ここには盗まれて平気なものはなに一つなかった。
この部屋には、ちゃんと鍵をかけようと思う。
K -Lost Small World-読みました。
面白かったです。
あらすじは割愛で、部分的な語りになりますが、ネタバレがありますので、どうぞご注意下さい。
先行公開で出てきた「でてこねえと新しいトモダチの口にカマキリ突っ込むぞ」の人、やっぱり伏見父でした。名前は伏見仁希(にき)。息子にいやがらせするのが趣味に見える強烈な変人。
生まれたばかりの我が子をガラス越しに見て「うわ、猿みてー。気持ちわりー」と言い「じゃあ名前それにするわ」と猿比古と名付けた、当時19歳の父でした。
母親木佐(きさ)は社長で仕事に忙しく、息子には興味なさげ。
二人ともほとんど家にいないから、お互いに今どこにいて何をしているのか知らないし興味もない、そういう家族です。
大きな家ですが盗まれて惜しいものは置かない、鍵も掛けないという変な発想の家。
一方の八田の方は、元は気のいいおおらかな母親と二人暮らしだったのが、数年前に母親が再婚して弟実(みのる)妹萌(めぐみ)が生まれ、狭い社宅暮らしでなんとなく自分の居場所がないような気持ちになっています。
そういう二人が同居を始めます。
言い出したのは八田の方。伏見が月に何日か家に帰らず、ネカフェに泊まる日があることに気付いた八田が、「誰もいねえときだけ帰って、誰かいるときに帰れねえ家なんか……いらねえよ、おまえに」と言い、二人で暮らすことを提案します。
ロフト付きの格安物件は以前殺人事件があった部屋で、伏見の住んでいた屋敷とは大違いな殺風景な部屋ですが、伏見にとってここは大切な場所になります。
盗まれて困るものはないから鍵をかけなかったお屋敷から、高価なものはないけれど盗まれて平気なものは何一つない小さな部屋へ。
二人だけのsmall worldです。
外箱に出ている女の子は、伏見のまたいとこの大貝阿耶(おおがいあや)。
この子もかなり個性的な子でした。
小学生の頃は地味な優等生だったようですが、キャラを作って中学デビューしたらしく、でもグループ内でハブられてます。
この子に誘われて、伏見と八田はJungleというSNSのゲームのミッションに参加しますが、それが「飛行船に乗っている謎の人物と接触しろ」というもの。
飛行船に向かってキャンドルをかざすと、飛行船が拾い上げてくれるっていう都市伝説、MORに出てきましたね。
飛行船の飛行ルートを計算し、そこへ向かう三人ですが、八田が伏見と阿耶を自転車に乗せてこぐシーンは格好良くて可愛くて、「昔はお前ら3人分くらいあるデブ乗っけて走り回ってた」っていうのがおかしかったです。幼い頃の八田が自転車の荷台に鎌本乗せて走ってる姿想像してしまいました。
あと、個人的にうれしかったのは吠舞羅の面々が出る場面でした。
ある事件で見知らぬ中高生たちにクラッカーやロケット花火で攻撃される伏見を、自分自身では助けることができない八田が、赤い怪物(周防)を見つけ、「猿比古を助けて!」と悲鳴あげるところ。
挿絵はびっくりしましたが、周防かっこいいし、陽だまりシェルターで周防の炎から伏見を守る十束もよかったです。
事件に関しては詳しくは書きませんが、多分今後につながる重要なところだと思います。
面白いです。
でも二人だけのsmall world には終わりがやってきます。
理由は……いろんな要素が絡まってます。
K:SIDE REDに出た湊兄弟との事件や、伏見父の亡霊とか、赤青それぞれの王とか。
でも一番大きいのがそれぞれの思いのすれ違いでしょう。
この辺はぜひぜひ実際に読んでみることをお勧めします。
今夜から100visualが再開されます。
この頃更新をさぼりがちでしたが、これからは毎日載せていく予定ですので、どうぞよろしくお願いします。
K Lost Small World ロスモワ