The Alan Smithy Band

The band is on a mission.

西荻窪の夜 底のない人に会う

2018年10月27日 | ASB活動日誌
週末、東京に行った。

ひで氏です。

東京に足を運んだのは相当久しぶりだ。
奈良県民を常に悩ませる「新大阪から乗るか京都から乗るか」問題に悩まされながら、結局新大阪から新幹線に乗り込む。

新幹線のあの駅に着く直前の「タンタン タン タタン」は相変わらず憂鬱なメロディだ。
間髪入れず入ってくる「まもなく」という女性の声、その頃には何か黒魔術の儀式の様にうつむき加減の乗客が作る扉からの長い列。
世界レベルの高速鉄道なのに中で流れているあの時間や人々のモーションはやたらスローに映るから不思議だ。

さて、夜から動いた私ひで氏が東京についたのは22時ごろだった。

ホテルにチェックインしたところで一息ついてもよかったのだが、
実は来る直前にコンタクトを取った人がいた。

それはOHIO101というバンドのボーカル鈴木純也さんだ。
アランスミシーバンドとOHIO101はもうかれこれ15年ぐらいの知り合いだ。

この鈴木さんという人は本当に面白い人で、私ひで氏はこの人を愛してやまない。
独特の空気感を持っていて、楽曲にも普段の言動にもそれがにじみ出ている。
そういえば、陽至氏、サンタラ砂田氏と鈴木氏の4人でお茶の水を歩いていた時にあんなこともあったな、などと思い出す:

怨念アルペジオ

さて、この鈴木さんがこの日西荻窪でライブをしているということで、
二日ほど前のやりとりで「終電までは飲んでるからおいでよ!」という返事があったのだった。

私ひで氏はベッドに横になったら絶対に寝る自信があったのですぐさまホテルを出て、
最寄駅である、さっき出たばかりの田町という駅の改札をくぐった。

そして経路検索をしながら歩いていると、ふと足が止まる。

田町から西荻窪まで、50分ぐらいかかると出ているのだ。


土地勘がない分、迷いなく改札をくぐったが、ここから50分となるとついて23時すぎ、終電までとなると1時間ちょいぐらしか会えないのでは…
と頭を働かせてみる。どうしたものかと鈴木氏にLINEを送ってみるが、既読にならない。きっとライブ後でバタバタしているのだろう、と想像する。

ここでふと考えてみる。もしここで行くのをやめたとしたら、その説明は:

「行こうと思ったけど思ったより遠かったんでやめました」

ライブでバタバタして携帯も見れないで鈴木氏が、やっと見れた時にこのメッセージだとしたら、
「興ざめ理由選手権」があればトップ3に入る自信がある。

今年は「なかなか会えない人に会おう」と決めたのだ。

帰りが1時になろうがなんだろうがたいした話ではない。行こう。


こうして西荻窪まで電車を乗り継いでいった私ひで氏、この日鈴木氏が演奏していた西荻窪CLOP CLOPに到着した。
地下への階段を下りるとドアの向こうにたくさんの人が見えた。
入る直前に携帯を見たが自分が送ったメッセージにまだ既読はついていない。やはり鈴木氏はバタバタしているのだ。



中に入ってみると狭い店内ながらやはりたくさんの人。ライブが良かったのだなぁと思わせる良い余韻が漂っていた。

するとなんと目の前に鈴木氏が背中を向けて誰かと談笑しているではないか。

ライブ終わってるやん…

そして鈴木氏の手元、カウンター上には彼の携帯。画面は上を向いている。

携帯めっちゃ見れてるやん…

まあでも、ほれ、人と話してるし、気になってもちゃんと携帯見れないことも多々あるよね。

「鈴木さん!」と声をかけた。

振り向いた鈴木氏は「おお!!かっしーくん!」と、10年ぶりくらいの再会を果たした。





そのあとは色々思い出話をして盛り上がった。

二人ともザ・バンドが好きで盛り上がり、二人で曲を書きましょう!まず僕から書きますね!となったこと。

その勢いで書きあげたブルージーな曲を鈴木氏に送ったら全く反応がなかったこと。

割りと気に入った曲だったので、このままにするのも勿体ないと思い「思いのほか気に入ってるのでバンドでやってもいいですか?」と尋ねたところ

「いいよ!だいじょうぶだいじょうぶ!ごめんね!」

とそれには返事が来たこと。

この曲を書くに至ったこの経緯になぞらえて、鈴木氏のバンド「OHIO101」へのオマージュとして、曲名を「Going Up to OHIO」としたこと。

それを聞いた鈴木氏は、「そんなこともあったね!」と笑い飛ばす。

想い出話はさらに続いた。

1年後、その曲を収録したASBのアルバムをリリースして、レコ発にOHIO101に出てもらったこと。
そのライブで、アルバムの最後の曲「Run on the Highway」を一緒にセッションしたこと。

その話をすると、鈴木氏は声高に言った。「いや、あのRun on the Highwayは名曲だよ!」

嬉しい一言だった。そして曲順までは覚えていないだろうと思い、
「あのRun on the Highwayの1曲前に例のGoing Up to OHIOが入ってたでしょう」というと鈴木氏、

「あ、そうなの?俺ね、あの最後の曲が好きであればっかり聞いてて…」


「正直他の曲聞いてないんだよね!」


これが笑顔で言えてしまう人、こっちまで爆笑させられてしまう人、それが鈴木氏なのだ。

これが鈴木純也というアーティストの奥深さなのだ。

いや、「奥深い」という言葉は違う。「奥深い」は深くても奥底がある前提の言葉に聞こえる。

この人の魅力に底はない。


はっきりと言えるのは、この夜本当に行って良かったということ。


今後の展開をお楽しみに!





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