本日、千駄ヶ谷は国立能楽堂にて能楽鑑賞。
斎藤英喜さんのお話に続いて、能「大社(おおやしろ)」(観世流)と
間狂言「神子神楽(みこかぐら)」(大蔵流)。
世間一般では10月を"神無月"と呼ぶけれども、それは神様たちが出雲に
大集合しているからで、ご当地出雲に限りこの月を"神有月"と呼ぶ。
ただそれだけのストーリーです(笑)。
でも、いろんな人たちといろんな神様、賑やかな雰囲気の中で、
my観世銕之丞扮する大国主が持ち前のどっしり感を如何なく発揮!
神様が主人公のお能は概して格調高すぎたり、ゆっくりしすぎたりで、
なんとなーく退屈しちゃうことが多くて、逆に登場人物が多いと今度は
漫然として大味な感じが残ることもあるけど、今日はそのバランスが
絶妙で、なんかすごく楽しめた。演者の力量はもちろんのこと、
演出を含む脚本がよくできているんだと思う。
前半の主人公は出雲大社フリークの謎めいたおじいさん。
ひとしきり薀蓄を語って、神殿の作り物(大規模バーゲン会場によくある、
カーテンで仕切った仮設試着室みたいなやつ)の中に神秘的に消えて行って前半終了。
おじいさん、てこともあり、ゆっくりとしたテンポなので客席では舟を漕ぐ人続出しました。
続く間狂言の神子神楽ではmy山本東次郎扮する神主の鐘に合わせて
神子が鈴をならしながらダ~ンス♪ 鈴からなびくヒレ?がまたおしゃれ。
リズム感と高い身体能力が必要だなーと感じさせられます。
EXILEもスゴいけど、ゆっくりとしたテンポなのに上半身がぶれることなく
腰のすわった所作というのもスゴい。
間もなく後半開幕。まずは天女が現れて、軽やかに天女の舞を披露すると
神殿が光り輝き、なんと!試着室(仮称)から大国主登場!!
(実は狂言の間に"試着室"で密かに着替えが行われるのです。
紅白歌合戦の早替わりも、プリンセス天功のイリュージョンも
実は古典的な演出技法なのだな。)
あのマニアなおじいさんは、大国主の化身だったのかー。(と思いたい。)
しかしなんと神々しい。天の岩戸神話を彷彿とさせるシーンでもあります。
そして全国から集まった神々を前に荘厳なダンス(「楽(がく)」と呼ばれる)
を披露します。重厚かつ華やかな声色と重々しい足拍子は銕之丞の真骨頂。
うっわー、かっこいいなあ。これでめでたく〆るんだな。と思いきや、
なにやら大鼓の替えを準備してるのが分かって、あれ?まだ続きあり?
(大鼓は湿ると音が変わってだめになるらしく、長い演目や、
早舞で打ちまくる前なんかには途中で新しいものと交換します)
そうしているうちに早笛が鳴って。沖の波をかき分けて疾風とともに
龍神が到着!…てか、遅刻じゃね?
そんなツッコミが吹っ飛ぶほどのスピードで、龍の冠を載せた赤いロングヘアーを
なびかせて走ってくるのがまたかっこよく。走るといってももちろん上半身は
まったく揺らぎません。全速力ですり足。すぅーごいっす。
しかも金色の箱持ってる。何かと思ったら…中にはプレゼントのちっちゃな龍が
入ってました。なんでも毎年献上しているのだそうです。ペット…?
そんなこんなでたくさんの神様を迎え、今年も国土が安全で、五穀豊穣で、
そのたもろもろ円満であることをお約束して、めでたい雰囲気の中で
舞台は幕を閉じるのでした。
あー、おもしろかった。
前半なんかは特に退屈気味なんだけど、それは後半のきらめくような一瞬を
楽しむために必要な時間。
先週引退したタイガースの金本が「2~3割の喜びのために残り7~8割は苦しむ」
という意味のことを言っていたけど、そんな感じ。それって人生そのものにも
同じことが言えるし、お能一番の中にも言えることだと思う。お能は人生だ…。
と、しみじみ思いながら外に出たら、空一面、見事ないわし雲でした。
まさに"神無月"の空。
斎藤英喜さんのお話に続いて、能「大社(おおやしろ)」(観世流)と
間狂言「神子神楽(みこかぐら)」(大蔵流)。
世間一般では10月を"神無月"と呼ぶけれども、それは神様たちが出雲に
大集合しているからで、ご当地出雲に限りこの月を"神有月"と呼ぶ。
ただそれだけのストーリーです(笑)。
でも、いろんな人たちといろんな神様、賑やかな雰囲気の中で、
my観世銕之丞扮する大国主が持ち前のどっしり感を如何なく発揮!
