光源氏は終生、紫の上をナめてました。
何しろ、自分が子供の頃から引き取って育てたという自負が
ありますし、そもそも藤壺の女御の代替品なのですから。
どこか軽んじているし、逆に甘え過ぎている処もあります。
この人、恋愛を沢山しているくせに、
女の怖さを判ってないフシがあります。
紫の上はその生涯で、三度の愛の苦難に立ち向かいます。
一度目は光源氏が須磨流拓中に「明石の上」に手ぇ付けた時です。
つまり単身赴任中の夫が赴任先で浮気して子供まで作ったって話です。
しかも、源氏は政争に破れ不遇をかこっての須磨行きでしたので、
一人で泣く泣く耐えていたのに、酷い裏切りなんです。
しかも、生まれた子供は「あなたが育ててねー」っと連れてくる・・・。
二度目は、須磨から帰還し、いよいよ源氏の栄華が始まる頃、
六条院の御殿も完成し、源氏の浮気癖も落ち着いてきた時に
持ち上がった「朝顔の斎院」との結婚話です。
「朝顔の斎院」は源氏と同い年。
実際何かがあった訳ではないのだけれど、
彼らは青春の記憶を共有しているのです。
これは幼な妻の紫の上からすると心穏やかではありません。
そして三度目は、女三宮降嫁事件です。
幼な妻だった紫の上もそろそろ中年というお年頃に
差掛かろうというときに、選りによって、
若くて高貴な女性と源氏が正式に結婚してしまいます。
長年、公私共に「源氏の妻」として扱われてきましたが、
紫の上とは正式な婚姻関係ではなかったのです。
その彼女にとって一番痛いところを突かれてしまったのですね。
これは堪えました。
紫の上は病がちになり、起きられなくなってしまいます。
それでも、源氏は「あなたほど幸せな人生はありませんよ」なんて事を
ぬけぬけと言ったりします。
私はこのときの紫の上の「さはみずからの祈りなりける」という返答に
大変な衝撃を受けました。
極訳すれば、「悲しみだけが友達でした」
「雀の子を犬君が逃がしつる」と泣きながら走り出てきた
無邪気な女の子が、恋をして、愛を知って、
そして失望して、最後は愛した人にそう告げるのです。
着物の柄にしても、香合わせのセンスにしても、
現代的で華やかなものが好きだった人でした。
命が萌え出る春が大好きだったその人が、出家を望んだのです。
そこに彼女の悲しみの深さと絶望の大きさが読み取れます。
「出家するなんて絶対やだ!」と慌てる源氏は、
彼女に死なれて初めてその存在の大きさに気がつくのです。
何もかも遅いのです。
いやぁ紫式部、意地悪です。
何しろ、自分が子供の頃から引き取って育てたという自負が
ありますし、そもそも藤壺の女御の代替品なのですから。
どこか軽んじているし、逆に甘え過ぎている処もあります。
この人、恋愛を沢山しているくせに、
女の怖さを判ってないフシがあります。
紫の上はその生涯で、三度の愛の苦難に立ち向かいます。
一度目は光源氏が須磨流拓中に「明石の上」に手ぇ付けた時です。
つまり単身赴任中の夫が赴任先で浮気して子供まで作ったって話です。
しかも、源氏は政争に破れ不遇をかこっての須磨行きでしたので、
一人で泣く泣く耐えていたのに、酷い裏切りなんです。
しかも、生まれた子供は「あなたが育ててねー」っと連れてくる・・・。
二度目は、須磨から帰還し、いよいよ源氏の栄華が始まる頃、
六条院の御殿も完成し、源氏の浮気癖も落ち着いてきた時に
持ち上がった「朝顔の斎院」との結婚話です。
「朝顔の斎院」は源氏と同い年。
実際何かがあった訳ではないのだけれど、
彼らは青春の記憶を共有しているのです。
これは幼な妻の紫の上からすると心穏やかではありません。
そして三度目は、女三宮降嫁事件です。
幼な妻だった紫の上もそろそろ中年というお年頃に
差掛かろうというときに、選りによって、
若くて高貴な女性と源氏が正式に結婚してしまいます。
長年、公私共に「源氏の妻」として扱われてきましたが、
紫の上とは正式な婚姻関係ではなかったのです。
その彼女にとって一番痛いところを突かれてしまったのですね。
これは堪えました。
紫の上は病がちになり、起きられなくなってしまいます。
それでも、源氏は「あなたほど幸せな人生はありませんよ」なんて事を
ぬけぬけと言ったりします。
私はこのときの紫の上の「さはみずからの祈りなりける」という返答に
大変な衝撃を受けました。
極訳すれば、「悲しみだけが友達でした」
「雀の子を犬君が逃がしつる」と泣きながら走り出てきた
無邪気な女の子が、恋をして、愛を知って、
そして失望して、最後は愛した人にそう告げるのです。
着物の柄にしても、香合わせのセンスにしても、
現代的で華やかなものが好きだった人でした。
命が萌え出る春が大好きだったその人が、出家を望んだのです。
そこに彼女の悲しみの深さと絶望の大きさが読み取れます。
「出家するなんて絶対やだ!」と慌てる源氏は、
彼女に死なれて初めてその存在の大きさに気がつくのです。
何もかも遅いのです。
いやぁ紫式部、意地悪です。