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3.日本-三浦按針(ウィリアム・アダムス)の情報 3回目

3.日本.-三浦按針(ウィリアム・アダムス)の情報 3回目

  いよいよ、アダムスが徳川家康と面会します。家康の人柄観察も興味深いです。(注:むかし大阪は大坂でした)

 ●ポルトガル人たちカソリックの敵意  つづき

  確かにこの頃、太平洋のこの周辺に現れる船は、スペインやポルトガルからの船でなければ、みな海賊船あるいは私掠船(勅許された海賊船)と見なされていた。ローマ教皇の裁定で、次々に発見される新世界はスペインとポルトガルで分け合うことが約束されていて、イギリスやフランスなど他の国には手を出させなかった。こうした国の船がスペイン船やポルトガル船に見つかると積荷は全て密輸品として没収され、乗組員は盗人として扱われた。しかし、宗教改革を成し遂げた国々はこの馬鹿げた主張を受け入れはしなかった。世界の地理を全く知らない教皇がスペイン、ポルトガルに勝手に与えた領土である。その分割に正当性などあるはずはない。それでも反カソリックの国の太平洋の航海は、自衛のために船団を組むことが常識だった。船団であれば、自由な交易ができ、スペイン船やポルトガル船に抵抗できたのだ。逆に両国がコントロールしている港に上陸して掠奪をしかけることもあった。

  この時代は海賊の世界であった。スペインとポルトガルの厚かましいほどの強欲さと嫉妬。残虐な性格。これがこの時代の背景なのだ。海賊の時代はエリザベス一世、ジェームズ一世、チャールズ一世の在位に重なっている。自由な交易をスペインとポルトガルが認め始めたのはウィリアム三世の時代に入ってからで、レイスウェイク条約(1697年)以降のことである。この頃になると、この二か国以外の国もアジア太平洋地域でそれなりの力をつけてきたのだ。いずれにせよ、この時期のイギリス人船乗りは南北アメリカにあるスペインの支配地域や太平洋の海が危険であることは十分に認識していた。

 「イエズス会やポルトガル人は我々(アダムスたち)を海賊行為の罪で磔にするように主張していた。そのせいで日本人も我々を警戒の目で見るようになっていた。我々の仲間の中からも二人の裏切り者が出た。一人はポルトガル王に忠誠を誓う約束をし、アダムスたちの積荷を捌(さば)こうとたくらんだ。もう一人の裏切者と一緒に積荷を取り上げる方法を考え、航海の途次にあった出来事を敵にしゃべっていたのだ」

  ポルトガル人たちは、この国に築いた独占貿易の既得権は絶対に渡さないと懸命だった。アダムスたちイギリス人は不可侵のテリトリーに迷い込んだ異教徒の群れだった。アダムスたちが磔にされたら、どれほどポルトガル人たちを満足させたことか。

 ●大坂の皇帝(徳川家康のこと)

  ところがアダムスたちにとって幸運だったのは、我々の件が大坂にいる皇帝(翻訳者注:emperorと書いてあるが、徳川家康のこと)に報告されると、大坂に連れてくるようにとの命令が下ったのだ。アダムスを含む二人が大坂に向かうことになった。

 「出発前に仲間に別れの挨拶をした。船長以下みな衰弱し、病んでいた。船長の手をしっかり握った。この手が、私を何度救ってくれただろうか。豊後の王様の船に乗せられ、ここから八十リーグ(約430Km)離れた大坂に向かった。1600年5月12日、皇帝の住む港に着いた。連れて行かれた宮廷は、金箔がふんだんに使われた豪華な屋敷だった。皇帝の前に出ると彼は、私をじっくり観察した。その目は私にはなぜか好意に満ちたものに感じられた。彼はジェスチャーを交えて会話を試みてきた。そのうちポルトガル語を話す通訳が現われた。皇帝は私の出身地と、この遠く離れた日本に現れた理由を尋ねた。国の名前を挙げ、東インド諸島が目的地だったことを説明し、商売を通じてどこの国とも仲よくしたいと答えた。この国で産出しない品々をたくさん運んでくることができること、逆にこの国だけにしか手に入らない物産を買い付けたいことを説明した」

  アダムスが政治や経済やらの小難しいことには馴染みのない、ただの航海士であったことが幸いしたのだろう。自分たちの置かれている立場をうまく説明している。
―つづくー 
 次回は家康からの質問攻めの続き、アダムスたちの船の大坂への曳航、船長たちとの再会そして西洋式帆船の建造

参考
 本書の原題「日本:地理と歴史 この列島の帝国が西洋人に知られてから現在まで、及びアメリカが準備する遠征計画について」 著者チャールズ・マックファーレン(1799~1858年) 訳者 渡辺惣樹(1954年~)訳者書名「日本 1852」
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