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Bar輪gマスターの酒ってやつぁ…

新宿歌舞伎町のBar輪g(りんぐ)のマスターが送る、素敵なお酒のエピソード。

オールドオーヴァーホルト

2005-11-19 21:27:26 | ウイスキー
ウイスキーの中にライ・ウイスキーと言う種類があるのをご存知でしょうか?

「オールドオーヴァーホルト」

はストレート・ライ・ウイスキーの代表的商品です。
原産はアメリカ。
1810年にドイツ移民の孫(三世ですね)アブラハム・オーヴァーホルトがペンシルヴァニアに興したブランドです。


ライ・ウイスキーと言うのは、

その名の通りライ麦を使って造られたウイスキーです。

一般的なウイスキーは大麦で造られますが、ライ麦を使うとかなりドライな印象に仕上がります。


アメリカン・ウイスキー、バーボンには法規制があり、新しい樽で熟成させなければなりません。

その為スコッチよりも若々しく、力強いオークの香りがして、全体的にドライな仕上がりになるのですが(さらに、アメリカ人がドライな味を好むせいもあります。)
ライ・ウイスキーはバーボンとは一線を画するドライ感と甘やかさが特徴的なのです。


好んで飲まれる方もいますが、基本的に認知度が低い酒です。


何とか知ってもらおうと、ライ・ウイスキーを使ったオリジナルカクテルを作ったりしましたが、
カクテルとしてバランス良く仕上げると、そこからベースにまで辿り着きにくいし…

結局、ウイスキー飲みに少しだけ味見してもらう方が早かったりします(苦笑)


結構楽しめる酒ですから、一度試してみて下さいね。


アードベック10y

2005-11-14 19:55:01 | ウイスキー
久々のシングルモルト、

「アードベック10y」

です。

スコットランドのアイラ島。
ウイスキーの聖地とも言えるこの島の南端にあるアードベック蒸留所は1815年創業。

アードベックとはゲール語で「小さな岬」という意味です。

アードベックは全モルト・スイッチの中で最もピート(泥炭)の度合いが強く、
特異な存在感を示し続けています。


その風味は一言、スモーキー。

根強いファンも多く、俺も大好きです。

そんなアードベックも休業し、一滴もウイスキーを造らなかった時がありました。
そんな窮状を救ったのが大手グレン・モーレンジ社。
アードベック蒸留所を買収し、「アードベック」を造り続けたのです。


スコッチウイスキーでは買収や休業、再開などが繰り返されますが、
そんな風にしていても各蒸留所の個性が損なわれないのは、なんとも素晴らしい話じゃありませんか?


話は変わりますが、
アードベック蒸留所はアイラ島の蒸留所の中で唯一食事の出来る施設があります。
モルトの故郷アイラ島を訪れてみるならアードベック蒸留所はルートに組み込むべきですね!

村上春樹が夫人とスコットランド&アイルランドを二人旅した旅行記
「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」


はモルト好きの方にオススメの一冊です。
アードベックが飲みたくなりますよ。

ダルモア1989 シングルカスクコレクション 土屋 守セレクション

2005-10-17 21:16:07 | ウイスキー
シングルモルト界の有名評論家。
いや、ウイスキー全般におけるビッグネーム。

「土屋 守」氏

が選び、シルアルナンバー入りでボトリングした、シングルモルトシリーズの一つです。

輪gにあるボトルには

93/555
94/555

の二本あります。
この「土屋守セレクションシリーズ」は2000年に初めてボトリングされ、それ以降の発売はありません。
したがって、多分二度と手に入りません。

土屋 守氏という人は、
ウイスキーに関する著書を多数出版している他に、毎年出版される『世界名酒事典』のウイスキー部門の紹介文を書いているなど、日本におけるウイスキー評論のナンバーワンと言える人なのです。

