モグリッチョのフィールドノート

八丈島の自然などを紹介しています。

タマノミドリガイ

2022年07月17日 | ウミウシ

学名:Berthelinia limax

 

【側面】

 

【背面】

 

【軟体部を貝殻内に格納した個体の上に若齢個体】

 

 殻長:8mmほど。殻頂部に極小の渦巻状突起(巻貝の原殻/上段画像の水色矢印部)があり、同科(ユリヤガイ科)のユリヤガイと比較すると貝殻に厚みがなく薄いのが特徴です。また、頭楯目の巻貝を背負ったウミウシは軟体部を貝殻内に全て格納できないのものが多いのに対し、このウミウシは軟体部を全て貝殻内に格納して身を守ることができます(下段画像)。

 このウミウシは大きい個体の貝殻上に小さな個体を乗せているところを、しばしば確認することがあります(下段画像の赤矢印)。このようなことは同科のユリヤガイやゼブラユリヤガイでは確認できませんが、同じ上科(ナギサノツユ上科)であるヒメタマブドウギヌでも確認できます。

 イワヅタ類に着生し以前はイワヅタが繁茂する春から初夏にかけてワラワラと湧いて出てくるように沢山生息していましたが、近年は海水温上昇の影響か?そのイワヅタが激減し生息個体数も激減しています。人為起源の二酸化炭素排出で大量の二酸化炭素が海に吸収されて、海の酸性化が進んでいるそうです。貝殻を有する生物には、住み辛い環境となってしまっているのも激減の一要因だったりして…。

 1999年に発売された小野篤司さん著のウミウシガイドブックで、このウミウシを観て「二枚貝のウミウシがいるの!!」と衝撃を受けました。同ガイドブックは他にも不思議なウミウシが沢山掲載されており、私がウミウシにのめり込むきっかけにとなったガイドブックです。また、ウミウシ毎に生息環境も記載されていたので、八丈島でウミウシを探すのに参考にさせてもらいました。

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