ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Ashley Monroe アシュリー・モンロー - Like a Rose

2013-05-30 | カントリー(女性)
●2018年の「Sparrow」のレビューはコチラで。。。


 珠玉のリアル・カントリー・ミュージック。

 ミランダ・ランバート、ソングライターのアンジェリーナ・プレスリーAngaleena Presleyと組んだトリオ・ユニット、ピストル・アニーズ「Hell on Heels」で2011年にブレイク(セカンド「Annie Up」も出ましたね。レビューは少々お待ち下さい。。。)したアシュリー・モンロー。そのToo Country(余りにカントリーっぽすぎるってこと。ひどい言い方)な極上の美声と音楽スタイルの為に、非業にも本格的なソロ・デビューがかなわなかった事は、2008年にチャーリー・永谷さん主催のカントリー・サンシャインで来日した際のレポートでご紹介したとおり。そんな彼女が、ミランダ・ランバートという良き理解者とタッグを組み、堂々たるクラシカルでオーガニックなカントリー・スタイルでメジャーなカントリー・シーンを唸らせた事は、何とも痛快な事件でした。その成功が奏功して、遂にメジャー、ワーナー・ブラザーズからのソロ・プロジェクトが実現したというわけです。

 ここでの彼女の音楽は、先の実績によって獲得した制作の自由によって、彼女の持ち味が何の遠慮もなく最大限に発揮されたもの。トラディショナルでトワンギーなリズム・ナンバーと、これこそがアシュリー、と言いたいフォーキーでアンニュイな深みのあるスロー曲がほぼ交互にラインアップされ、派手なヒット・サウンドは一切なし。彼女の人柄と良心で満たされています。それにしても、彼女の声の何と美しいこと!感傷的なバラードではもちろん、シャッフル・チューンでの透き通る力強さも見事。ホントに歌の上手い人だ。


 ”私がたった13才のとき、パパが死んだ/ママはお酒を飲み始め、お兄ちゃんは努力しなくなった”と主人公の不幸な生い立ち(事実、アシュリーは13才でお父さんを亡くしている)から始まるタイトル曲"Like A Rose"。チックタックベース風サウンドで古風なテイストを織り込んだ、フォーキーなナンバーです。主人公は、成長すると幸せを求めてさまよい、そして”南”を目指します。”そこはそんなに寒くないわ/私の心を暖める事ができる/そして骨にこびりついた寒けを振り払うのよ/ここにたどりつくまでに時間がかかった/ずっと長く厳しい路だった/そして私はバラのように咲いたの”自身のこれまでの長く不遇なキャリアと成功した今を、印象的なストーリーに置き換えて切々と歌った素晴らしい自伝的ナンバーです。Jon RandallとGuy Clarkとの共作。

 このアルバム、作風は華やかさ控えめながら、共演陣はなかなかに豪華。有能なソングライターならではの幅広い交友の賜物でしょう。まずはプロデューサーにはビンス・ギル。昨年のタイム・ジャンパーズTime Jumpersなど最近はトラディショナル系寄りの活動が目立ちますが、先述のタイトルチューンで早速、すぐに彼とわかるハーモニーを聴かせてくれています。さらに、ストリングスによる奥行きが個性的なスロー・ナンバー"You Got Me"では、リトル・ビッグ・タウンと共演。この曲自体、そのLBTのメイン・ボーカリスト、カレン・フェアチャイルドKaren Fairchildと共作した事も注目です。


 究めつけはラスト。今は1960年代!?って言いたい、古風なシャッフル・ナンバー"You Ain't Dolly"では、ミランダ・ランバートの旦那で現代カントリー・フィールドのトップ・エンターテイナーであるブレイク・シェルトンとのデュエットが実現しています。”私はカウボーイ・ブーツでキメた貴方にすぐ気付いたわ/ラインストーンでキラキラしたスーツを見ずいられる人っている?/だって私はこのカラオケ・ナイトの女王なんだから/~君はドリー(・パートン)じゃない/貴方はポーター(・ワゴナー)じゃない/~ジュークボックスをクオーターで満たして夜通し踊りましょう”すっかりカラオケが定着した現代にあっても、南部のバーで昔と変わらず繰り広げられている男女の痴話ごとを雰囲気たっぷりに歌っています。最近はすっかりポップ・クルーナーみたくなったブレイクの声、ココではToo Countryでナイス。

 カントリー界を引っぱっていく音楽ではないけれども、アシュリーがこうして自身の夢を実現した事を心から喜び、今後もこんなアルバムをコンスタントにリリースしてくれる事を期待したいですね。


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2 コメント

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Unknown (LaVie)
2013-05-31 22:58:52
まさかアシュリーがCDを発売してたなんて。。
ここのblogを知らなかったら、知るのはもっと先、もしかしたら知らないままだったかもと思うと、ヒヤッとしました。
今日無事にCDが届いたので、これから堪能したいと思います。
過去に1度だけコメントさせていただきそうましたが、いつも更新を楽しみにしてます 。

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お久しぶりです (Bigbird307)
2013-06-05 23:16:48
LaVieさん、お久しぶりです。
Bigbird307@管理人です。コメント有難うございます。
お返事遅れまして大変失礼いたしました。
アシュリーのアルバム、楽しまれましたか?

当ブログのレビューで知られたとの事。大変やりがいを
感じるお言葉です。有難うございます。今後とも可能
な限りコンスタントに出して行きたいと思っています
ので、見守ってやってください。

また今後は、これまでの怠慢を反省しお返事コメント
を返すよう努力いたします。
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