今回は、1991年に行われたアメフトの関東大学選手権決勝(当時は日産自動車がスポンサーになっていて「パルサーボウル」と呼ばれていました)である日大対専修の試合の感想を書いてみたいと思います。
試合の模様はYoutubeで上がっていまして、私が視聴したのは
https://www.youtube.com/watch?v=a0QXB7BrPlc
となります。
戦前の予想としては、やはり前年までライス3連覇・関東5連覇を果たしていた日大が有利とみられていましたが、この年の日大の守備に若干不安があるのではないかということでした。
で、ふたを開けてみると、日大ショットガン攻撃が専修守備陣に8度のインターセプトを食らったという衝撃の結果となり、当時すごく話題になりました。
なぜこんなことになったのか・・・それを中心に見ていきたいと思います。
まず最初のケチの付き始めはこれです。
(1)日大のレシーバーがはじいてしまったボールを専修の選手がうまいことキャッチした
しかしその後の専修の攻撃は、ギャンブル失敗もあってうまくいかず、事なきを得ました。
その後日大は先制のTDをあげ、さらにRB山口(1年生のときから大活躍している超優秀なランナーで当時4年生)にボールを持たせて追加点のTDと思いきやホールディングの反則で、取り消しとなります。
結局そのドライブではパントとなり、篠竹御大は憮然とした表情です。
それでも専修のオフェンスは波に乗れず、攻撃権を取り戻した日大はFGで3点を追加します。
しかしそこから専修オフェンスのエンジンがかかってきて、ランプレーの連続で反撃のTD
(2)直後の日大の攻撃の最初のプレーで専修いきなりのインターセプト・・・なんですが、ボールを横取りした専修の選手の周りには、日大のレシーバーが見当たらず、いったい誰がターゲットだったのか?
どうやらQBから見てインターセプトされた地点のその先にターゲットがいたらしいです。
というのはともかく、勢いに乗った専修はやはりランを中心にしつつも、ここぞというところのパスで逆転のTD さらにFGも追加します。
(3)すると日大はQBを1年生の鈴木に替えて専修陣に攻めかかっていくんですが、エンドゾーンに投げ込んだパスが専修ディフェンスにインターセプトされてしまいます。
(4)日大はその直後の専修の攻撃を3&OUTに追い込みますが、自身の攻撃でまたインターセプトを食らいます。
しかし、今度は日大が専修のパス(前半の残り時間、そしてリードしている状況を考えると、ランで時間を使った方がよかったような気がしますが)をインターセプト。
(5)ところが直後の日大のパスを専修がインターセプト・・・両チーム何をやってるんでしょうか。
(6)で、後半に入って、日大はQBをスターターの松本に戻すわけですが、また肝心なところでインターセプト・・・
それでも専修の攻撃を抑え込んで逆襲に出るのですが、相手ゴール前のギャンブル(ラン)は失敗・・・うまくいきません
しかしその直後の専修の攻撃もポジション的に苦しいので、すぐにパントに追い込まれ、その後のドライブでようやく日大が同点のTDをゲットします。
(7)この時間帯は専修もちょっと苦しくなってきており、攻撃権を得た日大も調子よく攻め込んでくるのですが、またエンドゾーンでインターセプトを食らってしまいます。
そうすると、専修も攻撃の目先を変えてきて、スターターQB頓宮に替えて、2年生の秋田を投入。これが大当たりで、その秋田の大活躍で再び勝ち越しのTDを奪います。
日大も負けてはいません。その次のドライブですぐさま同点に追いつきます。
再び秋田が率いる専修オフェンスは日大ゴール前まで迫りますが、日大ディフェンスも頑張り、ここはFGで勝ち越しということに。
まだ時間はたっぷりあります。日大はショットガン体型から、松本のランを中心にした攻めを見せ、逆転のTDを奪います。
しかし専修も残り時間5分ということで、そんなに慌てることはない状況です。もちろんその次のドライブでTDは必須ですが。
そんな中、QB秋田、RB粳田、同関澤を中心に、ランや短いパスを中心に、着実に前進して、再び逆転TDを奪いました。
しかしTFPのキックは失敗。日大は次のドライブでFGを奪えば逆転、そしておそらくそのまま勝利という状況になりました。
残り時間は1分23秒。こういうときにパスという飛び道具を持ったチームは強みを発揮します。
日大はパスを次々と成功させ、敵陣26ヤードというところまで来ました。この時点で残り54秒。
後は適当にランプレー(ショートパスでもいいです)で時間を使いながら、確実にFGを狙えるところまで進めば勝ちです。ところが・・・
(8)QB松本は左隅方向にパスを投げ込み、専修・佐山に痛恨のインターセプトを食らってしまいます。
そして専修はニーダウンで時間をつぶし、見事初の甲子園ボウル出場を決めたのでした。
それにしても最後のパス・・・あんなところへ投げる必要はあったのか?
