goo blog サービス終了のお知らせ 

One Day, One Cocktail

Wine & Cocktail Bar Ararat Official Blog
カクテルで綴る歳時記

トークと言葉遣い

2014-10-23 02:12:37 | カクテル教室
トークと言葉遣い



 前々回、公約数って話しましたね。
 いろいろな数で割り切れるって話です。

 360を割れる数ってのはたくさんありまして
ところが、それも359なり361なり
たった「1」違うだけで、とたんに割り切れる数がなくなってしまう

そんなお話でした。

 今日はその続きです。

 とはいっても、約数がどうのとか素数がどうのとか
ましてや『リーマン予想』とか『ゼータ関数』とかのお話ではありませんので
ご安心ください。

 
 ともあれ「360」。

 先ずは、ざっと360を割れる数、即ち約数をちょっと書き出してみましょう。
1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9, 10, 12, 15, 18, 20, 24, 30, 36, 40, 45, 60, 72, 90, 120, 180, 360
ってことで、360の約数は24個です。
 
 たくさんありますね。

 ですがこれは実際に計算したわけではありません。
 コピペです。笑

 こちらの『計算サイト』ってのを利用しました。 
 いやあ、つくづくネットって便利ですね。

 
 話戻って
あえてこの「360」って数を用いたのは
今日のテーマ、『トークと言葉遣い』の
その「方向性」を表すのに、最もふさわしいかな、と思ったからです。


 『トークと言葉遣い』の方向性。


 ???


 あまり難しく考えなくて結構です。
 要は「全方位的に」ってことです。

 360度ってことです。

「対面でお客様に向かい合って話すのに、なんで?」と? 


 確かに、我々バーテンダーというものは、カウンターを挟んで
常にお客様と向かい合っています。


「だったらカウンターってのは大抵一直線だから
それでもせいぜい180度じゃないのか」
って突っ込みは屁理屈というもんです。

 これはたとえです。


 大抵の場合、よほど暇な店でない限り(←注)
カウンターには複数のお客様がおられます。(ま、時間帯にもよりますが)

 そんな時、バーテンダーというものは

「全方位的に 」に聴かれて
スマートで心地良い内容、かつ作法で話せなければならない

そういうお話です。


~あくまで「話さなければ」ではなく
「話せなければ」です。
この「さ」と「せ」の違いはとても重要です。

それはイコール、義務と捉えるか、責務と捉えるかの違いです。~


 この「全方位的に」というのは、すなわち

「誰しもに」という意味です。



 我々は、常に見られています。
 常に聞かれています。

 ご来店中のお客様「誰しも」に。

 四六時中。

 360度。
 
 何の話をしていても、です。


 いろんなシチュエーションがありますから実際にはそうでなくても

 その意識があるか、否か。

 誰しもに聞かせている内容かどうか。

 そこに品性があるかどうか。



 あくまで私論とお断りいたしますが

これはバーテンダーのエチケットとして
最も重要なもののような気がします。

 どころか
むしろ、それがスマートにこなせるか否かこそ

バーテンダーとしてのスキル、いや、適性すらを
決定づけるものといっても過言ではありません。

 すなわち
それができなきゃバーテンダーには向いてない。

 残念ながら。


 いくら上手にカクテルができようと
 いくらレシピを、いくらマニアックなお酒をたくさん知っていようと
 いくらうんちくを語ろうと

バーテンダーとして「全方位的な」スマートなトークができなければ
二流です。

 それは
 いくら何々のコンペティションで賞もらっていようと
 いくら協会のえらいさんの役職にあろうと

全く関係ありません。

 あ、これはバーテンダーに限りませんね。

 カウンターを挟む商売、
寿司屋でも割烹でも、鉄板焼きでも皆同じ。

 ただしスナックを除く。笑




 先ほどの約数のサイトをもう一度使い、ちょっと面白い例を示しましょう。

 例えば「360」の十倍、「3600」の約数は、一体いくらほどあるでしょうか。

 先ほどのサイトを使って、ざっと「3600」の約数を書き出してみます。
1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9, 10, 12, 15, 16, 18, 20, 24, 25, 30, 36, 40, 45, 48, 50, 60, 72, 75, 80, 90, 100, 120, 144, 150, 180, 200, 225, 240, 300, 360, 400, 450, 600, 720, 900, 1200, 1800, 3600

 約数の数は、45個と出ました。

「360」は24個でしたね。


「360」と「3600」。

 確かに数が大きくなりますから約数は増えて当然なんですが、しかし

 数は十倍になっても
割り切れる約数は、倍にもなっていません。

 数字的な例えは、いかにも味気ないものに思う方も多いかもしれませんがしかし
これは、人間にも当てはめることができるのではないでしょうか。

 大きさじゃないんです。

 約数の数というのは
それは人間に例えるなら、適応できる人の数、あるいはタイプとも言い換えられます。

 それは多ければ多いほど、適応性がある。柔軟性がある。

 あながち無理矢理な例えではない気がします。


 ~今回のお話は、大手企業さんで多く見られる
「朝の所感」とかのネタに良いかもしれんません。
ご自由にお使いください。笑~


 逆に言えば
いくら数がデカくなっても、いびつな
割り切れない奴は割り切れない、ということでもあります。


 続きは次回ということで

といいますか、この話はかなり本質の部分に迫りますので
何回かに分けて、長くなるかもしれません。

お付き合いいただける方は
↓クリックで応援よろしく

カクテル ブログランキングへ

サントリーバーテンダーズクラブブログ
曽我和弘のBAR探訪記 「噂のバーと、気になる一杯」 ~Bar Ararat(バー・アララット)~

Facebookもよろしく

もちろん、こちらもよろしく
『One Day,One Cocktail Vol.1 ~ホットカクテルのアイディア~』
楽天koboストア

バーの公共性

2014-10-20 01:13:03 | カクテル教室
 カクテルレシピをいろいろ書いていた頃より
マナーや品格について書いている方が
人気ランキングが好調に推移しているんで
ちょっぴり微妙な気分です。笑

