と予定いたします。二時半まで休憩をして、小林進君の質問から始めます。
午後一時五分休憩
117系電車の兄弟分。185系電車の話し(0番台誕生の経緯について)
185系電車が、昭和54年度の本予算で計画され昭和56年1月から順次落成
特急踊り子に導入されます。
1981年3月からは、急行伊豆に153系と併結して伊豆急下田・修善寺行きとして運転を開始します。
その後、1981年10月の時刻改正では、それまでの特急「あまぎ」を統合する形で特急「踊り子」が誕生、183系使用の旧「あまぎ」編成と185系使用の旧「急行伊豆」の二種類の車両を使用する特急が誕生しました。
特急格上げに伴い、20分ほど時間短縮し他だけでの値上げ感は否めなかったようです。
応援よろしくお願いします。
今回も、引き続き昭和33年10月7日開催の、社会労働委員会のは無しから抜粋させていただきます。
ここで、注目すべきは全逓も動労や国労と同じように解雇者を専従役員としており、それに対して当局も団交拒否を貫いており、昭和30年初めの頃は、組合に対する当局の力も強く、良い意味での緊張関係は有ったかと思われます。
なお、当時は全電通(現在のNTT労組)も全逓と共に強力な闘争を行っていました。
その辺の事情も考慮しながら私見を含め述べさせていただこうと思います。
応援よろしくお願いします。
今回も、国鉄関係の話が出てこないのですが、一連の流れの中で官公労と呼ばれた郵政の問題を取り上げていますので、広い意味での労働運動という視点でご覧いただきたいと思います。
郵便の遅配の原因は、順法闘争という名のサポタージュ、そして非常勤職員に仕事を教えないという二つの要素
郵便配達は、私も経験があるのでよくわかるのですが、仕事としては正直単純というと語弊がありますが、考えるよりも慣れろの業務です。
一つの町名をいくつかの配達区に分けてその区を徹底的に回らせる。
そうして、徐々に配達区を広げて行く。これを「通区」というのですが、代替一つの班で10個くらいに町名を区分しており、最低でも三区程度回れることが要求されるというものでした。
かくいう私は、完全に当時はやる気もない職員でしたので、積極的に通区を覚える気も無く、ただひたすら一つの区だけを回っていたものです。
以上は余談ですが。
配達というのは、時には同じ住所が並んでいる場合もあり、昭和30年代では現在のように「○丁目○番○号」と行った新住所区分ではないので、自ずと家毎に覚えるような形となりますので、熟練した配達員でないと中々スムーズに配達できないわけです。
そうした、熟練職員が管理者や、新たに雇用した非常勤職員に配達先の住所を教えなければどうなるか。
もう、付近まで行って誰かに聞きながら配達する・・・みたいなことになる訳ですが、実際にそのような事例が起こってしまうわけです。
これを見ますと、全逓は当局が団交に応じないから、自分たちも36条協定を拒否していると主張しており、それに対して当局は、解雇者が専従役員をして居るからだと発言しています。
この例は機労(後の動労)が専従役員を解雇者にしたことと同じ理由(解雇者を違法ストの首謀者として解雇しようにも解雇処分できない。職員としての実態がないわけですから)であり、同様に国労でもこの方法で解雇者を専従役員にしたわけです。国労の場合は規模も大きいこともあり、当局は組合費の徴収などの24条協定の破棄で対抗することとなりましたが、この辺の話しは又別の機会にでもお話をさせていただきます。
以下は、国会での答弁の様子です。
○大坪委員 前略・・・・、新聞によりますと、組合側は責任は当局にある、当局が団交に応じないからだ、というようなことを言っておる。この点は一体どうなのですか。もちろん拒否されておるだろうと思う。私は大体わかっておる。わかっておるが、これを天下に声明するくらいの気持で、この問題に対する郵政当局の見解なり立場なりをここで一つはっきり言っていただきたい。
○佐方説明員 先ほど申し上げましたように、解雇された三役を再選いたしてきておりますので、われわれとしては団体交渉を拒否しておる。これに対して組合は三六協定の拒否をしてきておる。三六協定を拒否いたしますならば、必要な場合には非常勤者を用いて処理していけば業務の運行はできるわけでございます。にもかかわりませず業務の運行を阻害するような、たとえば非常勤者に仕事を教えないとか、あるいは所定の勤務時間中に平常よりも能率を落した仕事をするということになりますと、決してそのことはわれわれの責任あるいは政府の責任という問題ではなく、やはりまじめに働いてもらうということを怠っておる側にあるだろうと思うわけでございます。
更に、この後もこうした違法状態を全逓幹部が行っていることに対して非常に危惧を持っています。
少なくとも、国鉄では昭和32年の新潟闘争等の様子を見ているわけですので、公労法四条三項を無視した行為を厳しく指摘しています。
公共企業体労働関係法(現・国営企業労働関係法 法令番号:和二十三年十二月二十日法律第二百五十七号)
第四条 職員は、組合を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。但し、管理又は監督の地位にある者及び機密の事務を取扱う者は、組合を結成し、又はこれに加入することができない。