もうちょっと確実なプレー(それこそ松本が走ってもよかった)があったものではないかと思うんですが・・・
でもこれが日大なんですね。篠竹イズムなんですよ。正々堂々とTDパスを決めて、相手を叩き潰す。
今までそうやって勝ってきた。長らく関東を制圧し、甲子園も何度となく制覇し、ライスでも社会人を破ってきたわけです。
そういった「篠竹イズム」がだんだん通じなくなってきた、その兆候が見られ始めたのが、この試合だったのではないでしょうか。
改めて、専修守備陣はなぜ8度のインターセプトを日大ショットガンから奪えたのか。
解説の言葉を借りれば、松本や山口のランをある程度封じ(特に名ランナー山口が本当にこの試合では目立ちませんでした。むしろ松本の方がよく走ったかなと)、仕方なく投げたパスを見事なパスカバーで横取り。
言葉にしてみれば簡単かもしれませんが、実際やってのけるのは大変なことです。専修はベンチも含めてよくやった。RB粳田も本当によく走りました。
翌日に行われた関西学生リーグのプレーオフ・京大対関学戦もいい試合でしたが、この試合は本当に日大王朝凋落の序章となるエポックメイキングな試合でしたよ。
この後、日大は次に甲子園ボウルに出場するまで、16年の歳月を費やします。その間、2部落ちの危機もありました。東大に惨敗するシーンもありました。
優秀な選手を供給する付属校などとの関係悪化もあったとも聞きます。篠竹御大も監督勇退まで追い込まれました。
専修も甲子園ボウル出場は今のところこれっきりで、現在は2部にいるんですよね。日大はもっと悲惨なことになりましたが。
それでもこの試合は本当にすばらしかったですよ。ご興味を持った方には、ぜひYoutubeで見ていただきたいと思います。
試合の模様はYoutubeで上がっていまして、私が視聴したのは
https://www.youtube.com/watch?v=a0QXB7BrPlc
となります。
戦前の予想としては、やはり前年までライス3連覇・関東5連覇を果たしていた日大が有利とみられていましたが、この年の日大の守備に若干不安があるのではないかということでした。
で、ふたを開けてみると、日大ショットガン攻撃が専修守備陣に8度のインターセプトを食らったという衝撃の結果となり、当時すごく話題になりました。
なぜこんなことになったのか・・・それを中心に見ていきたいと思います。
まず最初のケチの付き始めはこれです。
(1)日大のレシーバーがはじいてしまったボールを専修の選手がうまいことキャッチした
しかしその後の専修の攻撃は、ギャンブル失敗もあってうまくいかず、事なきを得ました。
その後日大は先制のTDをあげ、さらにRB山口(1年生のときから大活躍している超優秀なランナーで当時4年生)にボールを持たせて追加点のTDと思いきやホールディングの反則で、取り消しとなります。
結局そのドライブではパントとなり、篠竹御大は憮然とした表情です。
それでも専修のオフェンスは波に乗れず、攻撃権を取り戻した日大はFGで3点を追加します。
しかしそこから専修オフェンスのエンジンがかかってきて、ランプレーの連続で反撃のTD
(2)直後の日大の攻撃の最初のプレーで専修いきなりのインターセプト・・・なんですが、ボールを横取りした専修の選手の周りには、日大のレシーバーが見当たらず、いったい誰がターゲットだったのか?
