《 自動創作プログラムが作製したショートショート作品です 》
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『セーフティネット』
気づくとテーブルに置いた携帯が緑色に光っていた。
メールが届いた知らせだ。
「ん!?木本から!」
学生時代、バイト先で知り合ってからこれまで、時々連絡を取り合っている男。
でもアドレスが違う。携帯を替えたのだろうか?いまどき珍しい。
メールには、木本本人の近況が書かれていいた。
まあ簡単に説明すれば、突然病気になり入院、3か月後、退院したが、治療費もろもろの支払いで蓄えが底をつき、仕事をリストラされたあげく、住んでいるアパートを出て現在は、ホームレス状態ということだった。
それは、大変だということで電話をかけるのだが木本の携帯は、なぜかメール専用端末らしく通話ができない。
「大変だったな。どうしてもっと早く連絡をしてくれなかったんだ。知っていれば何とかしてあげたのに」とメールを送信。
(※とは言っても俺も似たような待遇でいつリストラされるかわからん身で金は貸してあげれないのだが…)
で、返ってきたメールがまた奇妙で本人は結構、ホームレスの暮らしを楽しんでいるらしいのだ。
とにかく一度会いたいということになり、教えられた場所に出かけて行くことになる。
メトロの千代田線に乗り込み、北千住まで向かう。
駅を出るとすぐにロータリーの通路にひと際目立つスーツ姿の男と他、数名のおそろいのスタッフジャンパーを着た一団を見かける。
昨日投票が終わり当選した次期足立区区長様の一行だとわかった。
当選のお礼にと満面の笑みで区民の皆様へごあいさつにみえていたのだ。
区民では無い私は、ぐるりと迂回し待ち合わせの七瀬公園へ向かった。
公園の正門まで行くと見慣れた木本の姿を見つける。先ほど駅に着いたと、メールで報告していたので迎えにでてきたようだ。
「よう!ひさしぶり!」
私は眼を疑う。木本のその姿と表情は、私の想像している ホームレス のそれとは余りにも差があったのだから。
木本から詳しく聞くにつれ、いまどきのホームレスという暮らしがどんなものなのかわかってきた。
そう、ひと昔みたいなキツイにおいを放つ人達ではないのです。
まず、着ている服に秘密があった。
それは、高機能の素材で編みこまれた服。冬は暖かく体を包み、蒸し暑い夏も涼しく過ごせる。
そしてその服には数体のナノマシンが常駐されていて、日々の暮らしで発生する体の汚れ、その他、外部からの汚れを寝ているうちにきれいに除去してくれるという。
そして見せてもらった施設がまた奇妙。
その寝泊りしている公園の一角には自治体が管理している月極の 駐 者 場 。
通常200個単位で設置されていて、カプセルホテルのユニットとコインロッカー、そして寝袋を足したような姿。この小さな小さなスペースの中で夜をすごせるようになっているのです。
もちろんこの袋の中もナノマシン制御でいつも清潔に維持されている。
木本の話では、ホームレス生活3日目に区の職員に話しかけられここに来るように薦められというのだ。まず簡単な健康チェックを受け、戸籍を確認し何やら書面を確認させられサイン。
そして、ナノマシン付きの高機能の服を含めたホームレスの七つ道具ならぬ一式の支給を受け、ここでの生活になる。
携帯形式の情報端末装置もこのとき支給され生活に必要な情報が双方向でやり取りできるようになっている。
この端末は健康の維持を常時監視、短期仕事の斡旋、あらゆる情報の検索にも役立ち、通常の連絡にも使える。但し、通話は極力制限されていて、メール形式の文字、画像でのやり取りのみ。
※そして、もちろんこの端末の操作通信履歴はすべて区の監視管理下にあるのだが…
心配事などのカウンセリング、仕事がなく、食べ物に困ったばあいの各ボランティア団体、教会などによる炊き出し開催地区、時間などの情報検索にもつかえる。
これら一式のサービスが安価で提供されていることに驚いた私だが、木本はそこのところにはあまり関心がないらしく、毎日愉快に楽しく暮らせていることをしきりに話しているだけだった。
まあ、うまい話には裏があるのだろうから、木本が区と交わしたであろう例の書類には、いろんな契約が入っているのだとは思う。
******************
そんなこんなで2カ月後
私もめでたく不安定な勤め先を見事リストラされココ、七瀬公園の木本のお隣さんになっている。
「ホームレスに投票の機会を」という強制メールが最近毎日配信されてきている。
衆議院選挙が近くなりつつあるらしい。ココに来た時、住民登録手続きをおこなったためだ。
昔のホームレスには住民票がない人も多かった。
「選挙に関心を持つことは自立の一環」と「投票ができないと、選挙に関心がわかない。住民登録の問題が解決すれば、仕事にも投票にも大きな道が開ける」ということらしい。
まあ私や木本にはどうでもいいことだ。
毎日愉快に楽しく暮らせていれさえすれば…
今日も地元出身の衆議院議員選挙立候補者様の観音様のようなお姿を夢に見ながら眠ることになりそうだ…
《 お わ り 》