2 前項但書に規定する者の範囲は、政令で定める。
3 公共企業体の職員でなければ、その公共企業体の職員の組合の組合員又はその役員となることができない。
と有るように、「職員でなければ、その公共企業体の職員の組合の組合員又はその役員となることができない。」という法令違反をしているわけで、これに対して全逓を厳しくして居ることになります。
国鉄労組に倣った、全逓の解雇者を専従役員にすることを強く批判
○大坪委員 私は今の郵政当局の団体交渉拒否の態度はそれでよいと思いますが、もともと全逓もそうですが、これは国鉄あたりずいぶん改まりましたけれども、総評の指導するものは、私はこう言った方がよいと思う、それは法律無視なのです。法律を無視しよう、法律や国の権威、行政権の権威あるいは政府の権威というものを国民の目の前に失墜して示そう、そうしてそれを既成事実にしようという意図がある。これは明らかである。公労法というものは今後いろいろ改正せられる時期もあるかもしれません。あるかもしれませんが、現在は厳として国会において審議されてできたりっぱな法律なんです。その法律に掲げてある四条三項の規定というものは、これは国民、特に公労法に掲げてある事業に従事している人たちは十分知っておるし、知っておらなければならぬし、また守らなければならぬ。そうでなければ法の秩序は成り立たない。また事業の秩序が成り立たないのであります。これは昨年の国労あるいは機労の前例もあることであるから、全逓の幹部の諸君にいささかの良識があれば、こういうことをやれないはずなんです。それをあえて四条三項に違反する決議をとって、解雇された組合員を再び責任ある役員に選任をしておる。これは明らかに法律無視であります。こういう法律無視を放任しておけば、一切私どもは措置はつかなくなると思うのでありますから、団交拒否の態度を現在郵政当局がとっておられることは非常にけっこうだと私どもは思うのであります。ともすれば世の中の論議というものは非常に俗調に陥ってしまって、安易につくことを奨励する場合がある。そういう世の中の俗論に聞いて安易な措置をとるということになると、これは法律を守るべき立場にある政府当局自体が法律無視という結果に陥ると私は思う。単に全逓の幹部が法律を無視した、そのために法律の秩序が乱れ、職場の秩序が乱れているのに、安易にものを解決づけるということのためにこれを認める??表にでも裏にでも、暗にでも認める措置をとれば、政府当局自体が法律無視の結果になるのであります。この点が私は十分に考慮しておいてもらわなければならぬ点だと思います。
と有りますように、ここで国鉄では、解雇者を専従役員として置いた措置に対して、昭和32年10月には、以下のような措置を取っており。
そうした経緯も全逓は知っていたであろうにもかかわらず、こうした愚挙に出た事を強く非難しています。
ちなみに、国鉄が行った、24条協定破棄の内容は下記の通りです。
国鉄では、支給した10月分の給与から、労基法24条に基づく「24控除に関する協定」を破棄、組合費などのチェツクオフ(控除)を止めた
10月分の給与から天引を止めたのは、本社と全国27管理局のうち23局であるが、これにより、国鉄労組は毎月約1億円近く、機関車労組は約1千万円の組合費と労慟金庫の預金、返済金および利息、定期積立金などを組合側の責任で集めなけれぱならなくなり、各分会ごとに徴収責任者をおいて集金を行つている
また一方、今度の協定破棄によつて、当局側も宿舎費、光熱費、クラブ費などの天引はできなくなったので、当日給与と一緒に納付書を交付したが、集金には約一週間かかるであろうとされている
結局、この措置に対しては国労は数ヶ月行ったものの白旗を揚げる形で敗北するわけですが、全逓が面子にこだわったのではないかという意味合いの発言をしているのは興味深いところではあります。
さらに。ILO条約批准を危惧することに
らに、以下のようにILO条約八十七号に関する批准を行うべきとして行動していることについても問題視しています。
ちなみに、日本では、1965年6月に批准されており、2023年現在157カ国が批准しています。
参考:ILO条約八十七号
さて、ここで言われる、ILO条約87号でもとりわけ、以下の第3条が公労法四条三項で問題になったのではないかと思われます。その条文をご覧いただこうと思います。
結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第87号)
第 三 条
1 労働者団体及び使用者団体は、その規約及び規則を作成し、自由にその代表者を選び、その管理及び活動について定め、並びにその計画を策定する権利を有する。
2 公の機関は、この権利を制限し又はこの権利の合法的な行使を妨げるようないかなる干渉をも差し控えなければならない。
特に第2項で、職員ではない専従員が組合の役員をしていることは、公労法第四条三項の。「公共企業体の職員でなければ、その公共企業体の職員の組合の組合員又はその役員となることができない。」という条文は、一項の「自由にその代表者を選び、その管理及び活動について定め、並びにその計画を策定する権利を有する」に対して権利の合法的な行使を妨げる行為であると解釈されるわけで、非常に問題視してると言えます。
