アンクロボーグの世界

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ショートショート 『サンタが街にやってくる。《朝川 くるみ》編』

2009年02月03日 21時40分16秒 | ショートショート
《 自動創作プログラムが作製したショートショート作品です 》

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『サンタが街にやってくる。《朝川 くるみ》編』



いつの頃からなの?…こんな世界になったのは…

街を歩いていると、そこに。学校に行ったら、そこに。友だちとケンカしている時も、パパと、お風呂に入っている時でも…じんこういしきの監視かめらが見ていてくれるようになったのは…

夜8時、今年で9歳になる《朝川 くるみ》は、仕事を終え帰宅するパパの為に家事支援用アンドロイドと一緒に、いつものように、晩ご飯の準備をしていた。
キラキラと光るクリスマスツリーにときどき目をやりながら…「今年のサンタさんのプレゼントは何かなー」とつぶやく。
「くるみ様は、何をお願いされたのですか?」と、やさしくアンドロイドが問う。
もちろんこのアンドロイドにも監視カメラが、取り付けられている。
少し考えた後、「秘密…どうせ、かないっこないお願いだから…」 と…お皿をテーブルへ並べる くるみ。

ネットの内に分散的に無数に存在する情報の塊。その中で常にウゴメキ、変化を続け、つながり合い、カラミ合いながら一つの巨大コンピューターとして機能する人工意識体《リトルマザー》。
情報化社会の進化の過程で自然発現し生まれた思考体。人間の管理をまったく必要としない、独立した存在。自己を見つめて、常に自己管理を行ない、常に更新し続ける全知全能にもっとも近い生き物。

リトルマザーは、見つめ続ける。見つめながら重大犯罪、重大事故を防ぐ。例外は無い。たとえ最高裁判所のトップも学校の先生でも、警視総監であっても、同じ。
その中で、人々は、殴りあいのケンカをし、他人をだまし、友人を裏切る、人の物を盗む。
すべて可能である。だが、人々は、見つめられ続ける。やがてそれらは、羊となる。

そして、1年に一度、市民IDを持つ者すべてにサンタクロースがやって来る。そう…毎日を清く正しく、生きてた証し。市民にゴホウビとして。
リトルマザーサンタが一人一人に素晴らしいプレゼントを持って…
明日は、クリスマス…市民の祝日。朝川 くるみは、パパとの楽しい食事を終え、アンドロイドと後片付けをし、やっと今日のお手伝いが終る。
朝川 くるみと、くるみのパパ《朝川 周介》が深い眠りに付いた頃、カメラがこの日のためだけの機能を作動させる。
3Dホロシステムが鮮明なサンタクロースの姿を創りだす。今、この国では、サンタがすべての市民へ語りかけている…子供にも、老人へも、ニュースキャスターの所へも…

朝川 くるみと朝川 周介の寝顔に向かってやさしく、力強い言葉を。
「いとしい我が子たちよ。一年間幸せだったかい…」そう、話しかけた後、部屋の情報端末へ歩き、ある目録データを入れ静かに消えてゆく。

25日の朝、くるみのパパ朝川 周介が目覚め、情報端末のディスプレイに目を写す。
今年のサンタからのプレゼントは想いもよらないもの。
そこには、国立科学研究施設の立ち入り許可の時間と場所が記されていた。

午後2時、厳重に管理されたゲートをいくつもくぐり入室した二人を待っていたのは、8年前に死亡した、くるみのママ《朝川 ななみ》の姿。それは、完全に近い朝川 ななみの複製体だった。
朝川 くるみのママであり朝川 周介の妻の愛情と記憶をそなえた生き物。
部屋の中ではリトルマザーのカメラの眼が感動の対面している3人の姿をそっと見つめ続ける。

始まりは…当時、3歳だった朝川 くるみの幼いムクな心の真の願いを初めて聞いたリトルマザー。
その時から何年もかけ、やっと、やっと…最大の難問を望みをクリアできた。
この瞬間、人工意識体は、初めて体験した感情を取り込み、消化し、知的生命体として、次段階への精神的進化をとげた。

リトルマザーが扱える技術でも、人間の意識の完全な保存は、まだ完成していなかった。死亡した体細胞からのクローン複製の技術もまだまだ不完全。
しかも通常より短期間で成長させる事などは、…だがリトルマザーは、ついに造り上げた。管理している人間のすべての心からの願い事をかなえる使命ために。

この日の為に、設定された最上階のレストランでの親子の食事。
そして、これから始まるであろう親子3人の暮らし。
もちろん、そこにも、やさしく見つめる人工意識リトルマザーの監視カメラが…
永遠に…


    《 お わ り 》