ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

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Miranda Lambert ミランダ・ランバート- Four the Record

2012-01-09 | Miranda Lambertミランダ・ランバート レビューまとめ


 メインストリーム・カントリー・シーンの中で、キュートな雰囲気を持ちつつも、最もカントリーらしいアーシーな歌声とサウンドで個性を築いてきたミランダ・ランバート。満を持しての2011年の4枚目です。昨年、前作「Revolution」からのフォーキーなカントリー・バラード"The House That Build Me"で初のグラミー賞を獲得した彼女。これまでの3枚のアルバムではいずれも充実した高いクオリティを維持してきましたが、本作はさらに高みへと成長し、クロスオーバー・ヒットへの意欲も感じ取れる作風になっています。

 たっぷりとしたアコースティック・サウンドが気持ちいい、アイリッシュ・テイストのナンバー"All Kinds of Kinds"でアルバムはスタート。これまでミランダのアルバムのオープニングと比べると、本作がとても余裕ある音作りをしている事が感じ取れます。そしてブルージーでヘヴィな"Fine Tune"へとつなげて、彼女の新しい音への意欲を聴き手に強く感じさせるのです。ストンプするリズムとイコライジングされたボーカルがクール。リード・シングルとなった"Baggage Claim"はファンキー的なミディアム。キーボードも登場しアコースティックR&Bってな感じですが、ミランダのアイデンティティはしっかりと感じさせてナイス。セカンドシングル"Over You"(ミランダと旦那ブレイク・シェルトンの共作)や、今や定番となった、そのブレイク・シェルトンとのデュエット"Better in the Long Run"(レディ・アンテベラムのチャールズ・ケリーとピストル・アニーズPistol Anniesのアシュリー・モンローらがソングライティング)は、チョッとソウル的なイメージを持つスロー。これはそのブレイクの最新作「Red River Blue」でもチラホラ聴かれたモノで、オーガニックなサウンドの中に絶妙にモダンで洗練されたスタイルを織り込んでいるのが、このアルバムのコンセプトと言えるでしょう。ピストル・アニーズでコラボしたアンジェリーナ・プレスリーとの共作"Fast Girl In Town"にしても、爽快なロック的疾走感がカッコいいナンバーになってますしね。ラストの"Oklahoma Sky"は、切々と物語を訴えるミランダと共に、ひっそりと物静かで、奥行きと広がりあるサウンドが感動的です。



 このアルバム、成長・洗練された分、これまでのミランダの音楽でフィーチャーされていた骨太なサザン・テイストがチョッピリ薄まってる("Same Old You""Easy Living"など”良心的”なカントリー・ナンバーはしっかりラインアップしてますけどね)ような感じがします。彼女の重要な要素であり、なにより彼女の愛するスタイルだったはずですが、クロスオーバー・ヒットの為に調整したと・・・・・いや、ミランダはそこんとこを、徹底的にアーシーなPistol Anniesの「Hell On Heels」で補完し、アーティストとしてのバランスを取ったのでしょう(ピストル・アニーズについては、また近々)。なお、本アルバム、デラックス・エディションがありまして、こちらではボーナス・トラックとしてミディアムの"Hurts To Think"が追加。そして、本アルバム収録の全曲についてのミランダのインタビューが収録されたボーナスDVDがセットになっています。



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