真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

牧師の手記に記された軍人

2016-11-05 00:07:20 | Weblog
フィリピンと韓国。
アジアの二人の元首が、毎日のように新聞に出ている。

ドゥテルテ大統領と、韓国の朴槿恵大統領。

ふと、終戦後に行われたマニラ軍事法廷を、思い出した。

ドゥテルテ大統領は、ミンダナオ島のダバオ市長であったが、生まれたのはレイテ島のマアシン。
ミンダナオ島もレイテ島も、その周辺海域を含め、第二次世界大戦終盤、日米の大激戦地となった。

当時、そのフィリピン方面を統括していた山下奉文将軍は、戦後になってマニラ軍事法廷で裁かれ、絞首刑になった。

山下将軍処刑の現場に立ち会った牧師の片山弘二氏は、同じくマニラにて処刑された中で印象に残った人物の名を、手記に記している。

韓国出身の、洪思翊(こう・しよく)陸軍中将。

洪中将は、処刑執行を前にやや動揺していた片山氏に対し、

「片山君、何も心配するな。私は悪いことはしなかった。死んだら真直ぐ神様のところへ行くよ。僕には自信がある。だから何も心配するな」

洪中将は裁判中、自身に対する弁解は一切せず、部下に対する裁判の時のみ、証言をしている。

新聞を読みながら、こんなエピソードが、頭の隅をよぎった。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 津川雅彦さんの会でお話しし... | トップ | 『「江戸大名」失敗の研究』... »
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事