 ま、それだけ、我々の仕事の、バーという場所の
ありよう、あり方に興味を持たれている方が多いということなんでしょう。

 それは、言い換えれば
それだけ「バーが一様に、本来持つべきはずのもの」が今、失われつつあることの
ひとつの現れなのかもしれません。


「今、日本のバーは極めて多様だ」
と、私はここで何度も述べてきました。

 その多様性こそは、まぎれもなく
日本のバー文化の豊かさを現象しているものと思います。

 ただ、その多様化の過程において
ささやかながらも、多くの酒場というものが担ってきた

「幾つかの重要なもの」が
我々業界側、お客様側双方ともに

学ばれずに経、
結果失われつつあるような気が、私にはしてなりません。



 多様化、結構。
 ニッチでカルトなバー、多いに結構。

 当店も、どちらかといえば(遠慮気味に)ニッチで専門的です。 

 ただ、バーというものが、様々に多様化し、ニッチ化していく中で
実にその多くが

「何でもアリ」的に
「イケイケどんどん」的に、無節操に無秩序になし崩し的に

ルール無用、治外法権、天地無用(←?)になってしまっている感が
否めないのではないでしょうか。



 バー、即ち酒場に必要な
「幾つかの重要なもの」。

 さて。



 そんなもの、バーで学ぶ必要があるのか?

 そんなもの、そもそもバーにそんなものあったのか?

 そもそも、そんなに重要なのか?

 そもそも、その重要なものって何?



 私は拙著の中で
「日本のバー文化は、少年のまま老成したようなところがある」と
述べています。

 あまり難しい言い方は、ここでは止しましょうか。

 簡単にいうと
いろいろ「すっとばしている」ってことですね。


~それは、拙著ではレシピやネーミング、エピソードの誤った解釈や誤訳に現れていると述べています。
 その要因は、現代も日本のバーを覆う「過剰なロマンチシズム」であったり「欧米コンプレックス」だったりします。~




 例えるなら

つきあいたての男女が、いきなり初めてのデートでエッチ
どころか、いきなり○○なプレイに及んでしまう、的な

と言えばわかりやすいでしょうか。(どこがやねん)

 ちょっとウケ狙いにいってすみません。

 ま、早い話、そういうことです。(どういうことですか)


 要するに、その男女は

「何から学んだのですか?そのエッチの仕方は」
「相手のことを考えてんのか?」
「正直それ、本当に気持ち良くてやってんの?」

っていえばわかりやすいですかしら。



 続きがお楽しみな方は

↓クリックで応援よろしく

カクテル ブログランキングへ

サントリーバーテンダーズクラブブログ
曽我和弘のBAR探訪記 「噂のバーと、気になる一杯」 ~Bar Ararat(バー・アララット)~

Facebookもよろしく

もちろん、こちらもよろしく
『One Day,One Cocktail Vol.1 ~ホットカクテルのアイディア~』
楽天koboストア



<script type="text/javascript">
google_ad_client = "ca-pub-8975010380232344";
google_ad_slot = "9340085917";
google_ad_width = 728;
google_ad_height = 90;
</script>

<script type="text/javascript"
src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/show_ads.js">
</script>

お客様とのつきあい方

2014-10-18 22:59:58 | カクテル教室

 ここでお話しするのは、店外でのお客様とのつきあい方です。

 営業中のことに関しては、次回の「トークと言葉遣い」で述べましょう。

 あ、いずれにせよ
くれぐれも、男女が恋愛関係になるという意味での「おつきあい」を指すのではありませんので
何卒ご承知おきのほど。

 そもそも、原則、お客様との恋愛は厳禁です。

 原則は。

 いきなり本題からそれそうなので、とりあえずここでストップ。


笑 

 
 さて
 これは実に難しい問題ですね。

 結論から言いますと
ま、ほどほどに ってところですかね。

「その、ほどほどが難しいんじゃないか」と?

 おっしゃる通り。

 それは
ほどほどの数のことでもあり
ほどほどのつきあい方のことでもあります。
 まあ、だから難しいんですね。

 しかし、いちいちこれくらいのつきあいなら良くて
これくらいならいかん、と線引きするのも変な話です。

 ほどほどとしか言いようがありません。

 要するに、これはあくまで本人の器量、といいますか
甲斐性(かいしょう)の問題になってきます。

 面倒ならつきあう必要ありませんし
うまく立ち回れるなら、どんどんおつきあいして結構でしょう。

 そのつきあい方、その密度、その多い少ないこそは
まぎれもなく、その人を形成していくだろうと思います。

 人というものは
人の中で生き、人の中でもまれ、人によってこそ磨かれる。

 巻き込まれ
 投げかけられ
 問いかけられ 
 試され
 頼られ

 そんな、いろんな面倒くさいもの(←笑)を引き受けて
人は成長していきます。 

 あるいは

 馬には乗ってみよ
 人には添うてみよ

などとも申します。

 人間、つきあってみなければわかりません。

 こればかりは正解はありません。
 マニュアルもありません。

 あってもあまり役に立たないでしょう。

 そういうもんなんだから仕方ありません。

 ですから、だからこそまずは

 馬には乗ってみよ
 人には添うてみよ
なんです。

 逃げちゃ駄目です。



 ただ、お客様とお店の外でおつきあいをする上で
念を押して申しあげなければならないことが
ひとつあります。

 我々のように
営業中、常に人様の耳目にさらされている特殊な職業の場合
非常に気をつけなければならないことがあります。

 それは「何故、ほどほどにすべきなのか」という
問いに対する、明解な答えでもあります。


 それは
「分け隔てなく」。

 わけへだてなく、です。


 即ち、いちげんさん、ご常連、関係なく
分け隔てなくおつきあいしようと思えば

必然的に、ほどほどなおつきあいになる、ということです。

 つまり逆を言えば
ほどほどでない、ということは

お客様を、「分け隔てている」のです。


 老若男女、いちげんさん、常連さん、
どなた様も、皆一様にお客様です。


 あくまで私の流儀でありますが
私は極力、お客様を分け隔てたくありません。

 おっさんも昔は若かった(当たり前です)
 常連さんも、最初は皆、いちげんさんです(これも当たり前です)