以下は、再び「大坪委員」の質問を示したものです。
ただ世上言われているところでは、全逓は最近ILO条約八十七号、これの批准促進運動をあっちこっちでやっておるわけでありますが、これが促進されて、それに伴って公労法四条三項も削除されるというような法律改正がやがてなされるであろう。従って現在の違法状態をそのまま続けて無期限定時退庁の戦術を続けておって、結局法律改正を待って、今までの違法行為を合法的なものにする、そういう作戦もあるやに伝えられておる。こういったことは一応考えられそうなことであります。どうも世の中では悪いことをしてやがて、次の皇太子様の御結婚等によって大赦や特赦を願うというような不心得者もあるのでございますが、こういう犯行者と、これは一思理が通じておるもののように思われるのであります。従ってこういうことは私は許すべきではないと思います。これは労働大臣にお伺いいたしますが、先般の本会議の席上で一応この問題については滝井先生の御質問にお答えになったのでありますが、ここでもう一ぺん、私はそういうように思うのでありますが、そういう大赦、特赦を待つ犯行者と同じような心理を持つことに力をかすようなことにならぬようにしなければならぬと思うのであります。ILO条約、これは従来から倉石労働大臣もそうでございましたし、前の石田大田もそうでございましたが、ILO条約八十七号の批准については、労働問題懇談会の結論待ちだということが言われております。その小委員会が一応結論を出して、公労法四条三項はILO条約八十七号に抵触するようだという結論を出したようでありますが、それが新聞紙上に発表されましたがために、もうすぐにでもILO条約は批准され、四条三項は削除されなければならぬ、やがて削除されるであろう、こういう感じを持っておる者が国内に相当あったのではないか、そういう期待を今のような大赦、特赦待ちのような人たちが持っておるのではないか、こういうふうに思うのでありますが、この点について重ねてでありますが、労働大臣の御見解を伺いたいと思います。
国鉄と同じ官公労としての動きとして、見ていければ幸いです。
続く
以下は、議事録から抜粋したものです。
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○大坪委員 私は先刻も申し上げましたように仕事が仕事でありますから、そうしてこれが不正常化になれば、直ちに国民大衆が迷惑をするのでありますから、これをすみやかに正常化するような方向に一つ郵政当局としても万全の措置を講じてもらわなければならぬ、こう思うのであります。ところが、先刻もちょっと触れましたが、新聞によりますと、組合側は責任は当局にある、当局が団交に応じないからだ、というようなことを言っておる。この点は一体どうなのですか。もちろん拒否されておるだろうと思う。私は大体わかっておる。わかっておるが、これを天下に声明するくらいの気持で、この問題に対する郵政当局の見解なり立場なりをここで一つはっきり言っていただきたい。
○佐方説明員 先ほど申し上げましたように、解雇された三役を再選いたしてきておりますので、われわれとしては団体交渉を拒否しておる。これに対して組合は三六協定の拒否をしてきておる。三六協定を拒否いたしますならば、必要な場合には非常勤者を用いて処理していけば業務の運行はできるわけでございます。にもかかわりませず業務の運行を阻害するような、たとえば非常勤者に仕事を教えないとか、あるいは所定の勤務時間中に平常よりも能率を落した仕事をするということになりますと、決してそのことはわれわれの責任あるいは政府の責任という問題ではなく、やはりまじめに働いてもらうということを怠っておる側にあるだろうと思うわけでございます。
○大坪委員 私は今の郵政当局の団体交渉拒否の態度はそれでよいと思いますが、もともと全逓もそうですが、これは国鉄あたりずいぶん改まりましたけれども、総評の指導するものは、私はこう言った方がよいと思う、それは法律無視なのです。法律を無視しよう、法律や国の権威、行政権の権威あるいは政府の権威というものを国民の目の前に失墜して示そう、そうしてそれを既成事実にしようという意図がある。これは明らかである。公労法というものは今後いろいろ改正せられる時期もあるかもしれません。あるかもしれませんが、現在は厳として国会において審議されてできたりっぱな法律なんです。その法律に掲げてある四条三項の規定というものは、これは国民、特に公労法に掲げてある事業に従事している人たちは十分知っておるし、知っておらなければならぬし、また守らなければならぬ。そうでなければ法の秩序は成り立たない。また事業の秩序が成り立たないのであります。これは昨年の国労あるいは機労の前例もあることであるから、全逓の幹部の諸君にいささかの良識があれば、こういうことをやれないはずなんです。それをあえて四条三項に違反する決議をとって、解雇された組合員を再び責任ある役員に選任をしておる。これは明らかに法律無視であります。