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令和4年度税制改正大綱は要注意

2022-01-03 12:42:47 | 日記

昨年(令和3年)の12月に発表された令和4年度税制改正大綱には、個人に大きな影響がある所得税関係の改悪が2点含まれている。一つは住宅ローン控除の改悪、もう一つは上場株式等の配当所得等の係る課税方式の改悪である。住宅ローン控除の改悪は、控除率を1%から0.7%に変更するというものであるが、住宅ローンは借りてないのでここでは触れない。

上場株式等の配当所得等の係る課税方式の改悪(課税方式の選択が不可になる)は、「高齢者イジメ」といって良い。それをこれから説明しよう。配当所得に関する課税方式は、(1)申告不要、(2)総合課税、(3)申告分離課税から選択できる。(1)申告不要は、源泉徴収して課税完了とするもので、国税が15%、地方税が5%の計20%が税金として徴収される。(2)総合課税は他の所得と合算して課税するもので、所得税の税率は累進税率になっていて、年金生活者の多くは、税率5%(所得が195万円まで)に該当するであろう。つまり、確定申告して(1)でなく(2)の方式を選択すると、税率15%が5%で済む。

しかしながら、これには落とし穴があって、確定申告時に選択した所得税の申告方式は、住民税の課税方式にそのまま適用されるため、所得税において総合課税を選択した場合、住民税も総合課税になる。この場合、税率は10%である。つまり、申告不要の源泉徴収では、5%であったものが10%になってしまうので損である。

高齢者には、もっと恐ろしい第二のワナがあって、配当所得は、総合課税にすると所得に含まれてしまう(申告不要にすれは含まれない)。そうすると、国民健康保険料と介護保険料は所得をもとに計算されているので、両方とも増えた所得の分アップすることになる(額は自治体によって異なるが、国民健康保険料では配当の10%位アップ。それだけではなく低所得者向けの保険料減額処置が受けられなくなることも)。

そこで、所得税は「総合課税」、住民税は「申告不要」を選択するとどうなるだろうか。所得税は税率5%、住民税は、源泉徴収で終了しているので5%、さらに、国民健康保険料と介護保険料に影響する所得に含まれない(つまりアップなし)。この方式が一番お得である。なお、住民税の「申告不要」を選択するには、所得税の確定申告後に自治体への申告(市民税)が必要である(令和2年度までは面倒と思いながら実際に申告してました。令和3年度は確定申告時に指定できるとの情報も(未確認なので自己責任でお願いします))。

【2022.2.3追記】e-taxで確定申告を実施しました。「住民税・事業税に関する事項」のところで、住民税の「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」を選択することができました。あとは、この選択が有効かどうかについて、各自の自治体のホームページ(住民税の項目)にて確認してください。

この課税方式の選択は、以前から可能であったらしいが、平成29年度から規定として、自治体に周知されはじめ、ホームページに掲載されたりして利用者が増えたらしい。そこで、税収が減ると問題視されはじめ、今回の税制改正で、課税方式の選択が不可になったという顛末である。周知しておいて禁止というのは、国民(特に高齢者)を愚弄しているのではないだろうか。

具体例を示しておきます。10万円の配当がある高齢者(所得195万円)の場合。

申告不要だと、配当への税金は源泉徴収2万円(所得税+住民税)で終了。国民健康保険料と介護保険料に影響なし。

総合課税だと、配当への所得税は0円(配当控除のため)。配当への住民税は7200円(配当控除あり)。国民健康保険料と介護保険料は配当分アップ。

所得税は総合課税、住民税は申告不要を選択すると、配当への所得税は0円、住民税は源泉徴収の5000円。国民健康保険料と介護保険料に影響なし。

どれが一番お得か分かりますね(細かいところは誤りがあるかもしれません。その時はご容赦ください)。

 

 



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