ボトル裏には彼の似顔絵にサインを添えたイラストが載っています。
「紳士」って感じの絵ですよ。

「ダルモア1989 シングルカスクコレクション 土屋 守セレクション」
の解説は、その裏ラベルに書かれている土屋氏の文章をそのまま引用させて頂きます。


「北ハイランドのクロマティ湾に面した蒸留所。ウイスキー造りのスタイルはオールドファッションで、ポットスティルはウォータージャケットが装着された独特の形をしている。ヘビーでスパイシー。どことなく野暮ったいが、それがダルモアの個性となっている。オイリーでやや樽香がきつい。塩コンブ、アプリコット。シガーとともに、あるいはラムやビーフなどの肉料理と一緒に飲んだら面白いだろう。」


飲みたくなりますねぇ…
ただし、一つだけご注意を樽出し原酒の為、アルコール度数が

60.5%

もあるんです。


カスクとは樽の事、シングルカスクだと一つ樽から瓶詰した酒ですよ、という事になります。
このボトルはカスクナンバー
7930番
の樽から瓶詰されました。そういった情報をきちんと明記したラベルを見ながらチビチビやる。
どうですか?


ノブ クリーク

2005-10-14 00:13:58 | ウイスキー
バーボンウイスキー第二弾
「ノブ クリーク」

ジム・ビーム社の熟成型バーボン。

ジム・ビーム社の造るバーボンでは、ブッカーズが超有名ですが、負けず劣らずリッチなフレーバーを持つバーボンです。


比較的アルコール度数の低い原酒を、内側を二重に焼いたオーク樽を使って
9年間熟成させたもの。

飲むなら、やっぱりロックがお勧めです。

酒名はケンタッキーに流れる小川から。


でもね、俺にとっては初めて本気で好きになった、昔の彼女の名前なんです。

こうなると味うんぬんじゃないっすよw

いや、旨いのはすごく旨いんですょ。

ホロ苦い思い出と一緒に飲むバーボン。

こんなのもアリですよね。


オールドパー クラッシック18年

2005-10-08 00:30:59 | ウイスキー
「オールドパー」

飲んだ事は無くても名前は知ってる方が多いはず…


「オールドパー」が日本に入って来たのは明治時代。
それから現在に至るまで愛され続けているブレンデッドスコッチの名品です。

眉唾な話に聞こえますが、
「オールドパー」の名前は百五十二歳まで長生きした(!!)農夫、トーマス・パーから付けられました。
大層胡散臭いが本当の話。
画像ではわからないと思いますが、ラベルに白髪ボウボウのじーさまが描かれてます。
彼がトーマス・パーじーさまで、なんと巨匠ルーベンスの筆によるもの。

歴史の重みちゅうやつやね。しかし。


若者達は知らないでしょうが、昔(親父世代かそれ以前)は洋酒が異常に高価でした。

戦後の高度成長期までは、国内の経済立て直しの為に、酒税法が異なっていた為です。

「オールドパー」や「ジョニーウォーカー」といった洋酒は庶民にとって正に高嶺の花だったのです。
自宅に「オールドパー」がある家は大金持ちで、ガラス扉の棚に安置されている訳でした。



今は酒税法も改正され、様々な酒が輸入されるようになりました。
「オールドパー」の販売価格も落ち着き、高価すぎて飲めないような酒ではなくなりましたが、その時代の印象が根強く残り、親父様世代には高級酒、贅沢な酒と愛されているのです。
今でも、クラブやスナックなどで親父様がこだわりの「オールドパー」をボトルキープして、大事そうに飲んでいたりします。



誤解があるといけないので、強く言わせていただきますが、
「オールドパー」は旨い!!!
酒税法の為に高価だったイメージのせいで、現在の若い世代には、値崩れした酒とか、物の無かった(又は選択肢が少なかった)頃の酒という誤解の元、飲まず嫌いになっている人がいます。
偏見を捨てて飲んでみて下さい。
旨いです。

良く考えて下さい。
時代が変わろうが旨い物は旨い。まずい物はまずい。当たり前ですよ。

むしろ、現在よりもはるかに高価であっても、輸入され愛されるだけの旨い酒だと言わせてもらいます。ハイ。


「オールドパー クラッシック18年」は2004年に新発売されたモルトウイスキーのみをブレンドしたヴァッテド・モルト。そのベースになるのはクラガンモアというモルトウイスキーです。

