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林業小説 「神去なあなあ日常」

2009-07-16 20:08:50 | インポート

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 先日、福島県只見の村落に、古本を車に積んで持って行った。友人が5箱、ぼくが2箱、休日の高速1000円サービスを利用して、遠路片道350キロほどかけて。ここでは、十年ほど前から古本と森を交換するという村おこしの事業をしており、ドライブがてら試しに行ってみようということになったのだ。

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 3週間ほどして、評価額と、それを6坪の森林と交換するという証明書みたいなものが送られてきた。山の奥の6坪だから、それで利益を得るとかは一切ない。ただ、あの山の一部が自分のものだと思えばそれだけで気持ちいい。友人はぼくの倍ほどの森林地主になって、秋には自分の土地を見に行きたいねなどと言っていた。

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 この只見というところは、村おこしをするくらいだから、森林以外何もない(只見の方々、失礼)。主産業は林業なのだろうと想像された。

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 三浦しをんの最新小説「神去なあなあ日常」(徳間書店)は、この林業を舞台にした青春小説。フリーター志望だった主人公の勇気は、親と教師の陰謀で高校卒業と同時に、近畿の山奥の神去(かむさり)村に林業見習いとして放り込まれる。彼が一年を振り返るという形で、著者独特のユーモアあふれるタッチで、一人の少年の成長譚が語られていく。

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 「なあなあ」とは神去地方の方言で「まあ、のんびりとやりましょ」くらいの意味だと説明されている。林業は50年、100年単位で木を植え、育て、伐採していく職業だ。現代の都会人のように、目先のことに一喜一憂していてはつとまらない。大自然とあるときは融合し、あるときは闘う、そんな世界はぼくにとっても読んでいて新鮮だった。

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 ぼくは三浦しをんの、直木賞作家とは思えない腐女子風エッセイのファンなのだが、この小説も肩の力がほどよく抜けていて、爽やかな読後感が残った。

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 さて、暑い夏、なあなあでいくとしますか。

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ディスレクシア(難読症)を知ろう

2009-07-02 21:09:24 | インポート

 本を読むというのは、ひとつの能力だと思う。

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 自転車をこいだり、水の中を泳いだりするのと同様、人間が後天的に身につける能力だ。こうしたものは、できれば幼いうちに身体で覚え込んだほうがいい。そうすれば、たとえ一時期離れたとしても、身体が覚えていてくれる。

 子どもに読書の習慣をと願うのは、なにも商売だからではない。ある程度頭が固まってしまうと、身につけるのが難しいと知っているからだ。

 ただ、遺伝的に、本を読む能力がない人もいる、とつい最近知った。

 学習障害「ディスレクシア」。日本語では「難読症」と言う。

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 重度自閉症の「アスペルガー症候群」は年少者の犯罪などで広く知られるようになったが、「ディスレクシア」も同様に、おそらくは先天的な脳の機能障害によるものと考えられる。言語を理解する部分に何らかの問題があって発症するらしい。

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 こうした子に、読書を強制してはいけない。どこに問題があるのかきちんと大人が理解し、その子に合った方法で指導してあげることが大事だ。

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 「ディスレクシアでも大丈夫! 読み書きの困難とステキな可能性」(ぶどう社)にはそんな困難と向き合う姿が書かれている。

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 最近でこそ鬱病は心の病として認知されているが、ひと昔前は「怠け者病」などと精神論で済まされていた。読書を正義の御旗として突き進むだけではなく、「難読症」という障害があることも、業界に身をおくものとしては知っておきたいものだ。

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