フランスのル・アーブル港に向かう朝です。
寄港地情報では雨予報でしたが、快晴になりそうです。
入港すると、世界遺産の街・ル・アーブルから朝日が昇りました。
◎ル・アーヴル
フランス北西部の大西洋に臨む港湾都市。セーヌ川右岸の河口にあたり、
ルーアンを首都とするオート=ノルマンディー地域圏セーヌ=マリティーム県に属する。
東経0.12度、北緯49.5度。人口190,905人(1999年)、面積46.95km²。港湾の規模は
マルセイユに次ぎ、大西洋岸ではフランス第1位の規模である。
対岸のオンフルールとの間には、1995年にノルマンディー橋が架けられた。
2005年、戦後再建された中心部の街並みが
「オーギュスト・ペレによって再建された都市ル・アーヴル」として世界文化遺産に登録された。
6:30に接岸し、9:00にモンサンミシェル送迎バスに乗車。
【6/20、モンサンミシェル観光を選択】
世界遺産・ル・アーブル観光や第二次世界大戦のノルマンディ散策も魅力ですが、
やはり、日本人の世界遺産第一位となったモンサンミシェルでしょう。
ル・アーブルを横目に見ながら港を出発し、2時間30分の長い移動になります。
高速道路そばにあったドリルのようなモニュメント。
フランス西海岸ではなく、内陸側を走行して田園風景が続きます。
日差しが強く、バスの左側が暑くなります。
隣に座った女性が、眠るのでカーテンを閉めてくれと要求。
仕方なくカーテンを閉め、窓とカーテンの間に頭を入れて撮影を続けます。
蒸し風呂で熱せられてクラクラしますが、我慢して車窓観光を楽しみました。
ツアーではよくカーテンを閉め切っている観光バスに遭遇します。
グルメと買い物目当てでしょうが、旅行費用と時間の浪費だと思うのですが・・・・。
高速道路を降りてから村落を走り、目的地に近づきました。
ついに牧草地の先にモンサンミシェル島が見えてきました。
圧倒的な風格で中央にそびえるのが修道院。島は城壁で覆われて独特の構造美です。
12:00にバス駐車場に到着。
ここからシャトルバスに乗ってモンサンミシェル島に移動します。
有料の観光馬車も走っています。
シャトルバスを降りていよいよモンサンミシェルに入場です。
【モンサンミシェル】
フランス西海岸、サン・マロ湾上に浮かぶ小島であり、同名の修道院がある。
モン・サン=ミシェルは「聖ミカエルの山」の意で、旧約聖書にその名が記される大天使・ミカエルの
フランス語読みに由来する。
行政上はル・モン=サン=ミシェルというコミューンを形成する。
カトリックの巡礼地のひとつであり「西洋の驚異」と称され、1979年「モンサンミシェルとその湾」
としてユネスコの世界遺産に登録され、1994年10月にはラムサール条約登録地となった。
主要部はゴシック様式だが、内部はさまざまな中世の建築方式が混ざり合って構成されている。
教会堂はカロリング期の様式で、身廊はノルマン様式(11~12世紀)、百年戦争後の1421年に破壊された
ロマネスク様式の内陣はフランボワイアン・ゴシック様式(15世紀半~16世紀初頭)として再建された。
これら周囲を13世紀の重層構造の修道院建築と13~15世紀の軍事施設が取り囲んでいる。
ゴシック・リヴァイヴァル建築の鐘楼と尖塔は1897年に完成し、その上に奉られた
剣と秤を持つ金のミカエル像は彫刻家エマニュエル・フレミエによって製作された。
深層部からは、岩山の上に幾層にもわたり建造され続けた建築遺構も残る。
入口の門を通ると世界中の観光客で混み合っています。
名物の「プラールおばさんのオムレツ」のお店です。
調理風景を見ることができますが、長い柄のフライパンで火にくべてふわっふわに焼き上げています。
大勢の巡礼者の食事のために材料と手間を省くために、さっさと手軽につくったというのが、
このオムレツの始まりだったそうですが、約3000円という値段は一体何なの・・・。
修道院に向かうメイン通路は混み合って中々前に進みません。
そこで左側の細い路地から墓地を抜けて、修道院の入口に近道しました。
入場券を購入し、周回ルートに従って見学します。
尖塔の先端に剣と秤を持つ金のミカエル像がありますが、
これより上に登って近寄れるような場所はないようです。
礼拝堂ではミサが行われていました。しばし雰囲気を味わいます。
この島はもともとモン・トンブ(墓の山)と呼ばれ先住民のケルト人が信仰する聖地であった。
708年、アヴランシュ司教オベールが夢のなかで大天使ミカエルから「この岩山に聖堂を建てよ」
とのお告げを受けたが、悪魔の悪戯だと思い信じなかった。再び同じ夢を見たが、また信じなかった。
ついに3度目には大天使はしびれを切らし、今度はオベールの額に指を触れて強く命じたところ、オベールは
稲妻が脳天を走る夢を見た。翌朝、オベールは自分の頭に手を置くと脳天に穴が開いていることに気づいて
愕然とし、ここに至って大天使ミカエルのお告げが本物であると確信してここに礼拝堂を作ったのが始まりである。
修道院の広場に一番乗りで到着。
誰か日本人が来るのを待って記念撮影します。
右手の施設内に島の変遷を示す模型がありました。
966年にはノルマンディー公リシャール1世がベネディクト会の修道院を島に建て、
これが増改築を重ねて13世紀にはほぼ現在のような形になったものである。
中世以来、カトリックの聖地として多くの巡礼者を集めてきた。
島に接続された堤防 兼 観光道路が見えます。
干潟は半分ほど海水に覆われていました。
