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ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

シュガーランドSugarlandインタビュー :Love on the Inside 制作エピソード

2009-03-07 | カントリー(女性)

 グラミー賞や、オバマ大統領の就任式典ライブでのパフォーマンスで最近話題のシュガーランド。CMA(カントリーミュージック協会)提供の、ジャーナリスト、ロリー・ホラバフによる、そのシュガーランドへのインタビュー記事をご紹介しましょう。素晴らしいサード・アルバム「Love on the Inside」のコンセプト、音楽制作やライブ活動への熱い情熱を大いに語っており、大変興味深い内容です。


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 4年前にデビューして以来、シュガーランドのクリスタイン・ブッシュKristian Bushとジェニファー・ネトルズJennifer Nettlesは5百万枚のアルバムを売り上げ、2年連続でCMAアワードのボーカル・デュオ賞を獲得し、ポップ・アイコンのビヨンセ、ボン・ジョビ、そしてメリッサ・エスリッジとコラボしてきた。彼らは成功の結果、相当に過酷な仕事量と肉体的負担を強いられている一方で、その活動は一言に要約する事も出来る:”怖いものなし”。「それは僕たちにとってかなり”有機的(Organic) ”なことなんだ」とブッシュは、彼とネトルズが物事を決定する方法について説明する。「いいアイデアのように聞こえたら、それは多分いいアイデアなんだよ。そして、大勢と一緒に夢見る力がそこにあるんだ。しかし、いつも自分に問いたださなきゃいけない。”心配事は?”心配してたら思うように動ける?もし駄目なら、もっと良い選択をするんだよ」

 それは、シュガーランドが現代カントリー・フィールドでユニークなアプローチを編み出す時に、なぜインディゴ・ガールズ、R.E.M.やリプレイスメンツらのような雑多な影響を難なく受け入れることが出来るのかを説明している。また同じように、ニュー・アルバム「Love On the Inside」のデラックス・エディション(そこにはボーナス・トラック、ビデオや拡大版のライナーノーツなどを収録)を、廉価バージョンより先にリリースするという、通常とは逆の方式をとった戦略にもよく現れている。「それが上手くいくかどうかは確信がなかったよ」とユニバーサル・ミュージックの会長Luke Lewisは認める。「ファンは未発表曲って好きだよね。従来は、アルバムの発売期間の終わりごろにそれらを追加してデラックス盤としてリリースするんだけど、ファンの立場だとボーナス・トラックを聴く為に同じアルバムを買うなんてちょっとイライラすると思うんだよね。ただ多くの人たちはニュー・アルバムを買う時、ポケットに余分な2,3ドルは持ってないから、これまでのやり方は理にかなってたんだ」

 ブッシュにとっては、今回の方法は全てファンに報いる為だった。「アウトテイクはしばしば消費者を店に向かわせる、ある種独占的なものなんだ」とブッシュ。「今回のデラックス・エディションのアイデアは、去年僕たち自身が再びファンとなって献身した経験から来たアイデアが元になってるんだ。僕は、弟とジェニファーを連れてポリスの再結成ライブを見に行ったんだよ。ポリスは僕が初めてライブを見たアーティストの一つだった。ジェニファーはポリスを見るのは初めてだった。弟ブランドンとは1985年に一緒に見たよ。僕たちは踊りまくって楽しんだんだ。そこにいる誰も、僕たちが誰かわからなかった。僕たちは、ただ騒いでるファンの一部だった。僕は13歳の頃、それがいかに大切な事だったかを覚えているよ。ライナー・ノーツを読んだり、たくさんの時間をそこにつぎ込んでいた」そして、シュガーランド、マーキュリー・ナッシュビルとマネージャーのGail Gellmanは、デラックス・バージョンの中に5枚の”プラチナ・チケット”~2008年CMAアワードへの無料招待やバック・ステージでのメンバーとの面会など~をプレゼントとして忍び込ませる企画をしたのである。

      

