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雑誌とジャーナリズムの矜持

2011-04-19 03:59:15 | 出版業界

 出版とは縁のない友人が、ブログで書いていた。

「震災後、『週刊ポスト』は前向きな記事のタイトルが多い。一方『週刊現代』は放射能被害を怖がらせる記事が多い。どちらも読んでいないけれど、広告とか見ると『ポスト』の方に好感が持てる……」

 ぼくもこの一ヵ月、両誌を比較して、同じような感想を持っていた。

 さらに、元『週刊文春』編集長の花田氏は、『週刊文春』が東電叩きの色を強く打ち出していると指摘していた。非常時において、週刊誌の色が図らずも表に出てきたといえるだろう。

 個人的には、いまこの時期、出版は国民に元気を届ける存在でありたいと願う。ふだんの扇情的な「売らんかな」の尺度は捨ててほしい。もちろん「非」は「非」として追求するべきだし、これから先の危険性に言及するのも必要だ。ただ、被災地の人への「想像力」が記者や編集長の頭にあれば、それで済む話だ。ジャーナリストとして最低限の矜持、と言ってもいい。

 被災地の集会場に貼ってあった、一枚の紙にはこう書かれていた。

「マスコミの取材、お断りします」

 肉親や家を失った人への、強引な取材が目に余った末の張り紙だという。なかには親を亡くした子供に密着取材した記者もいたそうだ。そんなことで得たニュースや記事を、だれが喜ぶと思っているのだろうか。

 そのかわり、ジャーナリストたちに訴えたい。この先、事態が終息に向かったら、ぜひ今回の「失敗の本質」を鋭く抉り出してほしい。個人の責任も含めて、それこそ、さまざまな角度から検証してほしい。

 今はまだ、傷口がふさがるのを、待ってはどうか。

 ちなみに、上記の張り紙は「週刊ポスト」の記事の中で見つけた。ささやかな自己検証の姿勢を見た気がした。