だいすき

基本的に自分の好きなものについて綴っていきます。嫌いなものやどうでもいいこと、さらに小説なんかもたまに書きます。

逃げない漫画

2008年02月19日 19時29分55秒 | 漫画やアニメが好き
 『週間少年ジャンプ』に載っている、福島鉄平先生の『サムライうさぎ』がこのところのお気に入り。
 というか、『ジャンプ』で一番のお気に入りがこの漫画。

 齢十五にして妻を娶り、妻の為、自分の為に自身の剣術道場を天下一のものとすべく、頑張り続ける少年の物語。

 最初はよくわからない漫画だった。
 いや、面白いというのはわかるのだが、誰にむけて描かれているのかがよくわからなかったのだ。
 というのも話の内容が高校生以上、ヘタしたらそれ以上の歳の人にむけて描かれた内容のものに思えたから。
 なにせ、主人公結婚してるしね。
 それでいて、絵の雰囲気や話の細かいところはどうにも小学生向きだし、なんだかアンバランスな漫画、という印象が強かった。

 最近はいかにもな少年漫画の展開になってきて、方向性も定まって面白さも増してきた、という感じ。

 そしてその面白さが、『逃げない』というところにある。

 それを感じたのは第二羽目のこと。
 ボロボロの道場を直そうととび職人達に頼んだのだが、それが硬派、侠気を売りにしているような人達で、主人公の考えとは違う方に道場の改築を進めてしまう。
 主人公は早くにそれを改めて貰いたかったのだが勇気が出ず、それでも妻に誇れる自分になる為に、なんとか意見を述べる話。
 ここで主人公は逃げなかった。『妻の為』なんていうのは少し女々しいように感じてしまい、硬派な彼等には言い難かったが、愛する妻の為に頑張ると決めたわけなのだから、恥ずかしいだなんだと言っている場合ではない。
 そういった内容が、この回できちんと描けていたし、それらは途切れることなく描かれ続けてきた。

 この間の話でもそうだった。
 成り行きで流人達と戦うことになった。
 しかしいまのままでは勝てそうにない。
 だったら修行だ。
 少年漫画における黄金パターン。
 ほとんどの漫画で描かれるシーンだけど、この漫画はそこにきちんと『らしさ』を入れた。
 なかなか修行に熱の入らない主人公。やってはいるものの、どこか心ここにあらずといった感じにみれる。
 問いただす仲間に対し応えた答がなんともこの漫画らしくて良かった。

『道場を開くときに天下一になると決めはした。その為に強くならなくてもいけない。だけど、目指す強さとは本当にこういうことなのだろうか?』

 原文とは全然違うけど、だいたいこういった意味。
 小年漫画では誰もが強さを求める。その理由は様々だ。
 だが、その質に踏み込む作品はどれだけあるだろうか。
 悩みや葛藤、その苦しみから目を背けない。
 目の前にある石全てに躓いていく感じ。

 それは『ハンター×ハンター』や『あひるの空』等にも言えることだけど、

 僕はこういった『逃げない漫画』がだいすき。

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