女王蟻の宮殿

五感全開にして生きたい。動きのない日常なんやけどね。

幾つになっても姫

2007-07-19 00:58:49 | 音楽・映画・美術館

 ライブに行って来た。ずっと迷っていて、迷いついでに忘れていたライブ。当日の朝思い出し、勇気を持って苦手な電話をかけて問い合せてみたところ、当日券が出るという。しかも、たんまり。これは、行きなさい、ということやんね。と、行ってきたのが「カルチャー・ミュージカル・クラブ・オブ・ザンジバル」。
 どうしても気になったのはやはり歌姫。なんと95歳(推定)。推定、てのがまた。出て来て1発目に歌った歌は、怪しかった。音程が。ん~~、まぁね、仕方ないよね。1曲歌って彼女は椅子に座った。座ったまま微動だにしない。それが、左図。ジャミラを思い出す。
 数曲そのまま過ごし、やおら立ち上がる。そして歌う。それは、先程のとは違って音はもちろん取れているし、何と言うか目覚めた!感じ。歌い終わって席に戻っても、やはり目覚めてる!身体はリズムに乗るし、リカ(タンバリンの皮なし)を手に歌っている女性に手ぶりで
「もっと鳴らせ。上に振り上げろ」と指示を出す。

 ところでこの東アフリカの小さな島からやってきた楽団は、チューニングを一切しなかった。詳しい楽器編成は上のリンクを参照してください。知ってる楽器から知らない楽器まで。
 そうそう、ヴァイオリンの構えにはびっくりした。鎖骨の真ん中に当てていたのだ。さらに、どこにもあたっていないときもあった。不安定やん。でも、そんなこと全くどうでもいいみたい。演奏とは関係ないけれど、リュートは真ん中の図のように、おっきな鼻の顔みたいな模様だった。
 第1部の曲のほとんどは、このリュートが1音だけこまかく爪弾くのと、アラブ琴のメロディーで始まった。 

 右図はサンドゥクという箱型の一弦ベース。これは第2部に出て来て、メンバーが登場する前は、ほんとに箱のみが置かれていた。小さなお立ち台か?という状態。で、気付くと楽器になっていた。色も図の通り。この一弦をビンビンビンビンお弾きになる。そして、踊るダンサー。今まで見たことない腰の使い方。
 腰を振る踊りといえば、フラ・ベリー・タヒチアンなど思い出すが、そのどれとも違う。客席に尻を突き出して振り回すというか振り上げるというか。客席からも、立ち上がってステージ脇に行き、踊る人々が現れる。お祝事の曲なのだろう、とても長い。長い曲を2曲踊り倒し、楽団はステージを降りた。
 当然、アンコール。
 アンコールで再びビ・キドゥデ登場。なんと、自分の胸くらいまである大きなタイコに手をかけるではないか。持って来たスカーフで、やっと彼女の手が回るくらいの太さがあるタイコを腰に括り付ける。馬乗りになったような状態。もしかして、タイコがあった方が立つのが楽かもしれない。3点で立っているから。
 そして、叩く!
 以前、ジャンベを叩かせてもらったとき、思ったよりずっと力がいることに驚いた。コツもあるのかもしれないが、ペチペチとしか鳴らない。ビ・キドゥデのタイコの音は、響きわたったよー。1ステージ目の最初はまだ寝てらしたのね。叩いて、歌って、後ろに控えるコーラスの男達に
「手拍子せんかい!」
ヴァイオリンに
「もっと弾かんかい!」
と指示も出す。かっちょいい。

 大きな拍手のなか、アンコールも終わり、去って行く楽団員たち。ビ・キドゥデはゆっくりと、お客さんと握手を交わしていた。ずっと、ずっと。他の楽団員はとうにいないのに。姫は、満ちていたのだと思う。

 ところで。
 わたしの両隣りのお客様は、なぜかふたりともおじいさまだったのだが、揃いも揃ってカレーシューが酷くて閉口というか閉鼻だった。本当に、悪いのだけど
「居ね!(立ち去れ!)」と言いたくなった。鼻、いいほうじゃないのだけどなぁ。

 帰り道、お初天神の横通ったら太鼓の音がしたので立ち寄った。どうやら祭りの練習らしい。私服の若い男衆(推定18~23歳)が縦置きにした大きな大きな大きな太鼓を囲むやぐらの上で、8人くらいだったかな、叩いていた。またまた、かっちょいい~。普段見たって、全然格好よくない男衆だったけれど、祭りの男になると、本当にかっこいい。バチがどうなってるんだか、くるん、と回すんだ。法被着てたらもっと良かったろうにな。