真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

吉田茂と菅直人

2010-07-05 02:21:43 | Weblog
吉田茂は今でこそ評価が高いが、政権担当当時の新聞や雑誌を見ると、罵倒のオンパレード。
当時のジャーナリスト、阿部真之介は、
「驚くべき強情だ。常識を絶した強情だ。ある種の変質者にして見ることのできる強情だ」
と、吉田を評していた。

吉田は外交官出身で、良くも悪くも官僚政治家の典型のような男だった。
反吉田の鳩山一郎一派に、反官僚の「党人派」が多かったのは、偶然ではない。

吉田は党人派も、党人派が得意とする演説も、党人派が大切にした国会での答弁も大嫌いだったが、国会を軽視はしなかった。
阿部真之介から「変質者」とまで言われたのは、吉田の国会答弁の内容についてである。
口八丁ではなかった吉田は、答弁を格好の攻撃材料にされていたが、それでも選挙に勝っていたから長期間政権を維持し得たのである。

さて。
菅内閣はついに、予算委員会も開かず党首討論も拒否し、
「テレビで討論の機会はいくらでもある」と言った舌の根も乾かぬうちに、
「8対1では袋叩きにあうからいやだ」と、テレビ討論も拒否していた。

昨日ようやく討論が実現した。
野党から現状の批判を受けると、
「いままであんたたちは何をしてきたんだ!」
と逆切れ。
こういう政策をやっていないと指摘されると、
「まだ政権をとって日が浅いから仕方ないだろ!」
と開き直り。

口八丁の菅氏だが、質問にはまともに答えず、逆質問ばかりで、まったく民主党の構想が見えてこなかった。

結局民主党は、増税以外に手がないと、あれでは受け止められる。

鳩山・小沢の政治資金問題や、あれほど騒ぎになった普天間問題から気をそらさせるという意味では、消費税論議は成功だ。
しかし、
「選挙後に、年金や関係する税制について、超党派で一緒に議論しましょ」
にはあきれ返った。

選挙の前にやりなさいよ。
各種委員会や、党首討論で、堂々と国民に考えを述べて、討論して、それを国民に見せてから選挙をなさいよ。
それが国会の役割でしょう。

菅直人は「口は達者だけれど、度胸も見識もない人だ」と思われても仕方ない。

そういえば、口下手だけれど見識のあった吉田は、第18回国会(昭和28年)の所信表明で次のように述べた。

「政府の一貫する目途は国民経済の自立」

今回の参院選で、どの政党が国民の力を信じ、国民の力を発揮させようとしているのか。
規制緩和をし、増税につながる「大きな政府」を否定して、国民の力を活かそうとする政党はどこか。バラマキを否定して国民経済の自立を促そうとしているのはどの候補か。

見つけるのは意外と簡単かもしれない。
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