こういう法律無視を放任しておけば、一切私どもは措置はつかなくなると思うのでありますから、団交拒否の態度を現在郵政当局がとっておられることは非常にけっこうだと私どもは思うのであります。ともすれば世の中の論議というものは非常に俗調に陥ってしまって、安易につくことを奨励する場合がある。そういう世の中の俗論に聞いて安易な措置をとるということになると、これは法律を守るべき立場にある政府当局自体が法律無視という結果に陥ると私は思う。単に全逓の幹部が法律を無視した、そのために法律の秩序が乱れ、職場の秩序が乱れているのに、安易にものを解決づけるということのためにこれを認める??表にでも裏にでも、暗にでも認める措置をとれば、政府当局自体が法律無視の結果になるのであります。この点が私は十分に考慮しておいてもらわなければならぬ点だと思います。しかし私は先刻も申し上げましたように、こういう大事な公共事業、国の事業でありますから、どうか一日も早く正常化してもらいたい。これには何としても全逓の役員あるいは全逓大衆が、行きがかりや面子というようなものにとらわれないで、国鉄や機労が良識を発揮したごとく、ここでやはり良識を発揮してもらって、特にこれときわめて深い関係のあるであろうと思われる国会議員の社会党の諸君もこういう点に一つ御協力を下すって、そして正常化に努力をされたい。昨年の秋のいわゆる国労に対する藤林あっせん案の線まで、すなわち団交態勢を作る、そういうところまで全逓の諸君が進歩してもらうということを念願してやまないのであります。どうも今日の実情は全逓の幹部三人ばかりのために法律秩序が乱され、国民が非常な迷惑をこうむっておる。従ってこれを正常化するためには、今三十ばかりの職場において三六協定が結ばれて、そこでは業務が正常に運営されておるそうでありますから、全逓の幹部の諸君が良識を発揮して反省をしてくれなければ、職場における三六協定を強力に一つ押し進められて、下部、末端から郵政業務の正常化をはかるということに努力を願うよりほか道はないのじゃないか、こういうように思います。この点についての御答弁は求めませんが、どうか一つそういう点についての御努力を願いたいと思います。
今回も、引き続き昭和33年10月7日開催の、社会労働委員会のは無しから抜粋させていただきます。
応援よろしくお願いします。
今回も、国鉄関係の話が出てこないのですが、一連の流れの中で官公労と呼ばれた郵政の問題を取り上げていますので、広い意味での労働運動という視点でご覧いただきたいと思います。
全逓による「物溜め闘争」と国民生活(はじめに)
私も郵便局・郵政局に身を置いたものとして、現場並びに地方分部局から見た郵便局と言うことで両方の経験をさせていたノで、最初の少しだけ見解を述べさせていただきます。
郵便局では、郵便物のことを「ブツ」という言い方をして、それを滞留させることを「溜め」という言葉を使っていました、正式には郵便物が溜まることは「滞留」というのですが、現場では一般的に「物溜め」という言葉が使われていました。
余談ですが、バイクの後ろに積む籠を関西地区だけかも知れませんが、「ぼて」といい、他の地域では「ファイバー」と呼ばれていたようです。
さて、そこで改めて「物溜め闘争」を闘争の中心と全逓が行ったかという点からお話しを始めたいのですが、郵政の根幹は、なんと言っても郵便でありこれは現在の日本郵便にあっても変わりはありません。
昭和30年代前半、国鉄が陸上輸送の7割以上を独占する企業であったように、通信手段として電話・電報しかなかった時代。一般的な通信手段は郵便しかなくて。郵便は国営独占企業として全国津々浦々にサービスを届けていました。
特に末端部分、配達部門が機能していないと郵便物は溜まっていくばかりであり、滞留ということになります。
特に配達は現在もそうですが、人力による手作業なので、その配達員が一斉にサボタージュしてしまうと業務はたちまち止まります。
もちろん、集配職員だけに限らず、郵便内務職員も区分の速度を敢えて下げて結束を遅らせる。結束を遅らせる手法もありましたが、(部内用語で、郵便物を区分して、他の地域の郵便局毎に区分するの作業があり、これをトラック便や鉄道便に乗せることを結束といい、鉄道ダイヤのように所定の工程表があるわけで、この工程表にそって郵便物を送れないと結束漏れということになり、言わば事故扱いとなるわけで、郵便内務職員にすれば結束漏れは一番恥ずかしいことでした。)その多くは、配達先による郵便物を敢えてゆっくり配達して残していくという、方法が一般的でした。
特に配達で滞留が発生しやすいのは、内務であれば人海戦術で管理者でも対応可能ですが、配達の場合、ここの家々の場所を覚えねばならず、すぐに言ってと言うわけにも行かないという事情もありました。
当時の全逓は、国労と並ぶ総評の双璧で、発言力も大きく、強力なこうした闘争から、「権利の全逓」などとよく言われたもので、結束を誇示するために郵便局支給の防寒着ではなく、全逓ジャンパーを着て勤務する職員などもいました。もちろんこれは服務規程違反なのですが、そうしたことを注意できない管理者も多く、酷い郵便局では管理者が現場で仕事を手伝うなんてことが日常茶飯事的になっていました。
私が初めて岸和田郵便局の郵便課に配属された頃は、それまでの激しい闘争は影を潜めていましたが、昔の闘争をしる職員などからは、色々と聞かされたものでした。
