
- <noscript></noscript>少子化や若者の車離れで人手不足が懸念される自動車整備士(23日、青森市の自動車整備工場「津島自動車」で)
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自動車整備士を目指す若者が減り、将来的な人材不足を懸念する声が青森県内で広がっている。
背景にあるのは急速に進む少子化や若者の車離れだ。自動車関連業界では「整備士が不足すれば自動車を安全に使う環境が確保出来なくなる」として、人材確保に向けた官民が連携した取り組みの強化を求める声も強まっている。
整備士を養成する教育機関で構成する「全国自動車大学校・整備専門学校協会」(東京)によると、同協会に加盟する専門学校の入学者数は2003年時点で約1万1200人だったが、13年は約6300人にほぼ半減した。
県内も例外ではない。同協会の会員である八戸学院光星高校専攻科(八戸市)では自動車科の募集人員は60人だが、1、2年生はいずれも20人程度にとどまり、今春の卒業生はわずか11人だった。
同校は県南地域や岩手県北部の高校を定期的に訪問し、勧誘活動を行っているが、反応はあまり芳しくないという。田頭寛教頭は「成り手不足で整備士の平均年齢は高くなっている。将来的に足りなくなる可能性がある」と憂慮する。
県内の自動車販売店では、整備士の不足が顕在化しつつある。青森市内の販売店で整備部門を担当する男性は「以前と違って求人を出してもなかなか人が集まらない。業務に支障は出ていないが、理想としてはあと3、4人は整備士が欲しい」と語り、別の関係者は「個々の努力では難しい。行政、販売店、学校の3者が連携を強化する必要がある」と話す。
国土交通省も危機感を強めて動き出している。東北運輸局青森運輸支局では、支局長らが6月下旬~7月上旬に高校10校を訪問する初めての取り組みを行った。整備士の役割の大切さや労働環境が良くなっていることなどを訴え、進路指導で整備士への就職を勧めるよう校長らに要請した。
同運輸支局によると、県内の自動車の保有台数は、軽自動車の人気の高まりなど、各家庭で「大人1人に1台ずつ」の傾向が強まった結果、14年3月時点で約100万台に上り、5年前から約2万台増えた。整備士の需要はむしろ高まっている状況だ。奈良岡司首席陸運技術専門官は「自動車の整備は人命につながる重要な仕事。人出不足が深刻化してからでは遅い。今のうちに裾野を広げる取り組みをする必要がある」と話している。(足利浩一郎)