チョッぴりシックなブレイク。
2010年、6パック(6曲入りのミニCD)アルバムの2連作でシーンの話題をさらい、遂に自身初めてのCMAアワード、男性ボーカル賞のウィナーを獲得したブレイク・シェルトン。本作は続く2011年リリース作で、曲数も通常に戻りました。6パック作では、"Hillbilly Bone""Kiss My Ass"など、かなりアメリカ南部を強く意識した歌詞とサウンド("Hillbilly Bone"でのトレイス・アドキンスの声!)で、南部のコアなカントリー・ファンにターゲットを絞っていたと言えると思いますが、この「Red River Blue」は本腰を入れて視線をクロスオーバーに拡げたな、と感じる作風になっています。つまりは、ブレイクのボーカリストとしての表現力の広さ、懐の深さが堪能できるアルバムに仕上げられているのです。その結果、アルバムとしてカントリー・チャートはもちろん、Hot200でも堂々1位を獲得しました。
リードシングルとなった"Honey Bee"はお得意のアメリカン・ロック・スタイル。ただ"Hillbilly Bone"あたりに比べるとサウンドは少しスッキリ目でメロディもわかりやすいな。続く"Ready To Roll"は、クールなベースラインがR&B風で実にアーバンな感じ。究めつけはパワー・バラードの"God Gave Me You"。その豊かで滑らかなバリトン・ボイスを駆使して、スケール大きく歌い上げてくれます。アルバム中のベスト・トラックと言えるでしょう。シングル・カットもされて、ポップ・フィールドでも成功を収める大ヒットとなっています(私、中国のバーでこの曲聴きましたよ)。バラード系では、"Drink On It"もモダンでスムーズなナンバーで、こちらもシングル・ヒットしています。ここで聴かれるブレイクの声、実にソウルフルでセクシー、雰囲気たっぷりです。
クロスオーバー狙いといっても、トラディショナルな部分をキッチリとキープしているところが、エライ。"Good Ol' Boy"あたりは、トワンギーなカントリー・ギターがたっぷり楽しめる、ド真ん中のストレート・カントリーですし。ブレイクの声もヒルビリーそのもの!ユニークなのが"Get Some"。アコースティック・ギターとドブロ・ギターがフィーチャーされたオーガニックなナンバーですが、打ち込み風のリズム・パターンが現代的なグルーブを創り出していて、そのミックスが心地いい。ラストのタイトル・ソングでは、奥様でスーパースターのミランダ・ランバートとお約束のデュエット。本人達は、自然にやってると言ってるけれども、ブレイクのアルバムにはなくてはならないイベントになってます。他のデュエットとしては、"I'm Sorry"でベテラン、マルティナ・マクブライドがコーラスで参加している事もトピックですね。
ブレイクはこのアルバムの成功により、2011年のCMAアワードでも前年に続き、男性ボーカル賞を2年連続で獲得しました。
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