さて、前置きが長くなってしまったのですが、当時【1958年】の全逓の様子をご覧いただこうと思います。
郵便物の遅配が酷いという件について
ここで、全国的に郵便局の遅配が全国的ではないものの一部の地域で続いていると言うことで国会で議論されているわけですが、ここでも書かれていますが、集配職員による、超勤拒否と、作業遅延による物理的時間切れを狙っているということです。
特に問題としているのは、当時は通信手段というのが郵便だけですので、その郵便が届かないことによる機会的損失等が発生することについて強い懸念を示しています。
○大坪委員 それでは私は、もう時間も非常に迫りましたりしますから、この点について実情を少しお尋ねし、また労働大臣にその点についての御見解もお尋ねしたいと思います。
最近の実情は、この際私が多くを申し上げる必要もないと思いますが、新聞紙等で十分伝えられておりますから皆さん御承知の通りでありますが、郵便物の遅配が、全般的ではありませんけれども、所によって、はなはだしいものがある。それが国民に非常に大きな迷惑を及ぼしておる。特に今日はいわゆる就職時期でございまして、今度来年に学校を出ようという人たちの就職口に対する関心というものはきわめて深く、きわめて真剣なものがあるのであります。これは一生の運命を決することでありますから、まさにしかるべきものである。それが郵便物の遅配のために非常に大きな損害を受けている向きもあるというふうなことも聞くのでありまして、しかもその遅配の状況が今日なお続いておるようであります。申すまでもなく郵便のことは国営企業でありまするし、国民の生活にきわめて密接しておる公益公共の事業でありますから、こういう事態はすみやかに解消されて、事態が正常化することを望むわけでありますが、そういう見地から私はお尋ねしたいと思うのであります。
私は時間をなるべく急ぎたいと思いますので、お答えも簡潔に願いたいと思いますが、新聞紙で伝えるところによりますと、郵便物の最近の遅配の原因は全逓の超過勤務拒否による能率低下のためだと言われております。そこで、どこの郵便局でも一体そうであるのかどうか、これは特殊の局に限られておるのであるかどうか、遅配がもう現に現われている局は一体どれくらい全国的に見てあるのか。それからもう一つ、ついでにここで伺っておきたいと思いますが、労働基準法三十六条に基いて、現場でいわゆる三六協定を結んで超勤の措置を講じておられるものがあるのではないかと思いますが、それがあればどのくらいの数が現在なされているか。この点をまず郵政当局にお尋ねします。
この質問に対して、下記のようにいくつかの拠点で、遅延が発生しているとしており。
ここで布施局のなまえがでてくるのですが、私が郵政局で勤務していた頃は、布施は業務困難局には名前が挙がっていなかったように思いますので、改善がなされたのかも知れません。それ以外にも業務困難局と呼ばれた局はありましたが、直接の話しではないので割愛します。
○佐方説明員 お答え申し上げます。現在遅配を生じております局は主として東京都内でございますが、東京都内で四、五局ございます。それから新潟県で三局ございます。それから名古屋管内で五、六局ございます。それから大阪で一局、布施というところが非常に大きくたまっております。それから熊本で四、五局という状況でございます。それから三六協定を現場で結んでいるところは、現在普通局で三十局ほどございます。それは主として東京と大阪の管内でございます。
○大坪委員 ただいまお示しのような数字であれば、日本全体の郵便局の数に対してきわめて少数であるように思われます。これが原因については、ことしの春の春闘に全逓の行き過ぎがあって、従って公労法その他に基いて解雇がなされた、その解雇をなされた人たちが、解雇をされれば現在の公労法四条三項によれば組合員となることも組合の役員となることもできないのであるのにもかかわりませず、その後、ことしの七月でしたかの全逓大会においてこれを再び役員に選任した、そうしてその解雇された人が全部代表権を持つ役員に選任されたということで、従って郵政当局との交渉ができなくなっておる、そのためだ、こういうことが言われておりまして、それに基いて超過勤務等に関する労働協約が結べないからである。労働組合側の主張は、当局が団交に応じないからだというようなことを言っておるのでありますが、またその場合、労働組合側の主張というものは、私どもが新聞紙上等で伺ったところによれば、本来人員が足りないのだ、仕事の量に対して人間の手当が十分でないのである、従って、八時間労働ですか、正規の労働時間を働いていくのであれば、当然この程度の遅配は起るのだ、従って、それを補うために超過勤務の措置を労働協約を結んでやっておるのを、労働協約締結のための団交に応じないから、その責任は郵政当局にあるのだという言い方をいたしておる。この問題に対しては、そういうことがあるとすると、ほんとうに超勤でなければやれないということであれば、これはこんな程度の局でなしに、もっと全国的に郵便物の遅配というものが起ってこなければならぬと思うのであります。