 ごえらいさんも若造も皆、お客様です。

 私は
 誰一人として分け隔てなく、皆一様に、お客様としてお迎えしたい。

 ~あ、女性だけはちょっと優遇しますけどね。笑~ 

 私も人間ですから、器量も甲斐性も限界があり、むらっけもあります。
 もちろん、常連さんには感謝もあります。

 ですが、今のいちげんさんは、将来の常連さんでもあるのです。

 ですから私の場合
誰しもに、これといった個別に特別な、偏ったおつきあいをいたしません。

 私にとっては、それが「ほどほど」の」加減です。

 しかし、それが多くのご常連に
しばしば「冷たい」と言われる所以ではあります。笑

 まあ年いってきますと、そのほどほど加減は
自然とわかってきます。

 
 それはある意味『公約数的』とも言えます。

 数というのは、いろんな数で割り切れる方が

~即ち『約数』が多ければ多いほど~

文字通り、公的であります。


 例えば
「360」って数は、2でも3でも4でも6でも8でも・・・・・・
といった具合に

膨大な数で割り切ることができます。


 これが
「359」だったり「361」だったりするだけで
とたんに何の数でも割り切れなくなります。

(後で調べたら、「361」は「19」で割れました。笑)

 それはあたかも

バーという場所の「公共性」を表すもののように思います。




 また
 前々回くらいに申し上げたと思うんですが

 花には蝶やミツバチが集まり
 糞にはハエがたかる

これだけは間違いありません。
 それがが世の習い、摂理、理(ことわり)です。

 商売やってますと
それがズドンと、実にリアルに、モロに感じられます。

 それが商売の面白いところですね。

 酒場なんかは特に、それが如実です。

 当店ですか?
 
 いろんな蝶やミツバチが飛び回ってます。笑


~関係ないですけど実際、最近、ミツバチの数が減ってるらしいですね。
その現象は人類の存亡に関わってくる問題だとも聞きます。

? そういう意味では当店も関係なくはないのかな、笑~



↓クリックで応援よろしく

カクテル ブログランキングへ

サントリーバーテンダーズクラブブログ
曽我和弘のBAR探訪記 「噂のバーと、気になる一杯」 ~Bar Ararat(バー・アララット)~

Facebookもよろしく

もちろん、こちらもよろしく
『One Day,One Cocktail Vol.1 ~ホットカクテルのアイディア~』
楽天koboストア


私が酒を飲まない理由

2014-10-17 20:29:04 | カクテル教室

 お酒、大好きです。

 ああ、つくづくお酒が飲める体で良かった~
と、毎日思っています。

 こと、一仕事終えた後にやる『お疲れビール』なんての美味しさは
何ものにも代え難い。

 疲れたときほど、美味しい。

~逆に、疲れてないときはイマイチ。
暇な日には飲む気にもなりません~

 その美味さは、ロマネコンティとかモルトウィスキーの何十年ものとか
足下にも及びません。

 「え~、そんなはずないでしょ~」って?

 そう思う方を、私は俗物と断じます。
 権威主義とでも言い換えましょうか。

 残念ながら、そういうのを「酒の味がわからん奴」というんです。

 居丈高な物言いですが、そうなんです。
 それが酒というものなんです。 

~余談ですが、この『お疲れビール』ってのを商品化したら
ものすごく売れるのではないかと思っています。
 ビールメーカーさん、どうですか?
 あ、そうなる前に登録商標取っとこうかな。笑~


