藤木明美ダイアリー

ピアニスト藤木明美が日々のことを綴ります

見えるということ

2008-07-15 11:30:47 | Weblog
最近になって、左眼の網膜にトラブルがあることがわかり、
一度目の検査のときは、そのうち見えなくなるのでは・・
と不安をよぎなくされた。

2度目の検査の結果、幸い、今すぐ処置の必要はない
ということで、ホっとした。

ただ、今より良くなることはなく、悪化の予防策もなく、
手術して見えるようになることもない、ということで、
以前のようには、見えない。
もともと、強度の近視で、見える右眼も、0.03しか見えない。

なのに、見えるということが、とてもありがたく、
ただならぬ幸運に感じる。

朝起きると、「今日も見えてる」
外出すると「景色が見える」
と、毎回思う。

以前見ていた、抜けるような空を見ることはできないけれど、
今後、悪化したとしても、うっすらでも、
見え続けてくれたら、十分と思っている。

人間は、不思議な精神構造をもっていると
実感する。

現実に対し、不足(マイナス)に感じるか、
充足(プラス)に感じるか、
どう感じるかで、幸福度が決まる。

どの人にも幸福を感じさせる、という絶対感はない。
見えなくなる・・
ということを、基底に置けた私は、
本当に幸いだった。
見えれば、ほんの少しでも、幸福度が加算されるからだ。

見えているときの、以前の私なら、
見えなくなったことが、不幸に感じられていたはずだ。

子供の頃から、目が弱いと言われてきていた。
予防策も、改善策もない、
ということは、私には幸いだ。
悩む必要がない。

ただただ、これまで、もってくれて、
まだ、もってくれそうな自分の目に、
心からありがとうと思える。

2 コメント

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藤木さんのピアノ (ファンのひとり)
2008-08-10 15:33:33

心からありがとうと思える

たった一行のこの言葉に、藤木さんの音を感じます。
幾重にも織り込まれた心の在りようが、きっとこの言葉となって現れたのでしょうか。

とてもうつくしいです。
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ありがとうございます! (藤木)
2008-08-13 22:43:17
私の心の音があるなら、
それを聴いていただいたような
感じがしました。
ありがとうございます!

確かに、色々な心の音があったように思います。
見えていた景色が変わってしまったこと、
今日の月はクリアなのか、
今日の空はクリアなのか、
人に聞いて確かめないと判断できないこと。

それでも、時として、景色が美しいとき、
その時だけ、特別に見せてもらっているような
歓喜を、味わいます。

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