ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Molly Tuttle モリー・タトル - When You're Ready

2019-05-11 | カントリー(女性)

★ 2020年リリースのカバー集「...But I'd Rather Be With You」
元歌情報などをまとめてアップしました★


ポップ・カントリーに浸りきっている時など、フッとこの手のピュ
アなアコースティック・サウンドに触れるとついつい癒されてしま
います。このモリー・タトルは、ブルーグラス界期待の若手ですが、
10代の頃からレコーディングしている天才肌で、IBMW(インター
ナショナル・ブルーグラス・ミュージック・アワード)では、最近
2年連続で優秀ギタリスト賞を獲得している大変有能なプレイヤー
なのです。



2017年に既に「Rise」というEPをリリースしており、日本語付き
でリリースされていたので、コアなブルーグラス・ファンやフォー
ク寄りSSW系が好きな方にはまずまず知名度はあるでしょう。19
93年カリフォルニア州サンタ・クララ生まれ。8才でギターを弾き
始め、11才の頃には、ファミリー・バンドThe Tuttlesを率いる
お父さんJackとステージでプレイしていました。13才でお父さん
との連名、Molly&Jack名義で「The Old Apple Tree」をリリース
するまでになります。10代の末頃には、北カリフォルニアのブル
ーグラス界で最高のギタリスト、そしてボーカリストと称される等、
数々のコンペを勝ち抜いていきました。

その才能を発揮すべく、まず女性メンバーのみで結成されたブルー
グラス・グループThe Goodbye Girlsに加入しEPをリリース。さら
にフィドラー John Mailanderと組んでデュエット・アルバムをリ
リースしました。その一方で、ソングライティングの面では、ボ
ブ・ディラン、ギリアン・ウェルチ、そしてイギリスのオルタナ系
ロック・バンドThe Smiths(モリッシー!)の影響を受けます。
2015年、いよいよ自身のレコードを製作すべくクラウドファンデ
ィングで資金を募る活動を始めます。その結果生まれたのが、先の
「Rise」だったのです。この成果もあり、2017年、IBMWで女性
としての初めてのギタリスト賞を獲得したのです。



「Rise」に続く初のフル・アルバムの本作。ヒット・カントリーと
は一味違う、フォーク~アメリカーナ寄りの媚びの少ないスッキリ
した音作りですが、曲想はなかなかバラエティに富んでます。あの
シエラ・ハルがマンドリンで華を添える"Million Miles"は、爽やか
なフォーキー・チューン。モリーの歌声はふくよかで清らかですが、
ハミングしたりしてポップな彩りもあります。この曲、実は
ュエル
とクレジットのSteve Poltzが作りかけてた曲を、今回モリー
と完成させたそうです。



続く"Take The Journey"になると一転、クロウハンマー奏法とい
うオールド・タイムのバンジョーで使われたテクニックを駆使し、
ブルーグラスというよりマウンテン・ミュージック的な疾走感で迫
ります(上にリンクしたWSMラジオ出演時ライブ、ぜひご覧あれ)。
シングルにもなったハイライト曲です。モリー単独作の"Make My
Mind Up"では、ドラムスが入り、曲調は結構ポップなミディアムに。
要所で光る彼女によるアコギのキー・フレーズが実にクールなお気
に入り曲です。



タイトル曲から"Don’t Let Go"でフォーク系ナンバーが続きますが、
"Don’t Let Go"あたりはフックの有るコーラスが印象的。そして、
"Light Came In (Power Went Out)で一気にテンポ・アップしま
す。アルバム中最も弾むポップ曲です。"Messed With My Mind"
になると、ポップでもだいぶ都会的なセンンス溢れるミディアム
曲と感じます。

今年2019年のライブがじっくり楽しめます


プロデュースはあのレッド・ホット・チリ・ペッパーズも手掛け
たライアン・ヒューイット。これまでにないテイストを持つタレ
ントとしてカントリーへのクロスオーバーを期待したいですが、
今はまだ純粋な職人的アーティストという感じで、アリソン・ク
ラウスやロンダ・ヴィンセント級に迫るには、もう少し時間をか
けて艶を身に付けることでしょうか。"弾ける"クールな女性アー
ティストとしておおいに期待していきたいです。

 



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