旨い酒は時代が変わろうと旨い。

良い言葉だと思いませんか。

スキャパ

2005-09-30 08:43:54 | ウイスキー
シングルモルトウイスキー
素敵な響きです。

以前書いた大学時代に通ったBarのマスターが一時期、シングルモルトにはまりまくった事があります。
正規及び並行輸入のディスティラリー物、ボトラーズブランド、ソサエティ物、プライベート物まで全てを網羅する勢いでそろえまくりでした。
今や同業の身として思えば

「無茶な…でも、羨ましい」

と言うのが本音です。

当時、はマスターの好意で色々飲ませて貰いましたから☆有り難や~

その中で真っ先に気にいったのが

「スキャパ」

でした。

島物と言われるウイスキーで、正確にはIslands Maltと言うカテゴリーです。

スコッチ(Scotch)ウイスキーはスコットランドで作られる(当たり前か)んですが、土地毎に味が違います。
その中でそれぞれの良い所をブレンドする事で旨いウイスキーを作ろう!!ってのがブレンデッドスコッチウイスキー。

代表格はバランタインです。

それに対して、まぜる前の各蒸留所毎に瓶詰めした物のうち、
大麦麦芽のみを使って単式蒸留器(ポットスチル)で作られた物をシングルモルトウイスキーと呼びます。


この辺りは馴染みのない方には退屈な蘊蓄かな?

スキャパはスコットランド北端、オークニー諸島のメインランド島で作られています。

引き締まっていてスパイシー
そして、『潮の香り』がします。

福岡から東京にやってきて、海に行く事もなかったので『潮の香り』がすごく懐かしくて、一発で

「旨いっ」

って言ってました。

飲んでみると確かに『潮の香り』がしますし、色んな本を見てもそう書いていますが、何故『潮の香り』がするのかは謎です。

水は真水を使いますし、蒸留所の人々や一部のウイスキー評論家が言う様に

「寝かせている間に潮風が、オークの樽の中のウイスキーに『潮の香り』を与える」

というのも、化学者によって否定されています。


島で作られた酒だから『潮の香り』がする。

根拠はなくても、理由は謎でも、そう思って飲むのは自由ですからね。

ストレートか1:1の水割り、氷無しで、『潮の香り』を感じてみてはいかが

あ~海行きたい・・・

エズラ・ブルックス

2005-09-20 01:40:05 | ウイスキー
今回はBourbonです。
Bourbonは言わずとしれたアメリカンウイスキーです。
ウイスキーの製法はアイルランドやスコットランドからの移民によってもたらされました。
世界全体の酒の歴史としては比較的浅いにもかかわらず、禁酒法などいくつもの苦難を乗り越え数多くの逸話、伝説を持つことになった酒です。
近年アメリカでは茶色いウイスキーより透明なハードリカーが好まれているようですが、一つの銘柄を熱狂的に愛し続けるファンも多く、低価格な親しみ安さだけでなくこだわりの面白さもある酒です。

で、エズラ・ブルックスというBourbonは俺の青春のBourbon(書いてて恥ずかしい…)です。
大学時代に通ったBarで安く(当時、そこではショット500でした)飲めて、酔えて、かつ、かっこよさ気に見えるということで、こいつの出番が最多でした。ロックでちびちびやりながら「話し掛けられそうな女性客が来ないかな~」などと考えながら時間を無駄に消費してました。

な、訳で思い出深いBourbonなのですが、残念な事に、今年の春に日本側の正規輸入代理店が倒産したため、今から手に入るのは並行輸入物になってしまいます。(内容的には全く変わらず、価格も下がる可能性が高いので残念がる事は無いんですが気分の問題ですから…)

写真は慌てて探した正規物のエズラ・ブルックスとエズラ12年(熟成してまろやかなタイプ。比べると差は歴然)
好みはあるでしょうが、エズラ・ブルックスの安酒っぽい刺激が当時の自分のようで好きなんですよ。。。