
- <noscript></noscript>石原さん(撮影 高梨義之)
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連載「急げ! 女性リーダー育成」4回目の今回は、リクルートワークス研究所の石原直子主任研究員らがまとめた「提案 女性リーダーをめぐる日本企業の宿題」から、女性リーダーを育成するため、社会に求められる考えなどを紹介する。
1.リーダーシップ教育を大学の必修科目に
「リーダーシップ」(他者の力を借りてチームの目的を達成する力)が、日本の教育カリキュラムにはほとんど取り入れられていない。これと「クリティカル・ライティング」(論理的な思考と説明力)、「長期インターンシップ」の3つを学生時代に備えておくことで、入社直後から“トップギア”で走る準備を学生時代にしておくことは有効。
2.ホワイトカラーの労働時間を2000時間に
「一日8時間で成果を上げる人こそが優秀な人材」という共通認識を持ち、そのために何をすべきか、どの無駄を削減できるか、真剣に検討をすべきだ。女性を含めたすべてのリーダーが無理なく働ける社会になっていってほしい
3.「家事・保育サービスに産業革命を」
スーパーウーマンでなくても仕事を続けていける体制づくりをする必要がある。家事・保育サービスのプライスダウンや個人宅への家政婦・シッター派遣ができるような社会にならないか。
4.共働きを前提とした社会への脱皮
片働き・専業主婦を前提とした旧来モデルから脱却し、「共に稼ぐ」考えで、不安やリスクに対処する。各人が「働き続けることのメリット」の周知を
◇◇◇Q.リーダーシップ教育は日本ではあまり見かけませんね
「男性を差し置いてリーダーになるのは、みっともない」?
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「リーダーシップとは何か」を大学の講義などで教えることが少なく、きちんと教えてほしい。
日本の女性の多くは、「男性を差し置いてリーダーになるのは、みっともないことだからやめたほうがいい」という価値観のもとで育ち、リーダーシップの実践をなかなか積めません。学生時代に、女性が積極的にリーダーシップを発揮しなければいけない場に出て行かせる必要があります。
体育会やサークル、ゼミで代表を務めることは、苦い経験もしながら、人をまとめて一緒に仕事することであり、人が楽しく協力してくれるためには何が必要か、ということに何らかの「気づき」があるわけです。その経験が重要なのです。20歳前後は、男の子にもてたい、かわいく見えていたい、というのは大事な関心事ですから、なるべく人の上に立たないという選択肢を、賢い子であればあるほどしてしまいがちです。
その意味で、男子の目を気にしないでいい女子大には期待している。のびのびとトップをとっていいわけですよ。女子大ならではのリーダーシップ教育を行える環境があると思います。
Q.クリティカル・ライティング(批判的記述)はなぜ必要なのでしょうか?
他人を説得するには論理的アプローチで
他人を説得しようとしたら、何を否定して新しい対案として何を出すかという順序、作法、テクニックが必要です。シンキング(思考法)でもいいのですが、米国の大学では、学生として、リポートを書くため、教養の基礎の基礎として、最初にクリティカル・ライティングを学ばせます。これを勉強すれば、他人を説得したり、論理的にアプローチしたりという習慣が身につき、ビジネスの場面で使えます。
日本では、論理的な思考というと、すぐ「頭でっかち」と言われたりしますけど、仕事で実績を上げたいなら、物事を論理的に分析できないと、無駄な試行錯誤をすることになります。もちろん、どのように論理的な思考を見せるか、というテクニックも必要ですけどね。この基本がなければ、会社で役に立ちませんよ、という話。
Q.働き続けることのメリットとはなんでしょうか?
子育ては思ったより早く終わる
よく言われる、リストラや離婚でもはや専業主婦も決して安泰ではないですよ、という経済的な意味だけではありません。
実際、子育ては結構早く終わります。一方で、人生は平均寿命で80年くらいあります。その中で、わかりやすく家族以外の人に対して価値をもたらせるものは何か、というと、仕事が一番わかりやすくて簡単な手段だということです。そういう選択肢として、働くことをそんなに簡単にあきらめていいのかな?という問いかけでもあります。
(聞き手・構成 メディア局編集部 京極理恵)
(データは、リクルートワークス研究所「提案 女性リーダーをめぐる日本企業の宿題」本編及び資料編より)
(次回最終回は明日10月10日掲載予定です)