『モノレールねこ』(加納 朋子著 文春文庫)
加納さんの著書はもう何冊か読んでいますが、
優しい小説という印象がいつも残ります。
表題作を含めた8編の短編集。
「モノレールねこ」は以前にいろんな作者の
作品を集めた短編集で読んだことがありまして
それがきっかけで読み始めました。
どれもお薦めですね。その中で2つ。
「ポトスの樹」
「ロクデナシのクソオヤジ」に育てられた息子が
そのオヤジから受けたとんでもない出来事が
綴られていますが、最後にどうしてオヤジが自分の
息子に優しくなかったのかが明らかになり
そこにほろっとさせられます。
「バルタン最期の日」
子供が捕まえてきたザリガニ(=「バルタン」と命名)から見た
どこにでもあるような家族を描いた作品。
この話も最後に涙を誘うような展開が待っていて、涙が溢れてきます。
加納さんの作品には悪い人が出てこないので、読んでいてとても
気分がいいといいますか、読後感が非常にいいです。