それらの点を考えてみますと、これはやはり単なるいわゆる順法闘争、規定の時間内だけ動いたということでこの遅配が起ったというのでなしに、何かそこにやはり怠業状態があるのではないかということが察せられるのであります。その点については実際はどうであるか。この団交拒否といいますかの措置がとられておる以前と以後に比べて、どうしても超過時間の労働でなければ処理できないような実情にあるのか、たとえばその以前の郵便配達手の受け持ち郵便物数はどのくらいであって、この遅配を起したところの郵便局の配達状況はどういうふうであるか、そういうことがもしわかっておれば、と申しますのは、私はそこに、どうしても、単にいわゆる順法闘争ということによってのみ遅配が生じたのではなしに、特別の怠業がなされたがために遅配がひどく現われておるということではないか、こういう感じを持つのでありますが、その点を伺いたいと思います。
ここで、全逓も解雇された職員を組合役員に選出したと言う問題が指摘されています。
この方式は、国鉄の動労【当時は機関車労組】が最初に行った手法で、その後国労も同じ手法で、解雇者を組合役員に採用したことで問題になった方法でした。
国鉄は、団交拒否をおこないますが、結局こうした前例で解雇者による専従役員という流れはその後も鉄労以外では続いていきます。
全逓も、この時に解雇者を組合役員に選出しているので、解雇したくても解雇できないわけです。既に、職員としての席がないわけです。
○佐方説明員 お答え申し上げます。団交を拒否いたしましたために、組合といたしましては無期限の超勤拒否をやったということを言っておるわけであります。そのために業務が動かないのだという主張をいたしておりますけれども、御承知のように郵便物は毎日非常に違うわけでございます。月曜日は非常に少いとかほかの日は多いとかいうので、かねてある程度の超勤は予想しておりますけれども、超勤を拒否いたしました分につきましては、これは実は六月十日以降超勤の協約がございませんので、そこの局につきましては、必要なときには非常勤者を使って処理をしてきております。そういうことで、全国的に今まで運用して参りましたけれども、特殊の、今申し上げましたような局におきましては、非常勤者を投入いたしますと、その人に仕事の手順を教えないというようなこと、それから常勤者が勤務時間中に働いておりますときに、普通よりもぐっと能率を落して、たとえば今まででありますと七百通ぐらい配達いたしておりましたのに、二百通しか配達しないというようなことを順法闘争と称してやっておるというような事実がありまして、そういうところだけがこういうふうな遅配の状況を起しておるという現状であります。
これに対して、大坪委員は公労法第一七条に明らかに違反しているのではないかと言うことで質問を入れています。
最も、郵政省の場合は、公共企業体ではないのであるが、郵政もその職務の関しては現業機関であるので、この法律を準用すると明言する方が良いことになるのですが、郵政省としては処分は発令するものの、公労法を盾にとっての処分ではなく、懲戒処分による停職を発令したとされています。この辺の難しさあるのでしょうね。
参考:公共企業体労働関係法 法律第二百五十七号(昭二三・一二・二〇)
現:行政執行法人の労働関係に関する法律 から引用
第十七条 職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。又職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。
2 公共企業体は、作業所閉鎖をしてはならない。
○大坪委員 ただいまの人事部長の御答弁を伺いますと、これはやはりどうしても明らかに怠業と見なければならぬと思います。怠業の状態があれば、これは御承知のように公労法十七条に明らかに違反する、業務の正常なる運営を阻害しているということになると思う。従ってこれは、行為当事者も、またこれをいわゆるあおり、そそのかした者も、当然その次の十八条によって、私は処分されなければならぬと思う。あるいはまた郵便法の規定にもございましょう。これらの者に対して一体どういう措置をなさっておいでになるか。これは言うまでもなく、何人でも、自分に関係した郵便物の遅配が自分の身に起って、そのためにたとえば自分の子供なり兄弟なりが就職試験にも間に合わなかったという事態が起れば、おそらく痛切に感ぜられるだろう、こう思うのであります。これは郵便業務の公共性、公益性その国民生活に関係する程度の大きさ、深さ、そういう点からして、私どもは事柄を憂うるがために、あえてきょう御質問申し上げておるわけでありますが、明らかに今のようなことであれば怠業である。怠業であれば公労法十七条に明らかに違反する。それらに対する措置をやはりとらなければ私はいかぬと思う。どうも社会秩序の乱れるというようなことは、信賞必罰と申しますか、こういう措置がとられないからである。そういう点を私どもは痛感するのでありますが、何かその処分についてはこれまでになされておるかどうか、あるいは今後の方針はどうであるか。
