単結晶からモノづくりを創造するAKTサイエンスブログ

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AKT技術研究所

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職業能力開発大学校フォーラムに登壇しました。

2015年11月13日 | サイエンス
こんにちは、単結晶からものづくりを創造するAKTサイエンスブログを書いています AKT技術研究所の阿久津です。

少し遡りますが、10月30日に東京都小平市にある職業能力開発大学校で開催された職業大フォーラムで一般講演をさせていただきました。

職業大は厚労省所管なんですね。 Webや駅看板などところどころで見かけます。
その職業大で行われている学内学会、学術講演会のようなものですね。

青森県警本部とか中国の研究機関で研究されてる日本人の学者さんとか、なかなかバラエティーに富んだ講演者のいたセッションで、楽しませていただきました。

なぜここでの講演となったかと言うと、今年5月に開催された「ガレージスミダ1周年イベント」で御挨拶させて頂いた職業大の方からのお誘いを頂いたというご縁からでした。

大変ありがたいことに、たくさんのご質疑を頂き、フォーラムの盛り上げに微力ながらお役にたてたのではないかと思われました。

自分の成長機会になり、人のお役にも立てる、そんなご縁を大事にしていきたいですね。



単結晶製造装置 AKT技術研究所
〒207-8515 · 東京都東大和市桜が丘2-137-5
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アース・オーバーシュート・デー

2015年11月09日 | サイエンス
アース・オーバーシュート・デー

持続可能な社会の指標とでも言えば良いでしょう。
人類による資源消費量がその1年間に地球が生成できる資源量を超える日のことです。
2015年のアース・オーバーシュート・デーは8月13日だったそうです。
1年間で地球が生成できる資源を、2015年は8月13日に使い切ったということです。それ以降は負債として未来にツケを残しているということですね。

我々の社会は、地球が再生産できる程度に消費を抑えていれば持続可能ですが、それを超えれば未来の人の生活を奪うことになります。

地球全体では既に地球1.5個分の消費をしていいます。
さらに、日本国内では実に日本7個分の消費をしているのです。
(日本は世界的に見れば人口密度が高いため。実際の消費活動は米国の方が大きい)

つまり、我々日本人が内向きになって日本さえよければとか自分たちの周りさえ良ければという生活をしていると、世界の人たちに日本6個分の負担を押し付けていることになるということです。

最低限、まずは世界の中の日本という視点でいなければなりません。
世界の資源を消費しているのですから、これは最低限のことです。

そして、それでもまだ我々は未来の人々に負担を押し付けていることに違いはありません。
地球人として歴史の審判に耐えらる行動をとっているとは言えないのです。

しかし、見方を変えれば、やることもやれることも山のようにあると思います。
文明を放棄して消費を止めましょうとは言えません。
食糧生産も文化も公衆衛生も、全て文明と消費の上に成り立っています。それを放棄したら数十億人規模の大虐殺になります。
科学や技術以外でも、人の営みを作る社会全体でやれることはいくらでもあります。

日本などの先進国は社会が成熟して低成長になると言われていますが、我々の社会はまだまだ成熟してはいません。
我々が生命を脅かしている未来の人々(いれば、ですが)から見てみれば、まだまだ未開人です。成熟という思い上がりを捨て、持続できる社会を創るためにしゃにむに努力すべき時だと思います。

見方を変えれば、これはビジネスチャンスでもあるわけです。
地球を含む自然界と人間の文明社会の接点が材料科学であり、材料科学にこそ持続可能な社会を創造する切り口があるとの考えが、AKT技術研究所設立の動機になりました。

目標がよくわからないと悩んでいる方々、未来を創造してみてはどうですか?



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暑い時期に冷たい飲み物を美味しく飲むお話

2015年06月28日 | サイエンス
暑い季節になると冷やしグッズがいろいろと出てきます。
軽石のような個体の保冷剤を見かけることがありますね。
飲み物の中に直接入れられて、溶けないから味も変わらないとのこと。
そして30億年間かけて地下でゆっくりと造られた神秘性???

保冷を考えるのはややこしいので、冷却について考えてみましょう。

20℃の水100mLが容器の中に入っているとします。
容器や水面からの熱のやりとりは無いものとしましょう。



ここに冷凍庫で冷やした-16℃の固体保冷剤100gを入れたとします。
固体保冷材は酸化マグネシウムと酸化珪素からできていて、定圧比熱は700J/kg・Kくらいです。水の定圧比熱は4200J/kg・Kくらいですので、同じ重さの水に比べて6分の1の熱量しかありません。
水との温度差は36℃ありますが、実質温度差6℃の水100gと変わらないことになります。
水の温度は17℃といったところですか。