 そんな酒好きな私でも、仕事中には飲まない。

 バーそれぞれ、バーテンダーそれぞれ。
 いろんなやり方があるでしょう。

 飲む飲まないは、それぞれの自由です。

 私は飲まない。
 これはあくまで、私が定めた、ずっと守ってきた私のルールです。

 それを定めた理由、もちろんあります。

 これは、バーをご利用になる方、またお若いバーテンダーさん達にとっても
とても参考になると思いますので、ちょっと紹介させていただきます。

 要するに

1)手元がぶれる
2)体に悪い
3)美味しくない

ってことなんです。

 分かりやすい話です。


1)手元がぶれる。

 私のような、ガチの技術屋バーテンダーなら、これは当然のことです。

 私の仕事は、酔っぱらいながらできる仕事ではない。

 といいますか、純然と仕事中なんです。
 
 実際、お昼、カタギの方が(笑)仕事中に酒飲むなんて
普通あり得ない話でしょう。

 ですから、仮にお客様からお酒を勧められても

「いや~、酔っちゃうと手元が怪しくなるんで、すみません。
お気持ちだけ、ありがたく頂戴しておきます。」

で、済みます。

 若い頃は、自分より年上のお客様が多かったので

「まあそんなこと言わずに。酔っぱらいの相手も大変でしょ」

なんて勧められることも多々ありましたが

実際に私の仕事を眼前にご覧いただいた後、
先ほどのようなお断りで納得されなかった方は、今まで皆無です。


2)体に悪い

 我々の仕事は夜です。立ち仕事です。
 毎日のことです。

 カウンター振り向けば、酒なんて、売るほどあります。笑
 しかも一般の方より、安く、あらゆる酒が手に入ります。

 手を伸ばせば、そこに美味しい酒がいくらでもある。

 これだけで十分、精神衛生上、非常に悪い。笑

 ですから、なにがしかの自制のルールが必要です。

 勧められるがままに、飲みたいがままに飲み続ければ
体に悪いことこの上ありません。
 
 私は死ぬまでこの仕事を続けるつもりです。

 死ぬ時は、カウンターの中もしくは厨房、と決めて取り組んでいます。
 
 しかし、いやだからこそ、永く、元気で、立ち続けたい。
 
 家族もあります。

 その為に飲まない。
 簡単な話です。


3)美味しくない

 これは冒頭述べました、『お疲れビール』の話です。

 一仕事終えてから飲む。

 要は、それまでの我慢がビールを美味しくさせるんですね。


 風呂上がりも美味いですね。

 実際、考えるまでもない話、風呂入る前に飲む奴なんて、おらんでしょ。

~あ、『風呂上がり』なんて銘柄のビールもいけそうですね。爆
どうですか、ビールメーカーさん。
これも登録商標取れるかな?笑~
 
 ですが
これは、仮にお客様からお酒を勧められた場合の
お断りの理由にするのには、少々熟練が必要です。

 若い人はマネしない方がいい。笑

「どうです?マスターも一杯いかがですか」
なんて勧められて

うかつに「すみません。仕事終わってから美味しく飲みたいんで」
なんてやっちゃうと

「なんだてめえ、俺の勧める酒がまずいって話かよ」となりかねません。笑
 
 これは半分、私の実話です。(爆

 ですから
 そういう時は(そう言いだしかねないお客様には)

「もったいないです。その分お客様が召し上がってください。」
と言えばよろしいと思います。


 まだまだ、お客様の中には、我々にお酒を勧めるのが
ある種の礼儀と考えている方が多くいます。

 その多くは、純粋に、ねぎらいの気持ちと受け止めています。
 実に大変喜ばしい、実にありがたい話です。

 そうした方には、くれぐれも失礼のないようお応えしたいと思います。

 
 しかし、しばしば見られるのですが
なんといいましょうか、酒飲み特有の「場の共有感」とでもいいましょうか

自分だけ酔っているのは、なんか気恥ずかしい、あるいは
照れくさい、あるいは申し訳ない、あるいは
なんか悪いことしてる、的な

それをいわゆる『酒ごころ』というのでしょうか

そういったものの共有を、我々に求めてくる方が、稀におられます。


 大変恐縮ではありますが
当店ではそういったものはお取り扱いしておりません。

「そんな固っ苦しいこと抜きに。ま、ま、ここ酒場でしょ」

 ないものは売れません。

 お取り寄せすることもできません。

 何よりご安心下さい。

 第一当店には、気恥ずかしがるようなものも
照れくさがるようなものも
あるいは申し訳なくなるようなものも
なんか悪いことしてるような気になるものも

 取り扱っておりません。

 そんなには。(笑)



 バーの業態は様々です。
 様々だから楽しい。
 様々だから豊かです。



 当店は、世の、その様々なバーの中にあって
少々専門的なものを扱っております。

 あしからずご了承くださいませ。

↓クリックで応援よろしく

カクテル ブログランキングへ

サントリーバーテンダーズクラブブログ
曽我和弘のBAR探訪記 「噂のバーと、気になる一杯」 ~Bar Ararat(バー・アララット)~

Facebookもよろしく

もちろん、こちらもよろしく
『One Day,One Cocktail Vol.1 ~ホットカクテルのアイディア~』
楽天koboストア

酒飲むな

2014-10-16 22:49:26 | カクテル教室

 次は、バーテンダーたるもの「営業中に酒飲むべからず」です。

「え?駄目なんですか?」

 いいですよ。どうぞご自由に。

 そのバーがそれでいいというんなら、いいんです。
 他人の私がとやかく言う話ではありません。

 これはあくまで、そのお店の裁量の問題です。 

 ただ、私の場合
私は、私の店で、何であろうと仕事中は飲まない。

 そう決めているだけです。

 独立して20年あまり。
ずっと守ってきた、私なりの決めごとです。

 ですから、よそ様にそれを強要するのは少々おこがましい気もします。

 それぞれに店のスタイルがありますからね。

 ですが
この決めごとを貫いてきたおかげで
私とお店の間に、無論、何よりお客様との間には

バーという場所の「ありよう」といいますか
信頼のようなものが培われてきた気がします。

 いえ、ようなものとか、気がします、どころではありません。

 間違いなく、厳然と培われてきました。
 その自負があります。


 仕事中に酒を飲むや飲まざるや。

 これは私にとって
バーテンダーとしての「品格」の問題と捉えています。

 品格とは
~あくまで私論ですが~

 前回前々回にも申し上げた、タブーやモラル、エチケットあれこれなどよりも
上位に位置する概念です。

~『国家の品格』って本がありましたね。
 素晴らしい本です。是非一読をお勧めします。~


「ならば、仕事中に酒を飲むバーテンダーは品格に欠けるのか?」と?

 少々手厳しい言い方かもしれませんが
満点とは言い難いですね。
~そもそも品格など点数で表すものではありませんが~

 あくまで私論として、お断りして申し上げます。


 その品格の有る無しこそが
『バーテンダー』と『バーテン』の差です。


「どちらも同じですやん」って?

 私の定義では、異なります。

 多くの、プロとしての矜持を備えたバーテンダーは
『バーテン』と呼ばれることを忌み嫌います。

 大抵のお客様は、そんなに難しく考えず、何気に「バーテンさん」と呼んでますので
そんなに目くじらを立てる必要はないのですが
多くのバーテンダーは、その呼称に内心、少なからず遺憾を感じたりしています。

 私自身ですか?