○佐方説明員 実はそういう怠業的な行為がございまして、それに対しまして郵便局長からたびたびそういうことをしないで普通の通り配達をするようにというようなことで今まで説得して参ったのでありますが、東京都内におきまして葛飾と城東の局だけは、特にその様子がひどうございましたので、九月に処分をいたしました。ただしそれは直ちに公労法によって首ということはいたしませんで、停職処分をいたしまして、職場をあまり乱しておりますので、その職場から出てもらうということをいたしました。あとのことにつきましては、その後組合内部におきましても、その二局は少し行き過ぎておるというような批判もありましたようで、九月の末から逐次平常の姿に持っていこうというような動きになっております。たまたま水害の問題もありましたので、基準法三十三条の発動によりまして超過勤務をやるということで、この二、三日の模模では、逐次おさまっていくのではないかという見通しでございます。
*********************以下は、議事録の全文を掲載しております*********************
○園田委員長 人事部長が来ております。
○大坪委員 それでは私は、もう時間も非常に迫りましたりしますから、この点について実情を少しお尋ねし、また労働大臣にその点についての御見解もお尋ねしたいと思います。
最近の実情は、この際私が多くを申し上げる必要もないと思いますが、新聞紙等で十分伝えられておりますから皆さん御承知の通りでありますが、郵便物の遅配が、全般的ではありませんけれども、所によって、はなはだしいものがある。それが国民に非常に大きな迷惑を及ぼしておる。特に今日はいわゆる就職時期でございまして、今度来年に学校を出ようという人たちの就職口に対する関心というものはきわめて深く、きわめて真剣なものがあるのであります。これは一生の運命を決することでありますから、まさにしかるべきものである。それが郵便物の遅配のために非常に大きな損害を受けている向きもあるというふうなことも聞くのでありまして、しかもその遅配の状況が今日なお続いておるようであります。申すまでもなく郵便のことは国営企業でありまするし、国民の生活にきわめて密接しておる公益公共の事業でありますから、こういう事態はすみやかに解消されて、事態が正常化することを望むわけでありますが、そういう見地から私はお尋ねしたいと思うのであります。
私は時間をなるべく急ぎたいと思いますので、お答えも簡潔に願いたいと思いますが、新聞紙で伝えるところによりますと、郵便物の最近の遅配の原因は全逓の超過勤務拒否による能率低下のためだと言われております。そこで、どこの郵便局でも一体そうであるのかどうか、これは特殊の局に限られておるのであるかどうか、遅配がもう現に現われている局は一体どれくらい全国的に見てあるのか。それからもう一つ、ついでにここで伺っておきたいと思いますが、労働基準法三十六条に基いて、現場でいわゆる三六協定を結んで超勤の措置を講じておられるものがあるのではないかと思いますが、それがあればどのくらいの数が現在なされているか。この点をまず郵政当局にお尋ねします。
○佐方説明員 お答え申し上げます。現在遅配を生じております局は主として東京都内でございますが、東京都内で四、五局ございます。それから新潟県で三局ございます。それから名古屋管内で五、六局ございます。それから大阪で一局、布施というところが非常に大きくたまっております。それから熊本で四、五局という状況でございます。それから三六協定を現場で結んでいるところは、現在普通局で三十局ほどございます。それは主として東京と大阪の管内でございます。
○大坪委員 ただいまお示しのような数字であれば、日本全体の郵便局の数に対してきわめて少数であるように思われます。これが原因については、ことしの春の春闘に全逓の行き過ぎがあって、従って公労法その他に基いて解雇がなされた、その解雇をなされた人たちが、解雇をされれば現在の公労法四条三項によれば組合員となることも組合の役員となることもできないのであるのにもかかわりませず、その後、ことしの七月でしたかの全逓大会においてこれを再び役員に選任した、そうしてその解雇された人が全部代表権を持つ役員に選任されたということで、従って郵政当局との交渉ができなくなっておる、そのためだ、こういうことが言われておりまして、それに基いて超過勤務等に関する労働協約が結べないからである。労働組合側の主張は、当局が団交に応じないからだというようなことを言っておるのでありますが、またその場合、労働組合側の主張というものは、私どもが新聞紙上等で伺ったところによれば、本来人員が足りないのだ、仕事の量に対して人間の手当が十分でないのである、従って、八時間労働ですか、正規の労働時間を働いていくのであれば、当然この程度の遅配は起るのだ、従って、それを補うために超過勤務の措置を労働協約を結んでやっておるのを、労働協約締結のための団交に応じないから、その責任は郵政当局にあるのだという言い方をいたしておる。この問題に対しては、そういうことがあるとすると、ほんとうに超勤でなければやれないということであれば、これはこんな程度の局でなしに、もっと全国的に郵便物の遅配というものが起ってこなければならぬと思うのであります。