 このプラチナ・チケットに限らず、「Love On the Inside」には多くの話題を提供してくれる。シュガーランドとByron Gallimoreによるプロデュースによって、音楽はグループの激しさや興奮と、心地良くほとんどアットホームな感じを結びつけた。これは、彼らの家の芝の上(つまり、ホームタウン)でレコーディングするという彼らの決断から来たものである。「自分達のベッドで寝る事が出来るという意味では、とても贅沢な事だったわ」とジェニファー。「そのプロセスがあったことで、グレイトなミュージシャンやプロデューサーそして彼のチームがいつものナッシュビルから出てきてくれて、私達は芸術的に密な関係を理解する事ができたの。私達は快適なゾーンから出てきて、ただ私達の目の前のレコーディング・プロジェクトに集中するだけで良かったのよ」「僕たちは製作関係者の皆をいつもの環境から連れ出して、アトランタに集結してもらったんだ」とブッシュ。「みんなに一緒に生活を共にして参加していると認識してもらう事は大切な事だったよ。参加してもらうことで、違った作品が生まれたんだ。なぜなら皆の興味はそこに集中したからね」

 彼らのホームタウンでレコーディングするのには他の理由もあった。特に2006年の「Enjoy the Ride」の製作時には、ツアーやその他の義務の間でレコーディングの期間が決められていた事があった。「キツかったわ」とジェニファー。「私の声は大変なストレスでいい調子ではなかったの。もう一度やれと言われても、やらないわ」「僕たちの以前のレコードからは多くの事を学んできたよ」とブッシュは言う。「いつも僕たちは背伸びをしてきて、反応はホンとに良かった。そして僕たちは考えたんだ。『これは僕達に何を教えているんだい?』そして僕たちの経典はこうなった。『このレコードの全てに感じるものがなければいけない。どこに感情がある?』もしなかったら、歌詞を書き変える。もしまだ十分じゃなかったら、メロディを書きかえる。満足するまで改善していくんだよ」「それと、私達は「Enjoy the Ride」ではソングライティングに時間が割けなかったので、専門のライターのように作品を練れなかったの」とネトルズは加える。「でもそんな事は2度としないと思った。だから、私達はサード・アルバムに収録する曲は、「Enjoy the Ride」のリリース直後から書き始めたわ。芸術的に作品を練る余地や時間がほしかったし、プレイヤーとしてツアーで学ぶ全てを、観察者としての生活の中で楽しみたかったの」

 「僕たちはこの最新アルバムがどれだけ成功するか自信はなかった。なぜなら皆が期待しているよりもシンプルなレコードだからね」ブッシュは続ける。「みんなはある程度手をかけてプロデュースされ、念入りに工夫され、安全にソングライティングされたアルバムを期待してたと思う。でも僕は、アーティストに変化するよう励ます事によって、そしてその事で彼らを罰しない事で、そのアーティストは確立されていくと思うんだよ」

      

 バンドが「Love on the Inside」で設定した一つのゴールは、大きなライブ会場で映える作品にする事だった。ブッシュは言う。「あなたが会場に入って"We Run"のような曲を聴く。あなたはこの曲がライブ会場には合わないと思っていたかもしれないが、でもライブでも上手くアレンジするんだ。そして突然、"What I'd Give"の後半の勇敢なギター・ソロを耳にするんだ。あなたはプリンスのコンサートにいるんだよ。"Purple Rain"さ!」「ライブこそが音楽そのものよ」ネトルズは主張する。「ライブこそがシュガーランドなの。そこに格調などないわ。音楽は生きてるものなの。演奏し創造する行動の中にだけ起こりえる事なのよ。私達はスタジオでやっている事と同じレベルにしようとしてるわ。ファンのみんなに私達のショウによって変化したり、何か感じてほしいの。私達はファンの皆に、目の前で演奏される曲を見て、そして聴いて感動してほしいのよ。それは全くの知覚による経験だわ」

 ユニバーサル・ミュージックのLewisは言う。「歴史的に見ても多くの場合、最高の音楽は、ジャンルを混合して新鮮さや個性や他との違いを生み出してきた。それこそ皆が望んでいる事なんだよね。それは強制されたり、企てられたりして生まれたものなんかじゃないんだ。今日のカントリー・ミュージックは、幸いにもホントに広い影響をカバーしているように思えるね」

 シュガーランドのリスクへの挑戦は功を奏した。CMAアワードをマルチに受賞し、リードシングル"All I Want to Do"がナンバー1を獲得、そして「Love on the Inside」のデラックス・エディションが発売第1週で314000枚売れたのである。「音楽業界には多くの心配と混乱が存在しているね」とブッシュ。「しかし、僕は今起こっている事はチャンスなんだと、大きな期待を持っているんだ。それは終わりなんかじゃない。ホントは始まりなのさ」

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 今後もCMA提供の興味深い記事がありましたら、折に触れてご紹介していきたいと思います。



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