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3年B組金八先生 第5シリーズ#22」より 心に響いた詩   「私を束ねないで」新川和江

2017年07月10日 19時33分31秒 | 本日の我が家の話題



「わたしを束ねないで」


わたしを束ねないで
あらせいとうの花のように
白い葱のように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色(こんじき)の稲穂
     
わたしを止(と)めないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃(はばた)き
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音

わたしを注(つ)がないで
日常性に薄められた牛乳のように
ぬるい酒のように
注がないでください わたしは海
夜 とほうもなく満ちてくる
苦い潮(うしお) ふちのない水

わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
座りきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風

わたしを区切らないで
,(コンマ)や.(ピリオド)いくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終りのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩


(新川和江第五詩集『比喩でなく』(1968年)所収、大岡信編『現代詩の鑑賞101』より)




新川和江(しんかわ かずえ)(1929-)

詩人。
茨城県生まれ。
県立結城高女卒。
「地球」に参加。「ラ・メール」創刊。
詩集『睡り椅子』 『絵本「永遠」』 『ローマの秋・その他』 『比喩でなく』 『土へのオード13』
『夢のうちそと』 『ひきわり麦抄』 『はね橋』



みや

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