2.軸組を組む:土台・1階床まわり
1)土台についての現行法令の規定
建築基準法施行令第42条
①構造耐力上主要な部分である柱で最下階に使用するものの下部には、土台を設けなければならない。ただし、ア)当該柱を基礎に緊結した場合、イ)平屋建ての建築物で足固めを使用した場合(軟弱な地盤の区域では基礎に緊結した場合に限る)においては、この限りではない。
②土台は、基礎に緊結しなければならない。平屋建ての建築物(軟弱な地盤でない区域に建つ場合に限る)で延べ面積が50㎡以内のものについては、この限りでない。
注 「軟弱な地盤の区域」の基準 (告示第1897号) 1)地耐力が小さく不同沈下の恐れがある区域 2)地震時に液状化する恐れがある砂質土地盤区域 3)腐植土、泥土などで大部分が構成されている沖積層(盛土を含む)で、深さが30m以上の区域 4)沼沢、泥海などを埋立てた深さが3m以上で、埋立て後30年を経過していない区域
現在、布基礎上、床位置近くに土台を据え柱を立てることが〈木造の常識〉になっているが、古来、地上近くに据えられた礎石または布石上に土台を敷き柱を立てる場合でも、床は1.5~2尺以上高い位置に、足固め、大引、根太によって構成されていた。(第Ⅲ章 参照)
高温・高湿への対策として、床を高くし、床下の通風を得るための方策であったと見てよい(寒冷地等では床下を閉じるか、あるいは開閉装置をつけている)。
2)土台の役割
a)軸組最下部の横材で、柱を受け、水平面の基準となる。
b)柱上部の横架材(桁・梁)とともに軸組の強度上、重要な役割を持つ。土台は、単に柱を受けるだけでなく、立体骨組の底部を形づくる重要な部分である。
c)大引など、1階床まわりの部材を受ける。
3)1階床組の構成部材の材種
軸組部材:土台 床組部材:大引・床束・根太 床材:荒床(捨床)・仕上げ床材
土台 材種:強度が強く、耐久性のある(湿気・虫害に強い)材。一般的にはヒノキが適する。多少節があっても、特1等材であれば可。クリ、ヒバ、米ツガ(防腐)、米マツ(防腐)なども用いられる。クリは腐朽しにくく狂いも少なく強度もあり、全国で産するが、現在では大断面材の入手は難しい。防腐土台には、表面塗布ものとドブ漬けものがある。塗布ものは効果が数年で減少する。ドブ漬けものは重量大で、加工性が悪い。
材寸:多用する柱と同寸以上が適切。柱4寸(12㎝)角⇒土台4寸(12㎝)角以上。幅5寸×4寸:通称五平(ごひら)を使う場合もある。
大引 材種:曲げに強く、耐久性のある材。ヒノキ、スギ、米ヒバ、米マツ、米ツガなど。ヒノキならば良。1等材(一部面あり)でも可。
材寸:通常@3尺(909㎜)で3寸(9㎝)角、3.5寸(10.5㎝)角、4寸(12㎝)角。一般に3.5寸(10.5㎝)角で十分。
床束 材種:耐久性のある材。ヒノキ、スギ、米ヒバなど。ヒノキならば良。1等材で可。 材寸:大引に同寸。
根太 材種:曲げに強く、耐久性のある材。スギ、米マツなどが用いられる。 材寸:床荷重、大引間隔、根太間隔に応じて決める。
荒床 通常は、荒床(捨床)を下張りした上に、仕上げ材を張り、あるいは貼る。材種:スギ板厚12㎜~18㎜ 相じゃくり又は耐水合板・構造用合板12㎜~18㎜。
耐朽性の点ではスギなどの無垢材が適当。合板は、長年のうちに「蒸(ふ)ける」ことがある。縁甲板あるいはフローリング張り仕上げで荒床が無垢板張りのときは、荒床を斜め張りにすると上下の継ぎ目が揃うのを避けられる。