ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

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Ashley Monroe(アシュリー・モンロー) カントリー・サンシャインで熊本に

2008-02-25 | カントリー業界情報、コラム
アシュリーの2013年メジャー・ソロ・デビュー作「Like a Rose」のレビューはこちら

 恒例のチャーリー・永谷さん主催のライブ・イベント、カントリー・サンシャイン。今年は2008年4月19日、アシュレー・モンロー(Ashley Monroe)が熊本に来ます。アコースティックでたっぷりロンサム感漂うスロー曲で本領を発揮する、見事にピュアなカントリー・ボイスを持つ若手女性シンガーです。なんと、まだ19歳!(いや20歳になってるかも)この娘は我が国のカントリー・ファンはもちろん、往年のカレッジ・フォーク愛好家にも好評を得るのではないでしょうか。

 彼女は既に堂々メジャーSony Nashvilleからシングルをリリースしており、Mark Wrightプロデュースによるアルバム「Ashley Monroe」も昨年発表されてるハズでした。そのアルバムには、既にリリースされた佳曲"Satisfied""I Don't Wanna Be"(Ronnie Dunnがデュエット)を始め、ドワイト・ヨーカム(Dwight Yoakam)がデュエットで参加した"That's Why We Call Each Other Baby"や、"Hank's Cadillac"というクラシック・カントリー・ファンが泣いて喜ぶタイトルの曲が収録されていて、19歳の少女によるものとは思えない、愛やそれを失う事の深さ、情念や哀惜が感じられる作品になっているとのプレスリリースも出ていたのに。しかし、Sony Nashvilleレーベルのアーティスト・リストからは既に外されてしまったようです。リード・シングルがヒットしなかったからでしょう。正直、MySpaceでの美しい本物感に溢れた彼女の歌声を聴くと、とても残念なのですが、理解は出来るか・・・キュートな容姿とも共通する、薄幸のビューティフル・ボイス。つまり、Too Country・・・・最近のメインストリーム・カントリーが、カントリー・ロックやソウル・シンギング志向をトレンドにして来ている中、Ashleyの声で売るのはキツいと判断された。残念ですが、そういうことなのだろうと思います。しかし!だからこそストレート・カントリーが好まれる我が国で彼女を盛り立てる必要があるのでしょう。かのスーパー・ロック・バンド、クイーンやチープ・トリックの人気が最初に爆発したのは、本国でなく我が日本です。

 

 テネシー州はPigeon Forgeで、11歳の頃には家族のサポートも受けて週に5回のショーで働き、コンペで Patsy Montanaの"I Want To Be A Cowboy's Sweetheart"を歌い賞金を獲得する実力を既に持っていました(この曲、現在ではSuzy Bogguss森山美果&HonkyTonk Devilsの持ち歌として有名ですね)。 13歳の時に父が無くなり、家族は奈落の底に。その中で彼女の心の支えになったのが音楽。彼女の音楽へ影響を与えたアーティストとしては、お婆さんお気に入りのウェスタン・コーラス・グループSons of the Pioneers、お父さんのお気に入りのロック・グループEaglesやLynyrd Skynyrd、そしてクリスマス・プレゼントのテープで出会ったPatsy Clineをはじめ、Carl Smith、Carter Family、Dolly Parton等の名が、バイオで挙げられています。 実に正統派。またクラシック・ピアノもマスターしていて、コンペティションで審査員の気を引くようなコード展開を曲に込める際に大変役に立ったと言っています。父の死は彼女を相当に苦しめたようで、それを乗り越える為に母とナッシュビルに移住、音楽で生きる道を探る事に。当然、音楽業界の事を知らない彼女は、「家へ帰れ、学校へ戻れ!」などとなじられながらも少しずつその才能を認められ、移住後1年で音楽出版会社でソングライター契約を獲得。そしてライター仲間となったBrett Jamesの協力でSony Nashvilleの目に留まったのでした。

 彼女のアイドルのような容姿とその音楽性やこれまでのキャリアを見て、私はケリー・ウィリス(Kelly Willis)を思い出しました。KellyはMCAからデビューはするものの、メジャー・ヒットとはいかず、本来の実力を発揮するのはマイナー移籍後。それでもKellyがメジャー・デビューできたのは、90年代前半という時代が良かったからでしょう。シンプルなストレート・カントリー曲が沢山ヒットしていた頃。今だったら、Ashleyと同様のケースになっていたかも。そうです、Ashley。テキサスに行くのです。熊本からナッシュビルへ帰らず、テキサスに向かうのです。そこで、オルタナに行くのも悪くないが、スリム・山口さん(!)を訪ねてストレートに行っても良い。ジャンプ・ナンバーでの高揚を身に付け、産業都市ナッシュビルの連中にはどうひっくり返っても作れない、魂のアメリカン・ミュージックを製作してほしい。それとも、既にノラ・ジョーンズやキャリー・アンダーウッドへ曲を提供してたりするので、マイナー・レーベルでCD出しながら、ライター稼業に力入れるのかな・・・いずれはマイナー・レーベルから日の目を見るであろうデビュー・アルバムを待ちたいと思います。

 

 最後に、大変恐縮で僭越ながら、カントリー・サンシャイン(カントリー・ゴールド)のスタッフ様様へリクエスト。せっかくカントリー・アーティストを日本に呼んでいただいているのですから、やっぱりアーティスト情報は主催者様からオフィシャルでオーセンティックな形で出してほしいなぁ、と。90年代頃はバイオを掲載していただいてたようですが、最近は・・・。カントリー・サンシャインは、それ程有名でない(売れてない)これからのアーティストを招くコンセプトでしょうから紹介しにくかったり、カントリー・ゴールド程大きなイベントではないかもしれませんが。いや、そのカントリー・ゴールドでのアーティスト情報も、もっと充実して欲しいくらい・・・やはりスタッフ人数の問題でしょうか。楽な運営はされてないと思いますし。でも、やはり影響力、説得力の面からオフィシャルに勝るものは無いです。なんせ、他に確立されたメディアがありませんから。カントリー・サンシャインは、かつてディキシー・チックス(既にナタリーもいた)、チェリー・ライトらその後大ブレイクしたスターを始め、アニタ・コクラン、ダニー・リー、エリザベス・クックらの本格派などそうそうたる面子を招いている実績と歴史と由緒あるイベント。それがこのイベントの知名度アップに繋がっていないのが大変惜しいと感じていますし、もっとハッタリかましてPRして良いと思います。

 と生意気を言いながら、見に行けない模様・・・・カントリー・ゴールドは行かないと。

 ●AshleyのMySpaceサイトはコチラ

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1 コメント

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え~!!アシュレーちゃんが日本に! (たいちょ~)
2008-02-25 09:56:52
こんにちは~
Ashleyちゃんが日本に!
いや~、これはうらやましいです。
彼女はGrand Ole Opryにたまに出演するのですが、私実際に彼女を生で拝んだことはありません。
いける方はぜひ行っていただきたいと思います。

彼女の幻のデビューアルバム、実は私の手元にあります。
そしてご指摘のThat's Why We Call Each Other Baby、Hank's Cadillacは実によい出来です。
Sonyは売れないと判断したのでしょうが、確かにテキサスあたりへ移ればチャンスはいくらでもありそうですね。
日本からブレイクというのも有り得る話ですね。
とにかく頑張ってほしい一人です。
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