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暑い時期に冷たい飲み物を美味しく飲むお話

2015年06月28日 | サイエンス
暑い季節になると冷やしグッズがいろいろと出てきます。
軽石のような個体の保冷剤を見かけることがありますね。
飲み物の中に直接入れられて、溶けないから味も変わらないとのこと。
そして30億年間かけて地下でゆっくりと造られた神秘性???

保冷を考えるのはややこしいので、冷却について考えてみましょう。

20℃の水100mLが容器の中に入っているとします。
容器や水面からの熱のやりとりは無いものとしましょう。



ここに冷凍庫で冷やした-16℃の固体保冷剤100gを入れたとします。
固体保冷材は酸化マグネシウムと酸化珪素からできていて、定圧比熱は700J/kg・Kくらいです。水の定圧比熱は4200J/kg・Kくらいですので、同じ重さの水に比べて6分の1の熱量しかありません。
水との温度差は36℃ありますが、実質温度差6℃の水100gと変わらないことになります。
水の温度は17℃といったところですか。

固体保冷材のかわりに氷100gを入れたとします。
氷の定圧比熱はだいたい2100J/kg・Kくらいですので、固体保冷材の3倍もあります。
温度差18℃の水100gくらいの熱量ですね。
水の温度を11℃にまで下げられますね。



コップに氷をたくさん入れて室温の水やジュースをいっぱい注ぐと気持ちよく冷たい飲み物になりますが、氷の代替品はなかなかないようです。

実はこれだけでは終わりません。
氷が溶けて水になるとき、氷1gあたり330Jほどの熱をまわりから奪います。融解熱というやつです。単位を比熱て使ったkgに直すと、1kgあたり330000J。同じ量の水を80℃も温度を下げてしまいます。
11℃の水100gの中に100gの氷が入っているので、氷が全部溶けたら水の温度は-70℃にもなってしまいます(笑)。あ、いや、氷自身は0℃の水100gになるので、氷で冷やされただけの水と混ざって-35℃かな。
水は0℃よりも温度が下がると氷になります。その時に凝固熱が要りますので、実際にはー35℃なんていうことにはなりません。(融解熱と凝固熱は同じ熱量ですから、外に逃げていく熱が無ければ、水の温度が0℃になった後で同じ量の水が溶けたり固まったりするだけです(要はそのまま)。



ドリンクにいれた氷がいつまでも解けずに気持ち良い冷たさを保ってくれるのは、こういうことだったのです。
なかなか他では代え難いですね。
水や氷は比熱が大きいですし、凝固熱・融解熱もとても大きいです。
化学的に造られた冷媒などは大きな熱量をもったものもありますが、ドリンクに入れられませんね。 飲み物を冷やすには氷が一番いいようです。
水が一番神秘的だったようです。


注)本文中の比熱などの値はかなり大雑把です!



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