 感じません。笑

 そんな違い、お客様は知りませんから。

「おい、そこのバーテン」とやられるとさすがにキレますが(笑
単に「バーテンさん」と呼ばれるだけなら、別段何も感じません。

 ただ、少しでも、その『ダー』の有る無しについて
お話しする時間が持てたなら、やんわりと説明いたします。



 「バーテンダーのダーは、いわば敬称なんですよ」と。

 自分を呼んでもらうのに敬称をつけろとは
なんともおこがましい話ですが(笑

そうして理解していただいた方はその次からは
きちんと「バーテンダーさん」と呼んでいただきます。

 そうしてその方の中ではこれ以降
『バーテンダー』と『バーテン』の使い分けができるようになります。


 そんなお話ができる時は

バーテンダーに何が求められ
バーテンに何が求められないかを

バーテンダーという人間は

どこにいて
どこにいないのかを

知っていただく大変良い機会でもあります。




 さあ、ここでこれを知ったからには
むやみに「バーテン」って言っちゃ駄目ですよ。笑


↓クリックで応援よろしく

カクテル ブログランキングへ

サントリーバーテンダーズクラブブログ
曽我和弘のBAR探訪記 「噂のバーと、気になる一杯」 ~Bar Ararat(バー・アララット)~

Facebookもよろしく

もちろん、こちらもよろしく
『One Day,One Cocktail Vol.1 ~ホットカクテルのアイディア~』
楽天koboストア


守秘義務

2014-10-14 23:49:48 | カクテル教室

 守秘義務からいきますね。

「バーテンダーに、そんなややこしい、小難しい、うざったいものなんか必要なんかよ」
って声が聞こえてきそうです。

 そう思った方は、ここから読み進める必要はありません。

 さようなら。

 残念ながら、そういった方とは私は一生、たとえどんなにささやかでも
いずれをも価値を共有することはありません。

 このブログで公開してきた様々なカクテルレシピの
たったひとつでも
ちょっとしたテクニックのヒントひとつですら

そう思われる方に利用されるかと思うと虫酸が走ります。

 それほどに、私はバーテンダーとして、この守秘義務を重んじます。

 守秘義務って何?どういう意味?
という方は、まずはググってください

 ご覧になっておわかりかと思いますが
 実際のところ、バーテンダーは、それが「法的に」適用される職種ではありません。

 「法的には」。

 前回お話ししましたね。
タブー、モラル、ルール、常識、マナー、エチケットの

守秘義務とは「ルール」です。

 それは、一般的に、特殊な職業にのみ課される厳密なルールです。
 法ですから、違反すれば職種それぞれに罰則があります。

 しかし多くの職業人にとっては、罰則などはありませんから、
あくまでその守秘なんちゃらは
あったとしても、せいぜいマナーやエチケットレベルの問題です。


 といいますか、これはそもそも
人としての矜持の問題であるはずです。


~昨今は顧客情報などの流出問題や、その際に生じる損害等で
そのあたり、適用される職種の幅や範囲が広がりつつありますけれども。~

 それでは、バーテンダーはどうでしょう。

 バーテンダーという職業は、それを名乗るのに資格を必要としませんし
公的な試験もありません。
 現在、民間の様々な団体がバーテンダーの資格制度を設けていますが
試験の内容に守秘義務を問うものはありません。

 多くの職業同様、そもそも仕事上扱うものに
そんなに厳密に守らなければならないような秘匿性などはないからです。

 ひと目には。

 そう、ひと目には、です。

 しかし私はそうは思いません。

 バーテンダーが決して口外せず、保持しなければならない秘密。

 それはお客様のプライバシーです。



 バーという環境は特殊です。

 酒を飲む、ただそれだけなら、現代の日本においてはさして特殊なことではありません。
 今や酒などコンビニやスーパーなどどこでも買えますし
公園や駅のベンチなど、公共の場所でも、別に飲んだってかまいません。

(無論、何事にも程度ってものはありますよ)

 おおっぴらに酒が買え、飲める社会というのは
ある意味、とても平和で成熟した社会なのだといってもいいでしょう。

(公的に酒を禁じた時代が多くの国にありましたし
無論、現在もなお、宗教上禁じている民族や、地域、国々が多々あります。
しかし、そうしなければならない社会構造は、
やはり内外に様々な問題を抱えていると言わざるを得ません。
異論は認めがたいですね。
話が深く、別方向に行きそうなので、これはここまで)

~ちなみに、ジャックダニエルを造っている地域は今なお「禁酒郡」なんですね~



 前回も申しました様に、バーという場所は

「酒を飲む」公共の場所です。

 しかし公共でありながら、とてもパーソナルな場所です。

 様々な職業の、様々な方々が、様々な思いで

様々な事情で(笑

様々なお酒を召し上がられる。

 そしてそこではしばしば、「お酒がもたらす効果」ゆえの、様々なプライバシーが露見されます。

 その中でバーテンダーは、お客様の様々にプライベートな部分を
否が応でも扱うことになります。

 それは、あまり他の職業では知り得ないことです。


「それは具体的にどういう内容か?」って?