神様が主人公のお能は概して格調高すぎたり、ゆっくりしすぎたりで、
なんとなーく退屈しちゃうことが多くて、逆に登場人物が多いと今度は
漫然として大味な感じが残ることもあるけど、今日はそのバランスが
絶妙で、なんかすごく楽しめた。演者の力量はもちろんのこと、
演出を含む脚本がよくできているんだと思う。
前半の主人公は出雲大社フリークの謎めいたおじいさん。
ひとしきり薀蓄を語って、神殿の作り物(大規模バーゲン会場によくある、
カーテンで仕切った仮設試着室みたいなやつ)の中に神秘的に消えて行って前半終了。
おじいさん、てこともあり、ゆっくりとしたテンポなので客席では舟を漕ぐ人続出しました。
続く間狂言の神子神楽ではmy山本東次郎扮する神主の鐘に合わせて
神子が鈴をならしながらダ~ンス♪ 鈴からなびくヒレ?がまたおしゃれ。
リズム感と高い身体能力が必要だなーと感じさせられます。
EXILEもスゴいけど、ゆっくりとしたテンポなのに上半身がぶれることなく
腰のすわった所作というのもスゴい。
間もなく後半開幕。まずは天女が現れて、軽やかに天女の舞を披露すると
神殿が光り輝き、なんと!試着室(仮称)から大国主登場!!
(実は狂言の間に"試着室"で密かに着替えが行われるのです。
紅白歌合戦の早替わりも、プリンセス天功のイリュージョンも
実は古典的な演出技法なのだな。)
あのマニアなおじいさんは、大国主の化身だったのかー。(と思いたい。)
しかしなんと神々しい。天の岩戸神話を彷彿とさせるシーンでもあります。
そして全国から集まった神々を前に荘厳なダンス(「楽(がく)」と呼ばれる)
を披露します。重厚かつ華やかな声色と重々しい足拍子は銕之丞の真骨頂。
うっわー、かっこいいなあ。これでめでたく〆るんだな。と思いきや、
なにやら大鼓の替えを準備してるのが分かって、あれ?まだ続きあり?
(大鼓は湿ると音が変わってだめになるらしく、長い演目や、
早舞で打ちまくる前なんかには途中で新しいものと交換します)
そうしているうちに早笛が鳴って。沖の波をかき分けて疾風とともに
龍神が到着!…てか、遅刻じゃね?
そんなツッコミが吹っ飛ぶほどのスピードで、龍の冠を載せた赤いロングヘアーを
なびかせて走ってくるのがまたかっこよく。走るといってももちろん上半身は
まったく揺らぎません。全速力ですり足。すぅーごいっす。
しかも金色の箱持ってる。何かと思ったら…中にはプレゼントのちっちゃな龍が
入ってました。なんでも毎年献上しているのだそうです。ペット…?
そんなこんなでたくさんの神様を迎え、今年も国土が安全で、五穀豊穣で、
そのたもろもろ円満であることをお約束して、めでたい雰囲気の中で
舞台は幕を閉じるのでした。
あー、おもしろかった。
前半なんかは特に退屈気味なんだけど、それは後半のきらめくような一瞬を
楽しむために必要な時間。
先週引退したタイガースの金本が「2~3割の喜びのために残り7~8割は苦しむ」
という意味のことを言っていたけど、そんな感じ。それって人生そのものにも
同じことが言えるし、お能一番の中にも言えることだと思う。お能は人生だ…。
と、しみじみ思いながら外に出たら、空一面、見事ないわし雲でした。
まさに"神無月"の空。
神様達は神無月に出雲に集まって縁結び会議をするんだそうですね。今年は安万侶、阿礼のデュオデビュー1300年記念イベントで上野の森の辺りも出張神在月になってるようです。もしばくっちさんが「まだ…」だったらお願いしてみては?
見事な空は[鰯雲]というより[石庭]のようですね、美しい。
とまと係さんはいかがですか。また、今までにいただいたコメントから、かなりの論客とお見受けします。ここで出会ったのもなにかの「ご縁」、以前にもお願いしたことがありますが、ホームページやブログへのリンクをご紹介いただけたら、と思います。相互リンクでも。
[とまと係]を名乗るのは、ここだけでしたので。
秋深し 風に吹かれて 外野席
とまと係