固体保冷材のかわりに氷100gを入れたとします。
氷の定圧比熱はだいたい2100J/kg・Kくらいですので、固体保冷材の3倍もあります。
温度差18℃の水100gくらいの熱量ですね。
水の温度を11℃にまで下げられますね。



コップに氷をたくさん入れて室温の水やジュースをいっぱい注ぐと気持ちよく冷たい飲み物になりますが、氷の代替品はなかなかないようです。

実はこれだけでは終わりません。
氷が溶けて水になるとき、氷1gあたり330Jほどの熱をまわりから奪います。融解熱というやつです。単位を比熱て使ったkgに直すと、1kgあたり330000J。同じ量の水を80℃も温度を下げてしまいます。
11℃の水100gの中に100gの氷が入っているので、氷が全部溶けたら水の温度は-70℃にもなってしまいます(笑)。あ、いや、氷自身は0℃の水100gになるので、氷で冷やされただけの水と混ざって-35℃かな。
水は0℃よりも温度が下がると氷になります。その時に凝固熱が要りますので、実際にはー35℃なんていうことにはなりません。(融解熱と凝固熱は同じ熱量ですから、外に逃げていく熱が無ければ、水の温度が0℃になった後で同じ量の水が溶けたり固まったりするだけです(要はそのまま)。



ドリンクにいれた氷がいつまでも解けずに気持ち良い冷たさを保ってくれるのは、こういうことだったのです。
なかなか他では代え難いですね。
水や氷は比熱が大きいですし、凝固熱・融解熱もとても大きいです。
化学的に造られた冷媒などは大きな熱量をもったものもありますが、ドリンクに入れられませんね。 飲み物を冷やすには氷が一番いいようです。
水が一番神秘的だったようです。


注)本文中の比熱などの値はかなり大雑把です!



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結晶とものづくり

2015年06月23日 | サイエンス
材料は世界の歴史をつくってきました。

古くは土器の時代。
石器、鉄器。。。
鉄、非鉄金属、プラスチック。。。
数え上げたらキリがありません。

近年では、半導体や炭素繊維など、新たな材料が我々の世界を根底から変えてくれています。

便利な機械も、ドローンなどの世界を変えると言われている新しいハイテク機器も、全て材料の進化の上になりたっています。

では、材料はいったいどのようなものの上に成り立っているのでしょう。
それは、「結晶」です。

結晶とは、科学の教科書のはじめの方に出てくる、サイコロのような形をしたアレです。
原子と原子が結びついて・・・というやつですね。

原子一個では材料の性質を示しません。
例えば、鉄は金属光沢を持った銀色ですね。
酸素は、常温では無色の気体なので見えませんが、極低温では青い液体です。
この銀色の鉄と青い酸素が結びついて赤や黒の酸化鉄になります。
どちらも単体では赤や黒ではありませんね。
結びつくことで、始めて赤や黒という酸化鉄の性質を示したわけです。

この材料の性質は、電子で決まります。
よく、周期表の同じ縦の列にある元素は似たような性質を示すと言われますね。
これは、同じような電子配置をとっているためです。

我々の身の回りの材料は、原子が集まって結晶の形をとり、その時にできた電子配置によって性質を示しています。
つまり、素材の性質を決めているのは結晶と言っても構わないわけです。

材料科学分野では、この結晶の性質を詳しく解析するために、目に見えるような大きな一つの結晶である単結晶を作って、標準試料とします。

モノの基本である結晶、その結晶を人が理解できるように大きく揃えたものが単結晶というわけです。
言い換えてみれば、単結晶とは、モノを語る上での最も基礎の基礎、土台となるものなわけです。
さらに言い換えれば、イロハの「イ」、言語にとっての読み書きのようなもの、モノを構成する文字が単結晶という訳です。

実は、モノづくりはもとより、材料科学の分野でも、結晶を通らずに新素材開発などが行われていることがよくあります。
文字の書き方を知らない人が文学者や文筆業、論文書きを名乗れるでしょうか?
材料科学とは、実はずいぶん怪しい土台の上に成り立っているものなのです。

資源の枯渇、環境破壊、我々人類が地球を掘り返して様々な材料を取り漁っているうちに、色々な問題が取りだたされて来るようになりました。
もう一度材料を基本から見つめ直して、我々の社会を構成するモノを考え直してみる必要があるかと思います。

逆な見方をすれば、モノを土台である結晶から見直してよく知りながら使うことで、今以上に優れた素材も生み出されてくると考えられます。
そしてその新素材が生み出されてくる課程でも、正しく材料を使い、地球にやさしい科学技術を開発する、そんな世界につながると思えるのです。
そんな未来志向のモノづくりを、結晶科学の立場から作り上げていくことができると考えています。

さて、モノの基本は結晶だと言いましたが、やはり原子だ、いや、素粒子だと考える方もいると思います。
それについてはまたいつか。




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