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プリント基板の制作 SI4732&Pi Pico編

2024-04-24 16:06:13 | 電子工作
【末尾に追記あり】
プリント基板制作の第2弾である。以前、Arduino Pro MiniとSI4732の組み合わせで製作した物をRaspberry Pi Picoとの組み合わせで再製作する。
以前の物は、ブレッドボード上に製作し、評価した後、放置してあった。受信感度(AM)がそれ程でもなく、音が出力不足(スピーカー使用時)で歪む(特にFM)ため常用する気にならなかったからである。
SI4732とPi Picoの組み合わせでの動作確認 (スケッチ、接続情報はこちらを参照)は済んでいるので、感度と音の問題をどう解決するかが課題である。
感度向上については、トランジスタ(S9018)による高周波増幅を1段追加することにした。ブレッドボード上で評価したところ、中波での効果が認められた。
音の出力と歪みについては、オペアンプによる増幅回路を追加することにした。音が歪む原因については、SI4732のデジタル信号処理から高周波成分が漏れるためであるとの記述(真偽は不明)があったので、ローパスフィルタ付属の回路構成を採用することした。
オペアンプはNJM4580(低雑音仕様、旧新日本無線)を選択した。回路はローパスフィルタ付非反転増幅回路と呼ばれるタイプである。増幅率は計算上、5.7(回路図より、”1+R1/R13=1+39/8.2”)である。電源は5Vの端子から、仮想電源経由で±2.5Vを得ている。
ローパスフィルタはブレッドボード上でのCR(コンデンサと抵抗)定数評価においては、まあまあの結果(体感で歪みが低減)が得られた。
決定した回路図を以下に示す。なお増幅回路の入力部にCRによるローパスフィルタを追加している。CR定数はオペアンプ部も含めて、カットオフ周波数が18KHzから20KHz(大雑把です)程度になるように選択している。
汎用目的のため、Pi Picoのモジュールの両サイドにピンヘッダーを設置し、Pi Picoの各入出力ピンに接続できるようにしている。

プリント基板の設計では、いくつか注意点がある。
まず、回路図の配線において、ピンヘッダーのフットプリントは2列のものを用いたが、Pi Picoのモジュールに直結するとピンの順番が正しく対応しなくなり、番号付けが狂った”NET”の情報ができてしまう。そのためピンの番号順をフットプリントエディタで修正したフットプリントを作成した。
また、ピンに外からの配線(SI4732からの配線)を接続する場合は、直結すると”NET”の情報が生成されず、”NETなし”になってしまう。そのままプリント基板の配線を行うと、最後のDRC(デザインルールチェック)において、「配線がパッドに近すぎます」というエラーになる。面倒でも、ピンヘッダーを少し離して、1本ずつ配線を描き、配線の接続点を明確にしておく必要がある。
同じく”NET”に関する問題で、電源はPi Picoの3V3とVSYSに接続するが、外部からの”電源”として”3V3”と”5V”を定義しておかないと”NET”の情報が正しく生成されない。
上のように対応しても、2列のピンヘッダーの外側のピンには”NET”の情報が生成されないので、PCBエディタにおいてピンのプロパティに”NET”の名称を追記する必要がある。
まともなNETリストができるまでは、回路図エディタとPCBエディタの間を何度も行き来する必要がある。
PCBエディタにNETリストをロードして部品の配置を決めた時点で、基板のサイズを確認すると74mmx108mm程度であった。念のため、PCBWAYのサイトで見積もりを行うと29$であった。一辺が100mmを超えると急に高くなるようである(29$は妥当だと思うが…)。
部品の配置を見直し、長さを10mm短縮した。74mmx98mmで見積もると無事、5$である。
部品が増え、基板が大きくなるとPCB上の配線作業は、かなり難しい「パズル」と化す。何度もやり直しになり、DRCがOKになるまで、10日を要した。
PCBの発注は、今回もPCBWAYであったが、8日後に到着した(途中、中国の祝日が1日あり)。
PCBは回路図通りの出来上がりであったが、実は評価後のブレッドボードから回路図を起こした時に、抵抗が2本抜け落ちている(回路図の丸で囲んだ個所)のに気づかず、「空中配線」でリカバリしている(基板がゴミにならずに済んだ、汗)。なお、今は円安であるし、送料も高いので修正版の再発注は諦めた。
基板に部品を実装して評価した。まず、音量はスピーカーを鳴らすのに十分であった。FMの音質は歪みが、かなり軽減しており、低音のノイズは残っているが、音量を上げれば気にならない程度で、聴き続けても問題ないと感じた。改善策は成功したようである。
ただ、Pi Picoはピン数が多く、基板が大きいため扱いづらい。特に今回はピンヘッダーを設置したので、ハンダ付けの個所が100ヶ所を越え、製作途中、いささか閉口した。
【追記】
百均のホビーコーナーで、この基板が収まるサイズのアクリルケースを見つけた。ケースに収めるため、配線の取り回しを変更したところ低周波で発信するようになった。対策として、オペアンプの増幅率を下げることした。上の回路図の丸印の抵抗2本を8.2KΩから15KΩに変更(増幅率は"1+39/15=3.6")した。無事ケースに収容し、問題なく使用出来ている。




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