藤木明美ダイアリー

ピアニスト藤木明美が日々のことを綴ります

梅林

2006-01-11 18:11:47 | Weblog
我が家のリビングは借景を頂いている。
毎年梅の咲く季節には、
何本もの梅林に、鳥がさえずり、
秋には、栗や柿の木がたくさんの実をつけ、
また、大きな松は強い西陽を遮ってくれていた。
四季折々の美しさを楽しませてくれる、
本当に在り難い借景。

ところが、今朝起きると、
伐採業社が来ていた。
私はショックでパジャマの上にセーターを着た状態で飛び出し
「これ全部切るんですか!?」と
尋ねた。
土地の持ち主が亡くなられて、
売り地にするのだと言う。

何百坪もある土地だから
相続税もたいへんなのだろう。
他人の土地だから、文句は言えない・・

梅の木はたくさんのつぼみを付けている。
「あと2週間もすれば、咲くのに、もったいないですよ」
と、さすがの伐採業社の人も残念そうに言った。

あぁ、毎年、満開の梅を見るたびに
また、一年が過ぎたんあだなぁと、
15年間、感慨深く見ていたのに。
一年一年、いろんな想いで、この梅の木達を見てきた。
せめて、今年見納めさせて欲しかった・・

あまりに突然のことで、私は、
まるで自分の育てた花々が無残に切られたような気持ちになった。

「あの松は、何年ここで生きていたのだろう・・」
大きな松の木が倒れる瞬間、
「今まで楽しませてくれて、ありがとうね・・」
と口からこぼれた。

開花の目前で切られた梅が、忍びなくて、
ゴミになる直前、大きな枝をいくつかもらって
リビングに飾った。
せめてこの部屋で、満開になって欲しいなぁ。

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