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『セーフティネット』
気づくとテーブルに置いた携帯が緑色に光っていた。
メールが届いた知らせだ。
「ん!?木本から!」
学生時代、バイト先で知り合ってからこれまで、時々連絡を取り合っている男。
でもアドレスが違う。携帯を替えたのだろうか?いまどき珍しい。
メールには、木本本人の近況が書かれていいた。
まあ簡単に説明すれば、突然病気になり入院、3か月後、退院したが、治療費もろもろの支払いで蓄えが底をつき、仕事をリストラされたあげく、住んでいるアパートを出て現在は、ホームレス状態ということだった。
それは、大変だということで電話をかけるのだが木本の携帯は、なぜかメール専用端末らしく通話ができない。
「大変だったな。どうしてもっと早く連絡をしてくれなかったんだ。知っていれば何とかしてあげたのに」とメールを送信。
(※とは言っても俺も似たような待遇でいつリストラされるかわからん身で金は貸してあげれないのだが…)
で、返ってきたメールがまた奇妙で本人は結構、ホームレスの暮らしを楽しんでいるらしいのだ。
とにかく一度会いたいということになり、教えられた場所に出かけて行くことになる。
メトロの千代田線に乗り込み、北千住まで向かう。
駅を出るとすぐにロータリーの通路にひと際目立つスーツ姿の男と他、数名のおそろいのスタッフジャンパーを着た一団を見かける。
昨日投票が終わり当選した次期足立区区長様の一行だとわかった。
当選のお礼にと満面の笑みで区民の皆様へごあいさつにみえていたのだ。
区民では無い私は、ぐるりと迂回し待ち合わせの七瀬公園へ向かった。
公園の正門まで行くと見慣れた木本の姿を見つける。先ほど駅に着いたと、メールで報告していたので迎えにでてきたようだ。
「よう!ひさしぶり!」
私は眼を疑う。木本のその姿と表情は、私の想像している ホームレス のそれとは余りにも差があったのだから。
木本から詳しく聞くにつれ、いまどきのホームレスという暮らしがどんなものなのかわかってきた。
そう、ひと昔みたいなキツイにおいを放つ人達ではないのです。
まず、着ている服に秘密があった。
それは、高機能の素材で編みこまれた服。冬は暖かく体を包み、蒸し暑い夏も涼しく過ごせる。
そしてその服には数体のナノマシンが常駐されていて、日々の暮らしで発生する体の汚れ、その他、外部からの汚れを寝ているうちにきれいに除去してくれるという。
そして見せてもらった施設がまた奇妙。
その寝泊りしている公園の一角には自治体が管理している月極の 駐 者 場 。
通常200個単位で設置されていて、カプセルホテルのユニットとコインロッカー、そして寝袋を足したような姿。この小さな小さなスペースの中で夜をすごせるようになっているのです。
もちろんこの袋の中もナノマシン制御でいつも清潔に維持されている。
木本の話では、ホームレス生活3日目に区の職員に話しかけられここに来るように薦められというのだ。まず簡単な健康チェックを受け、戸籍を確認し何やら書面を確認させられサイン。
そして、ナノマシン付きの高機能の服を含めたホームレスの七つ道具ならぬ一式の支給を受け、ここでの生活になる。
携帯形式の情報端末装置もこのとき支給され生活に必要な情報が双方向でやり取りできるようになっている。
この端末は健康の維持を常時監視、短期仕事の斡旋、あらゆる情報の検索にも役立ち、通常の連絡にも使える。但し、通話は極力制限されていて、メール形式の文字、画像でのやり取りのみ。
※そして、もちろんこの端末の操作通信履歴はすべて区の監視管理下にあるのだが…
心配事などのカウンセリング、仕事がなく、食べ物に困ったばあいの各ボランティア団体、教会などによる炊き出し開催地区、時間などの情報検索にもつかえる。
これら一式のサービスが安価で提供されていることに驚いた私だが、木本はそこのところにはあまり関心がないらしく、毎日愉快に楽しく暮らせていることをしきりに話しているだけだった。
まあ、うまい話には裏があるのだろうから、木本が区と交わしたであろう例の書類には、いろんな契約が入っているのだとは思う。
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そんなこんなで2カ月後
私もめでたく不安定な勤め先を見事リストラされココ、七瀬公園の木本のお隣さんになっている。
「ホームレスに投票の機会を」という強制メールが最近毎日配信されてきている。
衆議院選挙が近くなりつつあるらしい。ココに来た時、住民登録手続きをおこなったためだ。
昔のホームレスには住民票がない人も多かった。
「選挙に関心を持つことは自立の一環」と「投票ができないと、選挙に関心がわかない。住民登録の問題が解決すれば、仕事にも投票にも大きな道が開ける」ということらしい。
まあ私や木本にはどうでもいいことだ。
毎日愉快に楽しく暮らせていれさえすれば…
今日も地元出身の衆議院議員選挙立候補者様の観音様のようなお姿を夢に見ながら眠ることになりそうだ…
《 お わ り 》