補修中の塔でしょうか。島の各所で行われていました。
お母さんの許可を得て男の子に飴をあげると、そのまま口の中に、
あわてましたが、お姉さんが包み紙を取ってあげたので一安心。
可愛いお姉さんにも飴をあげましたが、お母さんは笑って見ていました。
礼拝堂から美しい回廊のある中庭に出ました。
修道院の居住スペースとして13世紀に増築された「ラ・メルヴェイユ」の最上階になります。
中庭の四方を二重の円柱列がずらりと取り囲んでおり、落ち着きと静けさを感じさせる空間は、
修道士たちが休憩したり、瞑想などをするスペースでした。修道士たちは様々な学術の研究に携わって
いましたが、ここでは薬草が植えられ、それを使って巡礼者の治療なども行なっていたそうです。
ここの北側は海の見晴らしも良く、観光客の展望所となっていました。
美しい空間からラ・メルヴェイユ(驚嘆)と呼称される、様式の異なる大広間が見られます。
◎ 食堂
回廊の隣にある厳かな雰囲気の食堂。薄暗いが、両脇にある小窓から光が差し込んでいる。
ここで修道士たちは、静かに食事をし、聖人伝などのを聞いた。食事も信仰生活の一つの儀式でした。
◎ 貴賓室
身分の高い人や尊い客人などをもてなした部屋。ここで食事が整えられ、すぐ近くにトイレもあり、
当時のVIP待遇だった。この部屋もゴシック様式アーチ型の天井と葉型模様の装飾が優美。
一階の太い石柱の部屋はスペースが無く、何に使われたのでしょう。
貯蔵室か貧しい巡礼者に施しを与えたという施物分配室でしょうか。
薄暗い通路に差し込む光が幻想的でした。
◎ 騎士の部屋
アーチ型の天井や柱頭の装飾にゴシック様式の特徴があり、修道士たちの写本や細密画などの仕事場。
1469年に「聖ミカエル騎士団」が結成された後、「騎士の間」と呼ばれるようになった。
大きな暖炉があったので、「暖取り所」とも呼ばれていた。
内部にも剣を持つミカエル像があります。
順路を辿って、三層棟・ラ・メルヴェイユの中庭に出ました。
石壁を周回して正面入口の門に出ると観光ルートの終点です。
さらに観光客が増えてきました。高齢者にはつらい階段が続きますが、
さすがに改装は難しいでしょう。中国なら駕籠かきの出番ですね。
修道院周辺の探索とお店巡りに移ります。
もうひとつの小さな礼拝堂がありました。
ここにも剣と秤を持つミカエル像。
墓地から見上げたモンサンミシェル。
修道院-監獄-要塞-修道院と変遷した歴史の圧倒的な風格です。
島のメインストリートには、土産屋とレストラン、ホテルが軒を連ねています。
土産屋ではレジ係と包装係が分かれているため、清算してから品物を受取ります。
中身を確認するとTシャツがありません。袋が二つになっていたため要チェックです。
観光客へのサービスでしょうか、中世の衣装を着た四人組が声を掛けながら行進。
島で一番狭いという路地を探して歩いてみました。
確かにすれ違いは無理ですね。
「プラールおばさん」は美味しいオムレツとクッキーで有名だったそうです。
皆さんはオマケ付きクッキーを大量に買っていました。
貧しい巡礼者向けだったという庶民感覚から外れた3000円のオムレツを諦めます。
普通のレストランでは1000円前後でオムレツとサラダが食べられます。
私は空いていたピザとデザートの店で遅い昼食ですが、美味しく安上がりに済ませました。
食べた方の感想を聞くと「記念のため食べたが、素朴すぎて期待外れかな・・・」でした。
旅行ケースを抱えた日本人ツアーと遭遇。
島内に宿泊するようで、うらやましい限りです。
百年戦争の期間は島全体が英仏海峡に浮かぶ要塞となっていました。
モンサンミシェルの入口にイギリス軍が捨てていった大砲とその弾が置いてあります。
15:15のシャトルバスに乗るため、わずか3時間の観光で引き上げます。
1877年に対岸との間に地続きの道路が作られたために潮流がせき止められ、100年間で2mもの
砂が堆積してしまいました。かつての「島」に戻す国家プロジェクトが進んでいて、道路を撤去して
景観に配慮した橋でつなぎ、海流により堆積砂を取り除く計画が進んでいます。2015年完成予定。
専用泥靴を借りて干潟を歩くツアーもありました。
島内の物価は高いです。駐車場そばのスーパーマーケットで安価にお買い物。
16:00に駐車場を出発してル・アーブルに戻ります。
定番のモンサンミシェル島と牧草地の羊や牛の風景です。
また訪れる機会があれば、島内に宿泊したり、ライトアップされた夜景を
撮影して楽しみたいですね。今回は絵葉書で我慢です。
こちらも世界遺産の街・ル・アーブルに戻ってきました。
目の前にある世界遺産なのに観光できずに残念。
少しでも時間があれば街を歩いてみたかったのですが、
帰船リミットまで時間がありません。
19:00にル・アーブル港に帰着。帰船リミットが19:30のため、そのまま乗船。
20:30にル・アーブルを出港。
世界遺産のル・アーブル市街は観光できませんでしたが、
天候に恵まれたモンサンミシェルに大満足。
道路撤去が終わり、干潟がかつての景観に戻った後に訪れたいですね。
夕焼けのドーバー海峡を航行してイギリスに向かいます。
明日はテームズ川を遡ってティルベリーに着岸し、オリンピック間近のロンドンを訪れます。
明日も雨予報ですが、傘を差しながらベーカー街のホームズ氏に会いたいですね。
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