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2.日本-三浦按針(ウィリアム・アダムス)の情報 2回目

2.日本-三浦按針(ウィリアム・アダムス)の情報 2回目

●アダムスたちの厳しい航海は続いた。

  「我々は食料を確保する手段を相談した。上陸して力ずくで略奪するには、あまりに多くの仲間を失った。残っている者もほとんどが病んでいた。そんなときスペイン人らしい男が我々の船にやってきた。その男は次の日も現れたのだが、我々は何事もなかったかのように帰してやった。三日目に二人のスペイン人が乗船してくると、我々は、彼らが担保なしで約束を守るか心配だったが、こちらの窮状を説明し、食料を何とかできるか交渉した。しぶしぶであったが、彼らは約束の時間までに必要な食料を揃えてくれた。牛肉とマトンのおかげで、我々は相当に体力を回復することができた」

  僚船の航海士はアダムスと同じくイギリス人で、あの有名なトーマス・カベンディッシュ船長(大航海時代のイギリスの探検家。1560~92年)の世界一周航海に参加している。アダムスと僚船の航海士は二人とも山っ気があるほうだったせいか、よく気が合った。残りの僚船三隻のうち一隻はスペイン船に襲撃されたことは聞いたが、あとの二隻がどうなったかは不明だった。おそらく沈没したのだろう。アダムスの船では仲間に互選された船長らで今後の方針が検討された。こういう状況の中で、どうしたら最高の利益を得る商売ができるかが最も重要なテーマだった。積荷は毛織物で、この商品をどこで売り捌くのか、はっきりした当てがあるわけではなかった。

 「最終的には日本に向かうことに決めた。ディレック・ゲリットソンという男の意見を採用したのだった。この男はかつてポルトガル船で日本に行ったことがあるという。この島では毛織物が重宝されているらしい。マラッカや東インド諸島では暑くて毛織物は不要だろう。こうして目的地は日本に決まった」

 「1599年11月29日、目的地に向けて出帆した。数カ月にわたって貿易風に恵まれた」

  アダムスは人食い人種が住んでいる地帯に入ってきたことを確信していた。

 「北緯十六度付近でこうした島を見つけた。大型ボートで近づいた八人は人肉食の犠牲になったと思う。人食いの島民一人を捕獲した」

  北緯二十七度から二十八度付近で風向きの一定しない嵐に遭遇した。1600年2月24日、この嵐の中で二隻の帆船はお互いを見失っている。この二隻が出会うことは二度となかった。オランダの港を出た五隻の艦隊のうち、残ったのはアダムスの船だけであった。しかしアダムスはあきらめなかった。

●カソリックの敵意

 「嵐に悩まされながらも全力で、日本に向けて帆を張った。3月24日、ウナコロナ島と名づけられた小さな島が見えた。この頃既に多くの乗組員が病気になり死者も出ていた。なんとか這いずって動けるものが九人か、十人いるだけだった。船長も含めた誰もが死を覚悟していた。こんな状況の中で遂に日本が見えてきた。4月11日のことだった。この頃になると動ける者はわずか5人もいないありさまだった。ここは目指していた豊後だった。12日、小型の船がやって来て日本人たちが乗り込んできた。我々にはこれに抵抗する力は全く残っていなかった。我々の船はここに錨を下ろした」

  後日、日本人は実直な民族だと知るのだが、この時点では彼らは決して正直とは言えなかった。

 「日本人は、危害を加えることはなかったが、持てる限りの積荷を持っていってしまった。ただ、のちに代金を支払ってくれる者もいた。翌日、兵士が乗船してくると残りの積荷が盗まれることはなかった。二、三日して、我々の船は港の中に曳航された。この地方の王に我々の入港が知らされ、彼の指示が決まるまで、この港で待機することになった。幸いなことにこの王は船長と病人上陸を許してくれた。一軒の家があてがわれ、食事も与えられゆっくりやすむことができた。五、六日した頃、数人のポルトガル人がやって来た。そのうちの一人はイエズス会士だった。キリスト教徒になった日本人も混じっていた。長崎という町から出向いてきたのだ。彼らは、我々が海賊で、商売のためにこの国に来たのではないと主張していた。プロテスタントの我々を敵視していたのだ」
―つづくー

参考
 本書の原題「日本:地理と歴史 この列島の帝国が西洋人に知られてから現在まで、及びアメリカが準備する遠征計画について」 著者チャールズ・マックファーレン(1799~1858年) 訳者 渡辺惣樹(1954年~)訳者書名「日本 1852」
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