5)瓦棒葺きの各部の納め
機械加工の心木なし仕様が増えているが、通常では心木ありの工法が確実である。
瓦棒葺きは心木の有無にかかわらず、溝板と瓦棒包み板からなる。
a.軒先・けらば
① 広小舞・登りよどは、雨水の水切りのため、垂木先端(鼻隠しを付けるときは鼻隠し先端)・登りよど側端から1寸(30㎜)程度以上外に出して取付ける。
② 唐草を広小舞・登りよどに釘留めする。溝板端部にはぜを設け、唐草に引掛ける。
③ 軒先は、葺き板と同材を加工した桟鼻(さんばな)と瓦棒包み板を用い、瓦棒の木口に桟鼻を取付けたあと、桟鼻と溝板上に瓦棒包み板を被せる。
けらばは、登りよどに取付けた唐草に溝板端部をはぜ掛けにする(平葺きと同じ)。
b.溝板の留め方
溝板の側面の立ち上がり部分を瓦棒側面に釘留めし、その上に瓦棒包み板を被せ側面から釘打ち留めとするか、または、瓦棒包み板と溝板立ち上がり部をはぜ掛けにする。
芯木なし仕様の場合は、芯木の代りにU型の通し吊り子を垂木上に取り付け、瓦棒包み板を被せ、溝板の立ち上がりとはぜ掛けにする。瓦棒の木口には桟鼻(キャップ)を被せる。
c.棟
① 瓦棒の上に棟板を釘留めする。
② 溝板上端を箱型に加工し棟板下に棟芯まで差し込み取付ける。
③ 棟板側面に、溝板底近くまで降りる通し付け子(通り吊り子)を釘留めする。
④ 棟包み板を、通し付け子上端にはぜ掛け留めする。
雨水の侵入は、通し付け子下端部と溝板上部の箱型部分とで二重に防ぐ。瓦棒葺きの場合、棟からの雨水の侵入が起きやすいので、丁寧な施工が必要である。
なお、通し付け子を設けず、棟包み板を溝板底部まで折り下げる納め方もある(図右)。
芯木なしの仕様では、棟板取付けのために、棟板受け材を棟上部に流す。
d.谷
平葺き同様に谷葺き板を設ける。留意点も同じ。瓦棒の木口は軒先同様の納めとする。
二重はぜ谷葺きは、たたみはぜとも呼ばれ、溝板のエキスパンションの役目も兼ねる。
e.壁との取り合い
登り上部では、瓦棒の上に雨押え板を釘留めし、雨押え包み板を棟包み板同様の納めで取付ける。
流れ方向の壁際では、瓦棒上に雨押え板を取付け、雨押え包み板を溝板底部近くまで折り下げる。
雨押え包み板は、上部を2寸(60㎜、住宅金融支援機構テキストでは120㎜)以上、壁下地内(防水紙:アスファルトフェルトを用いる場合はその裏側)に立ち上げる。
参考 「水切り鉄板」の壁内の納め図
大壁 真壁
おさまり詳細図集①(理工学社)より
参考図書 木造住宅工事仕様書(住宅金融支援機構)、 一般社団法人 日本金属屋根協会HP(web)、長野県板金工業組合「標準施工マニュアル」(web)、
各種建材カタログ・PDF(web)、おさまり詳細図集①(理工学社)、 絵とき建築施工(オーム社)、木造の詳細2・現代木造住宅のディテール(彰国社)