どんなお稽古事でもそうだと思うのですが、最初はわからないこどだらけです。でもそこを乗りきって一山越えて、だんだん出来ることが増えてきます。
私自身もそうでしたけど、最初は一個一個できるようになっていったものが、
ある時期を境に上達の加速度が急に上がる時期があります。
いっぺんにいろんなことが出来るようになります。
１教えたら5ぐらい一気に自力で習得してしまう感じです。
スルスルと吸収できるし、上達も早い。
自分ではおぼつかなかったこと、たとえば発表会の支度なども、だいたいスムーズにこなせるようになってくる。
ちょっといろんなことが出来るようになって、
だいたいの表面的なことも見渡せる余裕もでてくる。
この段階は
自分はこう思う、こうしたい！
こうしてほしい！
というのがすごく出てくる時期でもあると感じます。
自分の経験や実力はまだ発展の入口ではあるものの、
自信も芽生えてきて「自我に目覚める」ような感じなのかな。
いろいろ評論してみたくなったり
知識も蓄積されてくるので
「〇〇でない人はモグリなんだって」みたいな発言が出る
何かにつけてとりあえずイヤがる
→練習内容、発表会の内容や衣装etc.講師が発したことはとりあえず１回イヤがる
「大人のイヤイヤ期」？といった感じの徴候が出てきます。
私もそうでした。
私はこれを「中級症候群」と呼んでいます。
クラスメイトとも馴染んで「ぼっち感」から解放されている時期だけに、
強気な言動や、
ティーンエイジャーのような衝動的でアナーキーな行動がでることもあります。
講師の立場からすると、こうした段階を迎えた生徒さんに戸惑ってしまうこともありますが
自分のことを振りかえってみても周囲や生徒さんのことをみても、
やっぱりこの段階も成長段階のひとつなんですよね。
たぶん、誰でも通る通過儀礼、イニシエーションなんです。
この段階をいい形で通過できると
またひとつ成長して
ダンスがグンと上達することはもちろん
やっぱりどの生徒さんも落ち着いてくる感じがします。
落ち着いているから自分を内省するようになって、結果、また上達するというスパイラルですね。
ダンスでのマナーも「わきまえよう」という公共意識が備わってきます。
いい形で通過できないケースも残念ながらあります。
中級症候群のまま経過してしまい、
技術的にはうまいのに迷惑行為やルール違反をしてしまい、トラブルになって退会―というようなケースなどです。
個人の性格が悪いという問題ではなく
おそらくその時期から本人の中では少し飽きていたり
もうお腹いっぱいだから他へ行きたいけど、踏み出す勇気がまだない
とか、そういう気持ちがあって、
クラスメイトや講師、そのお稽古事自体をリスペクトできなくなっているのではないかなと思います。
講師は、こうした中級症候群を迎えた生徒さんにどのように接したらいいのでしょうか。
中級症候群の生徒さんの発信する「こうしたい！」の中には、
ときに大事な気付きをくれることもあります。
そんなことを思っていたのか、とか、講師側にはなかなかわからないようなことを率直にこちらに伝えてくれて、
それがよりよいレッスン作りに役立つことがあります。
いっぽうで、中級症候群はヒトの成長段階の「イヤイヤ期」。
しっかりした意見・希望・主張をしているようでも、
それが二転三転するのもよくある症状なんです。
本当にそう思ってるかどうかはさておきいろいろ言ってみたい、ディスカッション自体が楽しい、という生徒さんもいます。
ですので、講師が全て真に受けていては
レッスンの方針や他の生徒さんまでが振り回されてしまいます。
中級症候群の生徒さんも大事ですが、
それ以外の生徒さん。
まだ一山さえ越える前の生徒さんもいます。
そして、自力で中級症候群を脱皮し、稽古に真摯に取り組む生徒さんを置き去りにしてはいけないと思うんです。
結論としては
中級症候群の生徒さんはある程度自分のことはできます。
そして今、自我が芽生えて自分でいろいろ言ってみたり絡んでみたり、やってみたい時期。
講師として、こうした時期を迎えたことを生徒さんの成長の証しとして歓迎しつつも
関わり過ぎない。
受けつつも、受け止めすぎず、
迷惑なことは
「レッスン・発表会をちゃんとやりたいから、そういうふうにされたら困るんです。」と勇気をもって伝えていく。
どうしてこおゆうこと言うんだろう、こんなことするの、オトナなのに。
と思っても、
それを止めさせようとか
ましてや機嫌なおしてもらおう
としていたら、結果的に中級症候群生徒さんにかかりきりになってしまいます。
大事な生徒さんは、他にもいるのです。
そのせいで真摯にレッスンに取り組む生徒さんたちを置き去りにするのはいやです。
中級症候群は、
イヤイヤ期や10代で迎える反抗期に似ていると思います。
大事な生徒さんだからずっといてほしい。
だけどそのためにかかりきりになっていたら、いつか立ち行かなくなってしまいます。
中級症候群は自力で脱皮していくものだと思う。
「あ、私調子のってたかも」と思うときが来ます。
そこからまたグンと成長できる✨
だから講師として
まずは適切な距離をもって、
その都度真に受けたり
ギャフンと言わせようとしたり、
機嫌をとろうとしない。
いけないこと、やめてほしいこと、ルールなどは、こちらも勇気をもって伝えていく。
そんなふうに思います。
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