 言えませんよ、そんなこと。笑
 

 ただ、一つ言えることは

そうして様々なお客様のプライバシーを寡黙に見守ってきたバーテンダー達は
例外なく、卓越した識見を蓄えていきます。

 そしてダンディズムに満ち、とてもクールです。

 それはあたかも、泥の上に咲く蓮の花ような凛々しさです。


 「役は人を作る」などとといいます。

 最初はできなくても
まわりから「できっこねえ」「向いてねえよ」って言われても
その役割をただ寡黙に貫いていくだけで
やがてその役にふさわしい人格となり、能力を身につけていきます。


 バーテンダーだからこそに与えられた、その満ち満ちた泥のような環境の中で(笑
凛々しい花でありたいのなら
与えられたその役割を、きちんと全うすることです。


 花には蝶やミツバチが集まります。

 糞にはハエがたかります。

 それが自然の摂理、理(ことわり)です。

~何気に当店の店名解説になっております。笑~
 

 とはいえ、もはやダンディズムが死語化しつつある現代。

 下衆に下衆が群れ集い、下衆な生業がまかり通る世をいかにせん。


↓クリックで応援よろしく

カクテル ブログランキングへ

サントリーバーテンダーズクラブブログ
曽我和弘のBAR探訪記 「噂のバーと、気になる一杯」 ~Bar Ararat(バー・アララット)~

Facebookもよろしく

もちろん、こちらもよろしく
『One Day,One Cocktail Vol.1 ~ホットカクテルのアイディア~』
楽天koboストア

バーテンダーのマナーとエチケット

2014-10-12 01:31:29 | カクテル教室
さて、バーテンダーのマナーとエチケットについての解説ですね。

無論、一人間として、一社会人としてのマナーなどは大前提として

あくまでサービスマン並びにバーテンダーとして必須な

主立ったものを幾つか挙げてみました。

バーテンダーとして、私が特に重んじたいのは

ざっと

1)守秘義務
2)酒飲むな
3)お客様とのつきあい方
4)トークと言葉遣い
5)所作と身嗜み

番外編)女性関係

といった感じでしょうか。

先にFacebookの方でアップしたんですがその反応は
やはり番外編にリクエストが多かったですね。笑

半分ノリだとは思うんですが、まあ確かに誰しも興味のあるところだとは思います。

ただこれに関しては、マジレスいたしますと

「女性関係」と書いたのは、こちらも半ば「ツリ」的なもので(笑

ここで言及するのはあくまで
「バーにお越しになる女性に対するマナーとエチケット」であって

女性の扱い方や口説き方、あるいは
恋愛に発展した際に生じる様々な問題等(←爆)に関しての対処法とかではありません。

あしからずご了承下さい。

「な~んだ」って?



まあ、こういいながらもそれらしい部分には少々触れることにはなるでしょうから
それは後ほどということで。

ま、とりあえず順番にいきますね。

と、その前にやはり少しだけでも

そもそもの
マナーとエチケットとはなんぞや、ってところに触れなければいけませんね。

それらの違いといいますか、それぞれの定義ですとかは
ぐぐっていただきますと色々と出てきますので

詳しくお知りになりたい方は各々でお勉強していただきたく存じますが

~このブログで「接客業の8大用語」とかやってもつまらんでしょ。爆~


私なりの定義でざっくりいいますと

マナーは礼儀や心得、配慮などの内的な、すなわち精神的なもの
エチケットは作法や振る舞い、規範などの外的な、すなわち身体的なもの

という感じでよろしいかと存じます。

しかし
何も個別に考えなくても

精神も身体も不可分のものであります上

それらを必要とするシーンに於いては
その使途、目的をほぼ同じくするものでありますから

一般的に
厳密に分けて考えることは、さほどに必要ないと思います。

ただ
タブー(禁忌、倫理)やモラル(道徳)
ルール(規則、法)や常識(コモンセンス)などの概念同様

同じテーマでも、シーンによってどの部分に、どのように抵触するのかは
知っておくのが大人としての素養であり教養、のように思います。

たとえば

~ここから本題に入ります~(我ながら上手い導入です。←自分でいうなと)

ひとつ「お酒を飲む」ということで考えてみましょう。

タブー
モラル
ルール
常識
マナー
エチケット

皆それぞれに「適用」や「深度」が違います。

例を挙げるとキリがありませんが

(といいいますか、ブログで述べるのは正直もったいないのですが)

答えを知る、その前に、少し想像してみてください。

人が「酒を飲む」ことの

何がタブーで
何がモラルに背き
何がルールを破り
何が非常識で
何がマナーに反し
何がエチケットにそぐわないのかを。


その想像力が、あなたの

タブー
モラル
ルール
常識
マナー
エチケット

それぞれに対する感覚を鍛えます。

え?

いちいちそんなこと気にしながら酒なんて飲めるかよ!って?

ごもっとも。笑

ま、それが酒飲みです。

ええ、私も酒飲みです。

どころか私の仕事は、酒飲みを相手に
酒を飲め飲めと勧める仕事です。




私たちの世代は、親から
酒は「キチガイ水だ」と教わりました。

~放送コード?笑~

キチガイが、キチガイに、キチガイ水を売る

~炎上オッケー~

少々言葉が過ぎましたか?(少々か?)

しかし
それぐらいの自覚、本気、いえ

覚悟がないと

取り組んでも面白くありませんし

その取り組みがお客様に伝わりません。


今日はこの辺にしときましょか。


読んだら↓クリック。これマナー。笑

カクテル ブログランキングへ

(実際、読み比べたらわかるでしょ。何が上にあるべきか。
くだらんものが上にあるのは、世の中が歪んどるってこと)

