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再販崩壊

2014-03-30 23:54:56 | インポート

 

 出版業界からとりあえず離れて、いち読者、いち消費者として本と向かい合うようになった。

  

 いちばん変わったと自分で思うのは、これまで頑なに拒んできたアマゾンやブックオフを利用するようになった、ということ。町の書店を守るためという思いでこれまできたが、今現在無収入の身の上となると、同じ本なら安く読めた方がいい。私は数冊同時並行で読む癖があり、返却期限が決められている図書館は性に合わない。そこで新興勢力の魅力を遅ればせながら肌身で知った、という次第だ。

 アマゾンだと同じタイトルでも3段階に分かれている。ひとつは新刊の定価本。まだ件数は少ないが、割引価格になっている電子書籍のキンドル版。そして、同一タイトルの中古本にも導いてくれる。こちらはピンキリだが、最低価格だと本体1円、送料250円で入手できる。

 

 ブックオフも段階があって、最新の売れ筋は美本なら8掛け程度であまり安くないが、1~2年たった新書などは100円+税の棚で見つけることも容易だ。最初は安物買いで失敗もしたが、じっくり見ていけば、単行本でも100円ちょっとで「えっ!」という本を手に入れられることがわかってきた。これは神保町の古本屋より驚き度という点では大きな時がある。目利きをしない盲点で、だからプロのせどり屋がブックオフをバーコードリーダー片手に巡廻する、という事態も生じてきている。

 これでは、再販制度は実質崩壊している、と言われてもしかたない。地方都市をドライブすると、書店らしき看板は新古書店だけ、という街もめずらしくない。業界的視点に立てば再販制度の維持というのは大きな問題だが、現実はすでにその先を行っている。

 絶版になっている文庫本がキンドルの電子書籍で残されていたり、2時間で読める新書のベストセラーがワンコインで手に入るのは、本好きにとって「ありがたい」ことである。

それが既存の流通を衰退させる要素だとしても、読者に責を負わせるたぐいのものではない。

 

 再販が実質崩壊した後、出版はどう変わっていくのか。私は、グーテンベルグ以来の大地殻変動が起きるのでは、と予想しているのだが。悲観ばかりしてはいない。