ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Morgan Wallen モーガン・ウォレン - If I Know Me

2019-05-18 | Morgan Wallen モーガン・ウォレン レビューまとめ

★1月8日にリリースされた新作「Dangerous:The Double Album」
のレビューをアップ
しました★


現時点(この記事投稿時点)の最新ビルボードチャートでシングル
"Whiskey Glasses"がまたもやカントリー・シングルで1位を
獲得したモーガン・ウォレン。彼の2018年リリースのデビュー・
アルバムです。アルバムからのリード・シングル"Up Down"で
いきなり1位を獲りましたが、これはゲストのフロリダ・ジョー
ジア・ラインFGLの後光かな?という感じもあったので、今回の
1位は彼がそのハスキーなカントリー・ボイスで着実に人気を確
立してきている事を示しているでしょう。Netラジオを聴いてる
と、次から次へと流れるポップ曲群の中で、"Whiskey Glasses"
のモーガンの声と粘り腰のサウンドは存在感を放っていたと思い
ます。

モーガンは、1993年、テネシー州はSneedvilleで生まれました。
父はハード・ロック好きの牧師、母はクリスチャン・ミュージッ
ク・ファンの学校の先生という環境の中、早くから音楽には強い
興味を持ちます。5才でバイオリンを弾き始めたのを皮切りに、
ピアノ、ギターを習得していきましたが、実は一番情熱を注いで
いたのが野球でした。ピッチャーとして大学から奨学金を受ける
程でしたが、残念ながら肘を故障し続ける事が出来なくなりま
す。これが音楽への道を進むきっかけとなりました。



2014年にアマチュア・アーティストのコンテスト番組"The
Voice"に参加。審査員だったラッパーのUsherがモーガンのパ
フォーマンスを気に入ったそうです。この番組で、全米の視聴
者の目に触れる事が出来ただけでなく、ボーカル・トレーナー
をしていたAtom SmashのSergio Sánchezと意気投合。2人
はナッシュビルでバンドを組み、ライブ活動を開始したのです。
ほどなくソングライティング契約に恵まれ、ジェイソン・アル
ディーンやA Thousand Horsesに佳曲を提供していく中で、
系列のBig Loud Musicレーベルから見込まれアーティスト契約
まで獲得します。そして2016年にデビュー曲"The Way I Talk"
と5曲入りEPをリリースし、さらに翌年、フロリダ・ジョージア・
ラインとのコラボにつなげていったのです。 

オープニングはそのFGLとの"Up Down"。プロデュースが同じ
Joey Moiという事で実現した、ブルージーなサザン・ロックです。
酒好きには嬉しい"Happy Hour"では少しテンポが上がり、カン
トリー的トゥワンギー・ギターが小気味よいリフを刻む快調な
ナンバー。FGLの「Can't Say I Ain't Country」のイメージを
先取りでテストしてたのかな?という感じもします。



聴きモノが、この後に続く"Whiskey Glasses"を間に挟んで3曲
続くミディアム曲。この並びがとてもモーガンらしさに溢れ素晴らし
いのです。"Had Me by Halftime"は、イントロからのマンドリン
とギターのアンサンブルが荘厳さすら感じさせ、ダウン・ホームな
リズムやスモーキーなモーガンの歌声と重厚に絡みます。"Whiskey
Glasses"は、現代的なプログラミング・サウンドが粘り腰のリズ
ムに洒脱さを織り込んでて、絶妙な音創りと思いました。"Line 'em
up, line 'em up, line 'em up~"のところが耳に残ります。

さらに、複雑なパーカッションがブルージーなリズムにまとわりつ
く"Whatcha Know 'Bout That"。サンプリングによるコーラスや
ルーズなラップも間に挟み、ダウンホームな中での軽妙さが実に快
感です。私はこれら彼独特のミディアム・スタイルを、”モーガン・
ウォレン調”と呼びたいと思っています。ただ、ルーズなサザン・
ロック風一辺倒の人というわけではなく、タイトル曲"If I Know
Me"あたりでは、どちらかというとポップな打ち込みサウンドで、
こういうモダンな曲もこなします。なかなか器用な人のようです。



モーガンは、”僕は必ずしもカントリー・ミュージックを聴いて育
ってきた訳ではなかった。そういう生き方をしてきたんだ”と語っ
ているそうです。髪型をオールバックにすると、結構ウェイロン・
ジェニングス(この人、あのウィ・アー・ザ・ワールドに途中まで
参加してた、当時アメリカを代表するアーティストだったのですよ)
に似てるとも思う彼ですが、今はそういう時代なのです。アメリカン・
ロックの後継という役割も担う現代のカントリー。モーガンのよう
な若手の挑戦にも注目していくべきでしょう。

最新ヒット" Chasin' You"


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