サントリーバーテンダーズクラブブログ
曽我和弘のBAR探訪記 「噂のバーと、気になる一杯」 ~Bar Ararat(バー・アララット)~

Facebookもよろしく

もちろん、こちらもよろしく
『One Day,One Cocktail Vol.1 ~ホットカクテルのアイディア~』
楽天koboストア

『シェイカーとフライパン』その2

2013-07-21 03:58:35 | カクテル教室
なにげにこの『シェイカーとフライパン』というお題が気に入っています(笑


どこか、フランス映画のタイトルにでもありそうな感じの響きです(ホンマカイナ

こうした対比は
他にも

『セーラー服と機関銃』とか

『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』とか

『麦と兵隊』とか(←爆。さすがにこれはみんな知らんでしょ

『 ヒゲとボイン』とか(・・



話がアサッテな方向に向かいそうなので
これくらいにしておきます。


ともあれ
続きですね。


フライパンは基本、振り方に大きな違いはありませんが

シェイカーの振り方は実に多様である。

それは、振るところを見られていないか、見られているか、が大きな要因である。

というところからですね。


そう
シェイカーは、大抵の場合、見られながら、あるいは見せながら振られます。

いえ、正しくは
見られる、あるいは見せるものと思われ振られている

と言った方が、表現としては的確かもわかりません。

もちろん
見せずに、見られずに振るシチュエーションもないわけではありません。

お客様からは見えない、クローズドなバーカウンターやキッチンなどで作る場合などは
明らかにそうですね。

しかしまあ
カクテルというのは寿司などと同じで

~といいますかむしろ、比喩としては、寿司そのものといっていいでしょう。
このことについてはまた機会を見て改めていたします~


目の前で作るから美味しいのであって
見えないところで作られては、美味しさ半減です。

ですから
シェイキングとはそもそも、見られるべく技術ではあります。

しかし
最初から、見せる為、見られるありきで振られるものではありません。






私はかれこれ30年近く前の駆け出しの頃、とあるパーティ的なシチュエーションで
いちどきに100人前以上の、シェイクによるカクテルを作る必要に迫られたことがあります。

~いちどきに100人前、ですよ。
しかもカクテルの種類は十数種。半分以上がシェイク系です。
1杯を1分で作っても、軽く1時間半以上(!)かかるわけです~


この場合などは

~これは少々はばかられる言い方かもしれませんが~

「いちいち見せてる場合ではないシチュエーション」と言った方が良いでしょう。

しかしこの経験こそが、今振り返ればある意味
私の、シェイキングに対する考え方を形成する上で、非常に貴重なものだったとも思います。


~しかし若かったからできたのでしょうね。
今なら、確実に死ねます。~


その経験で得たものとは
カクテルを、迅速に、正確に、しかも大量に、そして美味しく

これを何より
「いかに疲れずに振れるか」という技術、なんですね。

この「いかに疲れずに振れるか」というところが、非常に重要です。

とはいえ
単純に、ただ楽をするわけではありません。

迅速に、正確に、しかも大量に、そして美味しくなければなりません。
これを怠っては、ただの「作業」です。

同じ課題を与えられても

「作業」としてこなすだけなのか
「仕事」として結果を出せるか、あるいは否か、が

よーするに、一流、二流、三流の分かれ目なんですね。



決まったレシピを、ただ適当に混ぜて供出するだけなら
アルバイトにでもやらせればいい話です。

ただ、そのイベントは
駆け出しながら、この世界で私の名が少々通り始めた頃で
直接にご指名をいただいたものでありました。

ですから
いい加減にはできません。

どころか業界そのものもしょった気負いでした。




20~30人前ならまだ平気の「へ」。

しかし
50を超えたあたりからアドレナリンが出てきます(笑


正直80、90となると
もうトランス状態です(そもそも好きでしたけどね、こういうの)



そのトランス状態の中でつかんだものが

いかに疲れずに振れるか、の極意です。


言い方を変えれば

いかに少ないエネルギーで、いかに最も大きな効果を生み出せるか
ということです。

私の経験から申しますと

熟練していくほど
かける「エネルギー」と、もたらされる「効果」は「反比例」します。

繰り返します。

熟練していくほど
かける「エネルギー」と、もたらされる「効果」は「反比例」します。

洗練されたテクニックは、とても軽やかです。
軽やかに見えるテクニックは疲れません。

これはスポーツでもエンターテインメントでも

ありとあらゆる「ワザを要する」業種業界について、共通します。

断言します。
例外はないと言ってもいいでしょう。

難しいことを、楽にこなしているからプロなのです。

楽にこなしているからこそ
ここ、という時に力がこもると、素人さんには到底たどり着けないワザが生まれるのです。


ワザを突き詰めていけば
動きは必然と、洗練され、スマートになっていくものです。

見られている、見せているは関係ありません。

そんなものは
私から言わせれば「後付け」です。

最初から意識することではありません。

シェイカーの振り方をあーだこーだ、つべこべ言っているあいだは
まだまだです。

つべこべ言う前に
疲れるまで、くたくたになるまでやってみることです。

もちろん、
カクテルを、迅速に、正確に、しかも大量に、そして美味しく、という
目標を定め、目的を突き詰めながら、でないといけませんが。


洗練された技術、スマートな動き、それはひとえに
疲れるまで試行錯誤され、くたくたになるまで反復され

そして結果として、疲れないように導かれた
最速にして最短の軌道です。


よーするに
それが「魚のカタチ」なんですね。

え?

唐突ですか?

話がつながらない、と?


そんなことはありませんよ。


ヒントは
「流線型」です。


続きがお楽しみの方は↓クリックよろしく。
カクテル ブログランキングへ


近く
『ワンランク上のカクテルテクニック講座』再開します。

もちろん、オンラインです。

お気軽にお問い合わせ下さい。


にほんブログ村 酒ブログ カクテルへにほんブログ村

カクテルナビゲート・スマホアプリ『モテるカクテル』Android版


サントリーバーテンダーズクラブブログ
曽我和弘のBAR探訪記 「噂のバーと、気になる一杯」 ~Bar Ararat(バー・アララット)~


Facebook当店公式ページもよろしく


カクテル知的探求
『混酒論』

エクソニム(exonym)