どうやらQBから見てインターセプトされた地点のその先にターゲットがいたらしいです。
というのはともかく、勢いに乗った専修はやはりランを中心にしつつも、ここぞというところのパスで逆転のTD さらにFGも追加します。
(3)すると日大はQBを1年生の鈴木に替えて専修陣に攻めかかっていくんですが、エンドゾーンに投げ込んだパスが専修ディフェンスにインターセプトされてしまいます。
(4)日大はその直後の専修の攻撃を3&OUTに追い込みますが、自身の攻撃でまたインターセプトを食らいます。
しかし、今度は日大が専修のパス(前半の残り時間、そしてリードしている状況を考えると、ランで時間を使った方がよかったような気がしますが)をインターセプト。
(5)ところが直後の日大のパスを専修がインターセプト・・・両チーム何をやってるんでしょうか。
(6)で、後半に入って、日大はQBをスターターの松本に戻すわけですが、また肝心なところでインターセプト・・・
それでも専修の攻撃を抑え込んで逆襲に出るのですが、相手ゴール前のギャンブル(ラン)は失敗・・・うまくいきません
しかしその直後の専修の攻撃もポジション的に苦しいので、すぐにパントに追い込まれ、その後のドライブでようやく日大が同点のTDをゲットします。
(7)この時間帯は専修もちょっと苦しくなってきており、攻撃権を得た日大も調子よく攻め込んでくるのですが、またエンドゾーンでインターセプトを食らってしまいます。
そうすると、専修も攻撃の目先を変えてきて、スターターQB頓宮に替えて、2年生の秋田を投入。これが大当たりで、その秋田の大活躍で再び勝ち越しのTDを奪います。
日大も負けてはいません。その次のドライブですぐさま同点に追いつきます。
再び秋田が率いる専修オフェンスは日大ゴール前まで迫りますが、日大ディフェンスも頑張り、ここはFGで勝ち越しということに。
まだ時間はたっぷりあります。日大はショットガン体型から、松本のランを中心にした攻めを見せ、逆転のTDを奪います。
しかし専修も残り時間5分ということで、そんなに慌てることはない状況です。もちろんその次のドライブでTDは必須ですが。
そんな中、QB秋田、RB粳田、同関澤を中心に、ランや短いパスを中心に、着実に前進して、再び逆転TDを奪いました。
しかしTFPのキックは失敗。日大は次のドライブでFGを奪えば逆転、そしておそらくそのまま勝利という状況になりました。
残り時間は1分23秒。こういうときにパスという飛び道具を持ったチームは強みを発揮します。
日大はパスを次々と成功させ、敵陣26ヤードというところまで来ました。この時点で残り54秒。
後は適当にランプレー(ショートパスでもいいです)で時間を使いながら、確実にFGを狙えるところまで進めば勝ちです。ところが・・・
(8)QB松本は左隅方向にパスを投げ込み、専修・佐山に痛恨のインターセプトを食らってしまいます。
そして専修はニーダウンで時間をつぶし、見事初の甲子園ボウル出場を決めたのでした。
それにしても最後のパス・・・あんなところへ投げる必要はあったのか?
もうちょっと確実なプレー(それこそ松本が走ってもよかった)があったものではないかと思うんですが・・・
でもこれが日大なんですね。篠竹イズムなんですよ。正々堂々とTDパスを決めて、相手を叩き潰す。
今までそうやって勝ってきた。長らく関東を制圧し、甲子園も何度となく制覇し、ライスでも社会人を破ってきたわけです。
そういった「篠竹イズム」がだんだん通じなくなってきた、その兆候が見られ始めたのが、この試合だったのではないでしょうか。
改めて、専修守備陣はなぜ8度のインターセプトを日大ショットガンから奪えたのか。
解説の言葉を借りれば、松本や山口のランをある程度封じ(特に名ランナー山口が本当にこの試合では目立ちませんでした。むしろ松本の方がよく走ったかなと)、仕方なく投げたパスを見事なパスカバーで横取り。
言葉にしてみれば簡単かもしれませんが、実際やってのけるのは大変なことです。専修はベンチも含めてよくやった。RB粳田も本当によく走りました。
翌日に行われた関西学生リーグのプレーオフ・京大対関学戦もいい試合でしたが、この試合は本当に日大王朝凋落の序章となるエポックメイキングな試合でしたよ。
この後、日大は次に甲子園ボウルに出場するまで、16年の歳月を費やします。その間、2部落ちの危機もありました。東大に惨敗するシーンもありました。
優秀な選手を供給する付属校などとの関係悪化もあったとも聞きます。篠竹御大も監督勇退まで追い込まれました。
専修も甲子園ボウル出場は今のところこれっきりで、現在は2部にいるんですよね。日大はもっと悲惨なことになりましたが。
それでもこの試合は本当にすばらしかったですよ。ご興味を持った方には、ぜひYoutubeで見ていただきたいと思います。