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第Ⅵ章 登り梁組

2021-10-12 12:12:56 | 同:軒桁まわりと小屋組

3.登り梁方式

小屋梁を水平に架けず、軒桁位置から中央部の棟桁棟梁)に向けて登り梁)を架ける方式。

棟桁を支える束柱棟束)のほかには束柱を必要としない。

柱・軒桁・登り梁の組み方には、京呂折置の二様がある。

両妻面棟束間に大断面の棟桁地棟丑梁(うしばり)などと呼ぶ)を渡し、室内に他の棟束を設けない方法もある。 

登り梁を一定間隔で架け、母屋を流し、垂木を架ける。

束柱が少ないので、屋根裏を利用する蔵や養蚕農家で多用された。

軒桁棟桁の間に大断面の垂木を繁く架け、登り梁・母屋を省略する垂木構造はこの変形。

1)組み方と各部の仕口

A 軒桁、棟桁に梁を乗せ掛ける(京呂)

  軒桁には渡りあごで掛け、棟桁上で左右から登ってきたを交叉させ相欠き込み栓などで固定する。

 柱と棟桁に梁を乗せ掛ける(折置)

  登り梁端部を柱に折置で据え(柱頭ほぞは長ほぞ)、棟桁上で左右から登ってきたを交叉させ相欠き込み栓などで固定する。梁ごとに柱を必要とする。土蔵に多い方式。

C 軒桁と棟桁の間に梁を落としこむ

  軒桁棟桁蟻掛けで取り付ける。強度的にはよりも劣り、仕口部分を羽子板ボルト等で補強するか、軒桁~軒桁間が開かない方策(柱間をで縫うか、柱間に差物を組み込むなど)を講じる必要がある。     

 

2)登り梁と母屋の仕口

 ①母屋登り梁の勾配なりに設置する(梁の欠き込みをせず、転び止めを設け、梁上に直に乗せる方法もある)。

 ②母屋天端を水平に設置する。

 いずれの場合も登り梁渡りあごで架けるのが確実。

 

参考事例 登り梁 重要文化財 旧西川家土蔵(3階建)1680年代建設、滋賀県近江八幡市

西川(利右衛門)家は、近江八幡を拠点に蚊帳を主とした商いを営んでいた。土蔵は敷地の北西隅に位置し、主屋と共に保存されている。

「柱は方形の通し柱で、2、3階の床組は、梁行柱間に胴差を架け、桁行柱間ごとに天井根太を配し、を差し通す。

 小屋組は両妻の中央間に妻梁を渡して棟通り地棟を架け、側柱天より地棟登り梁組として、軒桁は折置組で納める。

 登り梁組棟木母屋を渡し、地棟及び妻梁上小屋束で受ける。」同報告書より  G書体は編集によります。

                写真・図は 重要文化財 旧西川家住宅(主屋・土蔵)修理工事報告書(滋賀県)より   

    平面図  正面図(東)  側面図(南)

   矩計図

 

   

1階内部南面 箱階段 (写真内の文字は編集によります。)           2階内部南面

 

小屋見上げ図                               3階南妻面 妻梁地棟を受ける。  

 

 

参考事例 登り梁 重要文化財 旧小倉家住宅 19世紀前半、石川県石川郡白峰村                          

「白山山麓に多い切妻造妻入形式。ほぼ棟通りに柱を1間ごとにたて、左右二列に部屋を配する。」日本の民家2 農家Ⅱ

       

外観・平面図 日本の民家2 農家Ⅱ 学研より                             

   

  2階登り梁「養蚕などに用いられた」 滅び行く民家 主婦と生活社より

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