2012-07-28 15:54:31 | カクテル教室
さて、前回の続きです。

ここでエクソニムについて少々説明の必要がありますね。


エクソニムとは
日本語では「外名」と訳されるもので

読んでそのまま
「外からつけられた名称」のことです。

主に、国名や地名などで発生する概念ですが
文化的なものにも適用されます。


「外から」とは
要するに、第三者的に外国人が呼称する名称という意味です。

対して
現地の人間が「内から呼称する名称」は『エンドニム(endonym)』。

「外名」に対して「内名」となります。



わかりやすい例えをいいますと
「日本(にっぽん、あるいは にほん)」というのは当然、日本人が我が国を呼称、表記する国名ですから
エンドニム、内名です。

アルファベットで書けば「Nippon」あるいは「Nihon」です。


エクソニムとは外からの名称ですから

例えば英語ですと「Japan(ジャパン)」となるわけですね。

フランス語ですと「Japon(ジャポン)」。

スペイン語ですと、スペルは同じでも読みは「ハポン」となり
ロシア語などでは「ヤポン」となります。

ドイツ語ですと「Japan」とは書いても読みは「ヤーパン」となります。

何故「Japan」または「Japon」と称されるのかの
由来の話になると非常に長くなるのでここでは割愛します。

しかし
これがイタリア語ですと「Giappone(ジャポネ)」となって
音的には上記の国々の発音に準じているものの、スペルが変わってしまっています。

これは現代イタリア語が「J」を使わなくなったことによって生じた問題ですが
(他にも「K」や「W」など)
国内でも古い地名や特定の外国の固有名詞などには使用します。

「Giappone」は読みを尊重してくれているのでしょうか。





ちなみに
逆もまた然りで
例えば「イギリス」も「スペイン」も「ドイツ」も

それぞれ日本による呼称ですから

要するに
イギリス人にとって、スペイン人にとって、ドイツ人にとって
それぞれ「イギリス」、「スペイン」、「ドイツ」は

エクソニム、外名なわけです。


彼らにとっての内名は
それぞれ「UK(ユーケー)」であり「España(エスパーニャ)」であり「Deutschland(ドイチュラント)」です。


アルファベットで
「Igirisu」とか「Doitsu」とか書いても通じません(笑


当り前の話です。


イギリス人に「Are you from “Igirisu”?」
と言っても通じません(笑





エクソニム=外名の、何よりの問題は
それぞれの国によって、それぞれの呼称が存在するということです。


例えば
ドイツは、英語では「Germany(ジャーマニー)」ですが、フランス語では「Allemagne(アレマーニュ)」ですし
オランダは、英語では「Netherlands(ネザーランド)」ですが、フランス語では「Pays-Bas(ペイ・バ)」ですし
アメリカは、スペイン語では「Estados Unidos(エスタドス・ウニドス)ですし、
ギリシャは、イタリア語では「Grecia(グレチア)」ですし、内名では「エラーダ」ですし


よーするに

結論
ややこしいわけです。


これを明快にするには

おのれの国や地名は
その当地人によって呼び慣わされた固有の呼称に従うべき

ということです。

何も難しい話ではありません。

偏狭なナショナリズムによる話でもありません。

しいていえば
呼称と実態のアイデンティティ(自己同一性)と

あくまで学術的な見地による見解です。


この問題の解決の例は

例えば

エベレスト=チョモランマの件や
ボンベイ=ムンバイの件などに見ることができます。



他にも
国名や地名だけでなく

スシやスキヤキ、フジヤマなどは既にご存知のことでしょう。
ちょっと古いですがゲイシャもそうです。

(最近はフクシマやツナミなどもそうです。)





話戻って

シャンパンの話。

シャンパーニュとは

純然と「地名」であり、かつ
その地域伝統のオリジナルな製法に従い産出される「ワインの名称そのもの」のことでもあります。


シャンパンなどという地名は
この地球上に存在しません。

地名にも拠らないのに
何故名称だけが切り離され存在するのか。


私の知る限りの話ですが

日本では70年代後半くらいまで
「シャンパーニュ」は「シャンペン」と呼ばれていました。

これは「Champagne」のスペルのままの英語の発音に準じていますので
まだ外名といえど明解です。


いつの頃からかいつの間にか
「シャンペン」は「シャンパン」になりました。

(ブルゴーニュはブルゴーニュのままですのに)


これはおそらく
多くのへんてこな外来語、カタカナ英語と同様

なんらかのメディア、あるいは高名な何方かによって
(それが小説なのか歌詞なのかは明らかではありません)

「間違って」伝聞されてしまった。


ただそれだけのことです。


(その方はブルゴーニュをたしなむ方ではなかったのでしょう。(笑
無論バーガンディもご存知ではないはずです。)



「シャンパン」の呼称には
論拠も根拠もありません。



今日はこの辺にしておきましょうか。


p.s.

今まさにロンドンで夏季オリンピックが開催されています。

ナショナルであること、アイデンティティの重要性、

それらに厳密であることの意義、

今こそ考え直すべきではないでしょうか。




カクテル ブログランキングへ

にほんブログ村 酒ブログ カクテルへにほんブログ村


Chance Of Rain=降水確率

2012-06-19 13:32:48 | カクテル教室
Chance Of Rain=降水確率


この語に限っては、雨をポジティブにとらえたこの英語表現の方が、僕は好きだ。

日本は雨の国だ。

雨にまつわることば、雨を冠に戴いた字の、なんと豊かなことか。
それは、一冊の本になるほど。




遠雷。湧き立つ雨雲。雨翔(あまがけ)る鳥達。
激しい雨音に、行き交う人は軒を借りて、しばし雨宿り。
時雨、否、驟雨か。。
雨脚は早い。
雨上がり。雨樋をつたう、雫(しずく)。
庭先の紫陽花が、輪郭を際立たせ、映える。
この慈雨に、生気を取り戻したようだ。

この時期
Barでなら、冷たいグラスに、結ぶ露。



カクテルサーチで『rain』を検索したら
意外に色々、出て参りました。


愛雨=雨こそ愛でよ。


といいつつも
台風ではそんな悠長なことも言ってられない。



人気ブログランキング1位になりました。
さらなる応援は↓クリックよろしく
カクテル ブログランキングへ