今更のネタで恐縮ですが

あの打球はそもそも取れなかった，という見方もできる。

しかし，問題はそこではないと思う。
ラミレスは何故「バンザイ」をしたのか。
それはきっと，中日の優勝を確信したからに違いない。

彼ほどの選手になれば，あのような場面でも冷静に試合の流れを見る事が出来る。
そして気付いたのだ。このまま中日は日本シリーズへ駒を進めるだろうと。

もはや勝敗は決した。ならば素直に祝ってやるべきだ。
同じようにレギュラーシリーズを切磋琢磨しあってここまで来た者同士，その心情はよくわかる。
プロ野球界ではそれほど聞かないが，「ノーサイド精神」を身をもって示すことで，
自らの懐の深さを見せる事もまた，プロの姿勢ではなかろうか…

そしてラミレスは，球場内の誰よりも早くバンザイをした。
「中日ドラゴンズおめでとう。俺達の分まで，日本シリーズを戦って来い。
　ロッテの連中に，セリーグの野球を見せつけてやれ。」

後ろへ転々と転がる打球を追いつつも，ラミレスの心は晴れやかだった。
素直に相手の勝ちを認め，そして次のシーズンへの準備を始めよう。
「来年は俺達の番だ。」
そう心に誓いつつ，ラミレスはナゴヤドームを後にするのだった。