それらの点を考えてみますと、これはやはり単なるいわゆる順法闘争、規定の時間内だけ動いたということでこの遅配が起ったというのでなしに、何かそこにやはり怠業状態があるのではないかということが察せられるのであります。その点については実際はどうであるか。この団交拒否といいますかの措置がとられておる以前と以後に比べて、どうしても超過時間の労働でなければ処理できないような実情にあるのか、たとえばその以前の郵便配達手の受け持ち郵便物数はどのくらいであって、この遅配を起したところの郵便局の配達状況はどういうふうであるか、そういうことがもしわかっておれば、と申しますのは、私はそこに、どうしても、単にいわゆる順法闘争ということによってのみ遅配が生じたのではなしに、特別の怠業がなされたがために遅配がひどく現われておるということではないか、こういう感じを持つのでありますが、その点を伺いたいと思います。
○佐方説明員 お答え申し上げます。団交を拒否いたしましたために、組合といたしましては無期限の超勤拒否をやったということを言っておるわけであります。そのために業務が動かないのだという主張をいたしておりますけれども、御承知のように郵便物は毎日非常に違うわけでございます。月曜日は非常に少いとかほかの日は多いとかいうので、かねてある程度の超勤は予想しておりますけれども、超勤を拒否いたしました分につきましては、これは実は六月十日以降超勤の協約がございませんので、そこの局につきましては、必要なときには非常勤者を使って処理をしてきております。そういうことで、全国的に今まで運用して参りましたけれども、特殊の、今申し上げましたような局におきましては、非常勤者を投入いたしますと、その人に仕事の手順を教えないというようなこと、それから常勤者が勤務時間中に働いておりますときに、普通よりもぐっと能率を落して、たとえば今まででありますと七百通ぐらい配達いたしておりましたのに、二百通しか配達しないというようなことを順法闘争と称してやっておるというような事実がありまして、そういうところだけがこういうふうな遅配の状況を起しておるという現状であります。
○大坪委員 ただいまの人事部長の御答弁を伺いますと、これはやはりどうしても明らかに怠業と見なければならぬと思います。怠業の状態があれば、これは御承知のように公労法十七条に明らかに違反する、業務の正常なる運営を阻害しているということになると思う。従ってこれは、行為当事者も、またこれをいわゆるあおり、そそのかした者も、当然その次の十八条によって、私は処分されなければならぬと思う。あるいはまた郵便法の規定にもございましょう。これらの者に対して一体どういう措置をなさっておいでになるか。これは言うまでもなく、何人でも、自分に関係した郵便物の遅配が自分の身に起って、そのためにたとえば自分の子供なり兄弟なりが就職試験にも間に合わなかったという事態が起れば、おそらく痛切に感ぜられるだろう、こう思うのであります。これは郵便業務の公共性、公益性その国民生活に関係する程度の大きさ、深さ、そういう点からして、私どもは事柄を憂うるがために、あえてきょう御質問申し上げておるわけでありますが、明らかに今のようなことであれば怠業である。怠業であれば公労法十七条に明らかに違反する。それらに対する措置をやはりとらなければ私はいかぬと思う。どうも社会秩序の乱れるというようなことは、信賞必罰と申しますか、こういう措置がとられないからである。そういう点を私どもは痛感するのでありますが、何かその処分についてはこれまでになされておるかどうか、あるいは今後の方針はどうであるか。
○佐方説明員 実はそういう怠業的な行為がございまして、それに対しまして郵便局長からたびたびそういうことをしないで普通の通り配達をするようにというようなことで今まで説得して参ったのでありますが、東京都内におきまして葛飾と城東の局だけは、特にその様子がひどうございましたので、九月に処分をいたしました。ただしそれは直ちに公労法によって首ということはいたしませんで、停職処分をいたしまして、職場をあまり乱しておりますので、その職場から出てもらうということをいたしました。あとのことにつきましては、その後組合内部におきましても、その二局は少し行き過ぎておるというような批判もありましたようで、九月の末から逐次平常の姿に持っていこうというような動きになっております。たまたま水害の問題もありましたので、基準法三十三条の発動によりまして超過勤務をやるということで、この二、三日の模模では、逐次おさまっていくのではないかという見通しでございます。
阪和線紀伊中ノ島駅ってどんな駅だったの?知って納得。国鉄時代
阪和線の紀伊中ノ島駅についてお話しをさせていただきました。
元私鉄の阪和線ですが。
私鉄の駅でありながら国鉄と一体化している駅というのも中々珍しいのではないでしょうか。実は、阪和線の紀伊中ノ島駅は元々別の所に駅があったのですが、国鉄が駅を設置したとき、阪和電鉄のホームを移設当初は、駅舎は別だったらしいのですが、翌年には共同使用駅として私鉄と国鉄が同居する形となりその後現在に至るようです。現在の紀伊中ノ島駅舎は、開業当時のままでありまもなく築90年になるのではないでしょうか。
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